大地を守る会が2012年度中に、中国で宅配事業の開始を検討している。現地のパートナー企業と合弁会社を設立、中国で生産した有機農産物をネット販売し自社便で宅配する。富裕層をターゲットにまずは北京で始め、順次、展開エリアを拡大する予定で、開始から5年後に黒字化を目指すとしている。ただ、"野菜の宅配"は中国には少ないビジネス。果たして勝算はあるのか。藤田和芳社長に聞いた。(聞き手は本紙記者・兼子沙弥子)
――中国で宅配事業を開始する理由は。 「中国進出を視野に入れた現地の視察を5~6年前から行ってきた。今回、進出を決めたのは強力な現地のパートナー企業が見つかったことが大きい。現地のNGO北京富平(フーピン)学校だ。そこをパートナー企業として、合弁会社『富平大地(仮称)』を設立する。富平学校は家政婦の専門学校を運営するほか、農村向けの少額融資事業を展開している。富平学校を卒業した家政婦を通じて富裕層の利用が見込めるほか、有機農産物の生産者を開拓できる」
――日本の宅配のモデルをそのまま中国で展開するのか。 「日本の宅配を基本として、中国の市場に合わせたモデルを作る。商品は北京近郊の農地を借地借用して、独自基準に合致した野菜を栽培する。中国の事情に合わせた生産基準を独自に作成し、食品の安全性を確保していく。配送は配送業者のセンターに持ち込んで梱包し、顧客の自宅に宅配する。配送も中国的な方法を加味した物流の仕組みが必要になるだろう」
――中国市場に有機食材の宅配ビジネスはごくわずかだが、ニーズはあるか。
「餃子事件や粉ミルク問題などで、中国の富裕層や現地在住の日本人などが食の不安を抱えている。ただ、中国の有機農産物の信用は低く、消費者は認証シールを貼っても信用していない。そこにニーズがあると見ている。食品宅配を35年以上行ってきた経験と、有機農産物の生産管理ノウハウを活かして、ブランドの信頼性を構築していく」
――商品への信頼性はどう確保するのか。 「5月から私自身が中国語でツイッターを開始した。日本の農業や食育、日常の食事内容などを発信し、消費者の認知度を高めていく。併せて、ユーザーに産地を訪問してもらうイベントなどを企画し、顧客自身の目で品質を確認してもらう取り組みを行っていきたい」
――ただ、生鮮品は在庫のコントロールは簡単ではない。日本で蓄積したノウハウがあるとは言え、中国での受注予測と生産管理は難しい。 「過剰在庫はスーパーなどへの卸販売を行うことで在庫のロスは出さない工夫をする。欠品については日本と同様に他の商品で補充することは考えていない。野菜の生育は天候の影響を受けやすいため、ある程度は消費者に理解して頂くための説明が必要だ」
――中国進出のリスクとして、商習慣の違いが挙げられる。対策は。 「現状、富平学校と共同で事業計画を作成している。合弁会社の出資比率や人事なども議論しており、知的財産や配当、人件費の評価などについて充分な話し合いをしている。ただ、運営するのは現地の人で、やはり最終的にはお互いの信頼だと思う」
――農場の借地借用やシステム開発、人件費などかなりのコスト投資が予想される。回収のメドは。 「5年後に黒字化を目指している。まずは、最低ロットの3000世帯を目安に始める。利用世帯数の拡大に合わせて農地や配送センターの規模を広げていく。将来的には自社の物流センターの開設も視野に入れている」
――今後の予定は。 「来年4月まで事業開始予定に先駆けて、来年1月からギフトで販売を検討している。中国では旧正月などにギフトを送る習慣がある。まずはギフトとして注文できるカードを販売し、大地を守る会の基準で作った米や化粧品などを取り扱う。ギフトを通じて認知度を上げ、宅配開始時のハウスリストとしても活用したい」
大地を守る会が2012年度中に、中国で宅配事業の開始を検討している。現地のパートナー企業と合弁会社を設立、中国で生産した有機農産物をネット販売し自社便で宅配する。富裕層をターゲットにまずは北京で始め、順次、展開エリアを拡大する予定で、開始から5年後に黒字化を目指すとしている。ただ、"野菜の宅配"は中国には少ないビジネス。果たして勝算はあるのか。藤田和芳社長に聞いた。(聞き手は本紙記者・兼子沙弥子)
――中国で宅配事業を開始する理由は。
「中国進出を視野に入れた現地の視察を5~6年前から行ってきた。今回、進出を決めたのは強力な現地のパートナー企業が見つかったことが大きい。現地のNGO北京富平(フーピン)学校だ。そこをパートナー企業として、合弁会社『富平大地(仮称)』を設立する。富平学校は家政婦の専門学校を運営するほか、農村向けの少額融資事業を展開している。富平学校を卒業した家政婦を通じて富裕層の利用が見込めるほか、有機農産物の生産者を開拓できる」
――日本の宅配のモデルをそのまま中国で展開するのか。
「日本の宅配を基本として、中国の市場に合わせたモデルを作る。商品は北京近郊の農地を借地借用して、独自基準に合致した野菜を栽培する。中国の事情に合わせた生産基準を独自に作成し、食品の安全性を確保していく。配送は配送業者のセンターに持ち込んで梱包し、顧客の自宅に宅配する。配送も中国的な方法を加味した物流の仕組みが必要になるだろう」
――中国市場に有機食材の宅配ビジネスはごくわずかだが、ニーズはあるか。
「餃子事件や粉ミルク問題などで、中国の富裕層や現地在住の日本人などが食の不安を抱えている。ただ、中国の有機農産物の信用は低く、消費者は認証シールを貼っても信用していない。そこにニーズがあると見ている。食品宅配を35年以上行ってきた経験と、有機農産物の生産管理ノウハウを活かして、ブランドの信頼性を構築していく」
――商品への信頼性はどう確保するのか。
「5月から私自身が中国語でツイッターを開始した。日本の農業や食育、日常の食事内容などを発信し、消費者の認知度を高めていく。併せて、ユーザーに産地を訪問してもらうイベントなどを企画し、顧客自身の目で品質を確認してもらう取り組みを行っていきたい」
――ただ、生鮮品は在庫のコントロールは簡単ではない。日本で蓄積したノウハウがあるとは言え、中国での受注予測と生産管理は難しい。
「過剰在庫はスーパーなどへの卸販売を行うことで在庫のロスは出さない工夫をする。欠品については日本と同様に他の商品で補充することは考えていない。野菜の生育は天候の影響を受けやすいため、ある程度は消費者に理解して頂くための説明が必要だ」
――中国進出のリスクとして、商習慣の違いが挙げられる。対策は。
「現状、富平学校と共同で事業計画を作成している。合弁会社の出資比率や人事なども議論しており、知的財産や配当、人件費の評価などについて充分な話し合いをしている。ただ、運営するのは現地の人で、やはり最終的にはお互いの信頼だと思う」
――農場の借地借用やシステム開発、人件費などかなりのコスト投資が予想される。回収のメドは。
「5年後に黒字化を目指している。まずは、最低ロットの3000世帯を目安に始める。利用世帯数の拡大に合わせて農地や配送センターの規模を広げていく。将来的には自社の物流センターの開設も視野に入れている」
――今後の予定は。
「来年4月まで事業開始予定に先駆けて、来年1月からギフトで販売を検討している。中国では旧正月などにギフトを送る習慣がある。まずはギフトとして注文できるカードを販売し、大地を守る会の基準で作った米や化粧品などを取り扱う。ギフトを通じて認知度を上げ、宅配開始時のハウスリストとしても活用したい」