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アデランス  ネット販売、「お試し」で出足好調

2011年 9月14日 18:55

 3-1.jpgアデランスのネット販売事業が好調だ。同社は昨年10月、通販に参入。通販サイトで育毛剤や女性用のウィッグなどを販売している。今夏にはお試し購入と定期購入の仕組みを導入。直近の売り上げが、半年前の3倍以上になるなど、成果を挙げている。同社は近年、業績が低迷しており、2011年2月期も営業赤字に終わった。国内のかつら市場は縮小傾向にあることから、育毛剤のネット販売を数十億円規模に育てることで、業績のテコ入れを図る。

 販売する男性向けのヘアケア商品「ヘアリプロ」は、同社のヘアサロンでの育毛サービスで使用してきたもので、卸販売などは行っていなかった。消費者には、長期にわたるサロンでの使用実績があることや、育毛に関するノウハウの蓄積、育毛メーカーとしてのアデランスのブランドをアピールする。

 ヘアリプロのテレビCMは放映しているものの、通販サイトへの誘導は行っていない。「アデランスが行う通販」の認知度向上が課題となるが、あまり大きな予算は投下できないのが実情だ。ただ、SEOなどの施策で「認知度は徐々に上がってきている」(徳永輝之WEB・ECサイト担当部長)という。

 3月には電話での注文を可能にした。ネット販売になじみのない、高齢の顧客もいることから始めたものだが、「効果は出ている」(徳永部長)ようだ。また、5月にはお試し購入を、7月には定期購入の仕組みを導入。化粧品や健康食品では一般的な定期購入だが、育毛業界ではこれまで活用実績はなかったという。お試しの導入で直近の売り上げは大きく伸びており、成果が出始めている。

 現在、ヘアケア商品を販売する「アデランス公式通販サイト」のほか、女性用かつらやウィッグを販売する「フォンテーヌ」、若い女性向けのウィッグ販売サイト「ラブズチェンジ」の3サイトを開設している。ショッピングカートは3サイトで統一されており、購入画面に別サイトのバナー広告を掲示している。フォンテーヌの商品を購入した顧客がラブズチェンジに移動するなど、「思った以上に効果はある」(同)という。

 通販の顧客は、男性の場合30~40代、女性は40~50代が中心となり、サロンの顧客よりも10歳程度若い。徳永部長は「(サロンへの来店に比べて)気軽に行動を起こせる通販の特性が出ているのではないか」と推測する。

 4月にはアマゾンの法人向け仮想モール「マーチャント@amazon.co.jp」に出店した。元々自社サイトのみでスタートした理由は「顧客情報をダイレクトに得るため」(徳永部長)だ。アマゾンへの出店で間口を広げた格好だが、楽天市場など他の仮想モールへの出店も検討課題となる。

 今後は認知度向上とともに、お試し商品を購入した顧客の定期購入への移行が課題となる。同社は、髪に関する悩みの電話相談を長年手掛けてきたことから、コールセンターでの顧客対応には強みがある。ただ、電話での商品販売に関しては実績がないため、アウトバウンドについては外部委託も平行して行う。

 また、スマートフォンなどモバイルへの対応も課題だ。ネット販売事業の目標売上高は公開していないが、早期に売り上げを拡大することで業績立て直しにつなげる。

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