消費者庁表示対策課は3月8日、化粧品通販を展開するリソウが自社商品や技術について「日本初の快挙!国連から特別功労賞!」などと広告していたことが優良誤認に当たるとし、景品表示法に基づく措置命令を下した。これに対し、リソウは「そういった賞があると疑いもしなかった」と被害者然とする。だが、あまりにとぼけたその弁解を、容易に認めることはできない。今回の措置命令は、第三者からの信用を巧みに利用した、安直なマーケティング手法に警鐘を鳴らすものでもある。
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対策課の指摘事項は、(1)「生命体を配合した日本初の化粧品!」とする効果性能の表示、(2)「今までにない生命体技術が世界的な評価を受け(略)国連から受賞されました」とする表示の2つ。いずれも2010年8月~12月にかけて、主力化粧品「リペアジェル」の折り込みチラシで売り文句に使われていた。
対策課では(1)について「不実証広告規制」により裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求め、これを認めず、(2)についても「用いられている技術が世界的な評価を受けた事実はない」と断じ、一般消費者へ違反事実の周知徹底を命じた。
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一方、リソウが説明する受賞経緯はこうだ。
ハワイに拠点を構え、山田乙彦なる人物が理事長を務める「世界平和文化財団」からある日手紙をもらった。内容は、化粧品原料に自社栽培する無農薬米を使っていることに対し、「"そのような取り組みはそうそうにない"ということで国連顕彰に推薦したいと思っているがどうか」というもの。リソウとしても「せっかくの良いお話であればお願いしたいということで山田先生にお願いした」というのだ。
受賞をリソウから依頼した事実はなく、受賞にかかる費用も発生していないと説明。「授賞式で国連の旗を掲げていた。国連の内情も知らず、ネットで調べると同様の賞をもらっている人がいたので、そういう賞もあるんだと思った」と弁解する。処分を受けてからは、"一般消費者へ周知を図る"という対策課の命令に先んじて「重要なご報告とお詫び」と題する文書をホームページ上に公開。事の経緯を説明する。
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だが、文書を読み進めると違和感を覚えざるを得ない。冒頭こそ対策課の指摘を「真摯に受け止め、皆様に深くお詫び申し上げます」と謝罪の意を表明しているが、国連からの受賞でないことは「消費者庁による調査で発覚」し、「憤りと共に落胆している状況」と、あたかも被害者かのように説明しているからだ。
そもそも、この文書自体、対策課の命令を受けたものではなく「内容は全く了解していない」(対策課)もの。リソウは別途、対策課の承認を得た上で周知に向けた社告掲載や、ホームページでの文書公開を進める必要があり、こうした文書は消費者のさらなる誤解を生むことにもなりかねない。
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対策課は今回の違反を「個人的に確信犯だと思う」と憤りを隠さない。
加えて指摘しておきたいのはリソウがこれまで、著名なメークアップアーティストの推薦や民間調査機関からの受賞歴を披瀝。販促に利用してきたことだ。そのうちの1つ、「トレンド総研」を運営するトレンダーズは、「美容家62人が選ぶ今オススメのファンデーション2011」という企画でリソウの商品を1位に認定している。
リソウの売上高は年間約10億円。トレンダーズは調査を「当社からの企画で、依頼料などは発生していない。今後評価を行う際はより慎重に、基準も明確にしたい」とするが、世界平和文化財団しかり、故意、過失を問わず、リソウの販促に一役買った関係者らも道義的責任を見つめ直す必要があるだろう。
対策課の指摘事項は、(1)「生命体を配合した日本初の化粧品!」とする効果性能の表示、(2)「今までにない生命体技術が世界的な評価を受け(略)国連から受賞されました」とする表示の2つ。いずれも2010年8月~12月にかけて、主力化粧品「リペアジェル」の折り込みチラシで売り文句に使われていた。
対策課では(1)について「不実証広告規制」により裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求め、これを認めず、(2)についても「用いられている技術が世界的な評価を受けた事実はない」と断じ、一般消費者へ違反事実の周知徹底を命じた。
一方、リソウが説明する受賞経緯はこうだ。
ハワイに拠点を構え、山田乙彦なる人物が理事長を務める「世界平和文化財団」からある日手紙をもらった。内容は、化粧品原料に自社栽培する無農薬米を使っていることに対し、「"そのような取り組みはそうそうにない"ということで国連顕彰に推薦したいと思っているがどうか」というもの。リソウとしても「せっかくの良いお話であればお願いしたいということで山田先生にお願いした」というのだ。
受賞をリソウから依頼した事実はなく、受賞にかかる費用も発生していないと説明。「授賞式で国連の旗を掲げていた。国連の内情も知らず、ネットで調べると同様の賞をもらっている人がいたので、そういう賞もあるんだと思った」と弁解する。処分を受けてからは、"一般消費者へ周知を図る"という対策課の命令に先んじて「重要なご報告とお詫び」と題する文書をホームページ上に公開。事の経緯を説明する。
だが、文書を読み進めると違和感を覚えざるを得ない。冒頭こそ対策課の指摘を「真摯に受け止め、皆様に深くお詫び申し上げます」と謝罪の意を表明しているが、国連からの受賞でないことは「消費者庁による調査で発覚」し、「憤りと共に落胆している状況」と、あたかも被害者かのように説明しているからだ。
そもそも、この文書自体、対策課の命令を受けたものではなく「内容は全く了解していない」(対策課)もの。リソウは別途、対策課の承認を得た上で周知に向けた社告掲載や、ホームページでの文書公開を進める必要があり、こうした文書は消費者のさらなる誤解を生むことにもなりかねない。
対策課は今回の違反を「個人的に確信犯だと思う」と憤りを隠さない。
加えて指摘しておきたいのはリソウがこれまで、著名なメークアップアーティストの推薦や民間調査機関からの受賞歴を披瀝。販促に利用してきたことだ。そのうちの1つ、「トレンド総研」を運営するトレンダーズは、「美容家62人が選ぶ今オススメのファンデーション2011」という企画でリソウの商品を1位に認定している。
リソウの売上高は年間約10億円。トレンダーズは調査を「当社からの企画で、依頼料などは発生していない。今後評価を行う際はより慎重に、基準も明確にしたい」とするが、世界平和文化財団しかり、故意、過失を問わず、リソウの販促に一役買った関係者らも道義的責任を見つめ直す必要があるだろう。