「一般用医薬品の通信販売解禁を推進する議員連盟」(医薬品通販議連=事務局長・田村謙治衆院議員)は2月21日、衆議院議員会館で総会を開催した。当日は、厚生労働省に対し、昨年7月に規制・制度改革に係る追加方針が閣議決定した後の取り組みの進捗状況についてのヒアリングを実施。この中で、厚労省が説明した「郵便等販売に係る経過措置利用状況調査」について、議連側から調査の目的や設問項目に対する疑問の声があがった。
医薬品通販・ネット販売の規制を巡っては、昨年3月に開催された規制仕分けで、安全性確保の具体的な要件を設定し、3類以外の医薬品の通販・ネット販売の可能性を検討するとの評価結果を提示。留意点として、検討の結論が得られるまで経過措置を延長することなどが盛り込まれた。
この内容は、「規制・制度改革に係る追加方針」として昨年7月に閣議決定されており、厚労省に対しても2011年度から検討を始め、早期に結論を出すよう求めている。
医薬品通販議連が今回行った厚労省へのヒアリングは、閣議決定後の取り組みの進捗状況を確認するもので、当日は、厚労省医薬食品局総務課のほか、内閣府規制・制度改革担当事務局が出席。また、関係団体として、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)も出席し、医薬品の販売方法に関する独自の検討会「医薬品の安全で円滑な提供方法を考える有識者会議」の取り組み状況を説明した。
ヒアリングで厚労省は、一般医薬品販売制度の概要のほか、通販・ネット販売の安全性確保要件の検討のための取り組み状況を説明。取り組み事例として経過措置期間中における通販・ネット販売の利用状況調査(経過措置利用状況調査)や、対面販売およびネット販売に関する覆面調査の結果などを紹介したが、議連側からは、調査内容に対する疑問の声が浮上した。
行政刷新担当大臣として医薬品通販・ネット販売の規制仕分けにも出席した蓮舫参院議員は、経過措置利用調査について、「何の目的で行ったのか」と質問。これに対し、厚労省は、昨年5月末に予定されていた経過措置の期限切れ(※)後の混乱がないかを調べるための利用状況調査としたが、蓮舫議員は、経過措置の終了よって困る人がどれだけいるのか、ネット販売による副作用事故の有無に関する設問が無いことに言及。
蓮舫議員は、医薬品通販・ネット販売規制問題の焦点である利便性とリスクに関する設問がなければ、「経過措置を切るかどうかを判断するための調査にならない」とし、2年間の経過措置延長を決めた厚労省の判断材料を疑問視。オブザーバーとして出席した順天堂大学客員教授の阿曽沼元博氏も、同調査について「課題をどう抽出するのか整理されていないと言わざるを得ない」とした。
また、阿曽沼氏は、厚労省が提出した医薬品通販・ネット販売規制の賛成・反対派に関する資料に触れ、「これまでネット販売の利便性と問題点を正しく理解した上で議論されてきたのかを考えなければならない」と指摘。顧客情報を管理するネット販売にはトレーサビリテイーが取れる優位性があるとした上で、規制賛成派の団体でもネット販売の現状をきちんと説明すれば、「賛成に向いてくれるのではないか」との見方を示した。
規制仕分けの評価結果を受け、医薬品通販・ネット販売の安全性確保要件の検討を進める厚労省だが、今回のヒアリングでは、取り組みのベクトルのズレが浮き彫りとなった。第2類医薬品の通販・ネット販売再開に向けた流れがあらぬ方向に進まぬよう、規制・制度改革事務局のしっかりとしたフォローアップが望まれる。
※2009年6月1日施行の改正「薬事法」施行では通販・ネット販売で扱える医薬品をビタミン剤等の第3類医薬品に制限した。11年5月末までの間、薬局のない離島居住者や過去に利用実績のある継続利用者に限り、第2類医薬品の通販・ネット販売を認める経過措置を設けていたが、さらに2年間延長している。
医薬品通販・ネット販売の規制を巡っては、昨年3月に開催された規制仕分けで、安全性確保の具体的な要件を設定し、3類以外の医薬品の通販・ネット販売の可能性を検討するとの評価結果を提示。留意点として、検討の結論が得られるまで経過措置を延長することなどが盛り込まれた。
この内容は、「規制・制度改革に係る追加方針」として昨年7月に閣議決定されており、厚労省に対しても2011年度から検討を始め、早期に結論を出すよう求めている。
医薬品通販議連が今回行った厚労省へのヒアリングは、閣議決定後の取り組みの進捗状況を確認するもので、当日は、厚労省医薬食品局総務課のほか、内閣府規制・制度改革担当事務局が出席。また、関係団体として、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)も出席し、医薬品の販売方法に関する独自の検討会「医薬品の安全で円滑な提供方法を考える有識者会議」の取り組み状況を説明した。
ヒアリングで厚労省は、一般医薬品販売制度の概要のほか、通販・ネット販売の安全性確保要件の検討のための取り組み状況を説明。取り組み事例として経過措置期間中における通販・ネット販売の利用状況調査(経過措置利用状況調査)や、対面販売およびネット販売に関する覆面調査の結果などを紹介したが、議連側からは、調査内容に対する疑問の声が浮上した。
行政刷新担当大臣として医薬品通販・ネット販売の規制仕分けにも出席した蓮舫参院議員は、経過措置利用調査について、「何の目的で行ったのか」と質問。これに対し、厚労省は、昨年5月末に予定されていた経過措置の期限切れ(※)後の混乱がないかを調べるための利用状況調査としたが、蓮舫議員は、経過措置の終了よって困る人がどれだけいるのか、ネット販売による副作用事故の有無に関する設問が無いことに言及。
蓮舫議員は、医薬品通販・ネット販売規制問題の焦点である利便性とリスクに関する設問がなければ、「経過措置を切るかどうかを判断するための調査にならない」とし、2年間の経過措置延長を決めた厚労省の判断材料を疑問視。オブザーバーとして出席した順天堂大学客員教授の阿曽沼元博氏も、同調査について「課題をどう抽出するのか整理されていないと言わざるを得ない」とした。
また、阿曽沼氏は、厚労省が提出した医薬品通販・ネット販売規制の賛成・反対派に関する資料に触れ、「これまでネット販売の利便性と問題点を正しく理解した上で議論されてきたのかを考えなければならない」と指摘。顧客情報を管理するネット販売にはトレーサビリテイーが取れる優位性があるとした上で、規制賛成派の団体でもネット販売の現状をきちんと説明すれば、「賛成に向いてくれるのではないか」との見方を示した。
規制仕分けの評価結果を受け、医薬品通販・ネット販売の安全性確保要件の検討を進める厚労省だが、今回のヒアリングでは、取り組みのベクトルのズレが浮き彫りとなった。第2類医薬品の通販・ネット販売再開に向けた流れがあらぬ方向に進まぬよう、規制・制度改革事務局のしっかりとしたフォローアップが望まれる。
※2009年6月1日施行の改正「薬事法」施行では通販・ネット販売で扱える医薬品をビタミン剤等の第3類医薬品に制限した。11年5月末までの間、薬局のない離島居住者や過去に利用実績のある継続利用者に限り、第2類医薬品の通販・ネット販売を認める経過措置を設けていたが、さらに2年間延長している。