消費者庁 国セン〝解散〟を提案、統合で内部部局化検討
消費者庁は4月20日、第7回「国民生活センターのあり方の見直しに係るタスクフォース」を開催した。国センの機能を消費者庁に一元化し、2013年度に国センを解消することを提案した。消費者庁と国センの重複を排除し、注意喚起や法執行、制度改革、消費者教育まで一貫した消費者行政を目指す考え。
消費者庁は今回のタスクフォースで国センの情報部門と商品テストを消費者庁の内部部局化する方針を示した。支援相談や研修、相談処理テストは「施設等機関」などと位置付け、内部部局化した商品テストとの連携を図っていくとした。
これにより消費者庁は国センの職員をプロパー職員として採用。各省庁からの出向や期限付き職員で構成していた消費者庁の人員を強化する。事業者から資料の提出を求めることができる権限を活用し、消費者への注意喚起につなげていく方針を示した。
これまでのタスクフォースで消費者庁は国センへの不満を露呈させていた。パイオネットの管理・運営について、「国センは守秘義務があるものの、公務員に課せられている守秘義務がなく、他の機関の調査や捜査に活用しにくい」と指摘。また商品テストについても、国からの事前関与を排した独立行政法人の特性上、「国が調査していた類似業務と連携した商品テストが困難で限界がある」としていた。
これに対し国センは「国センの機能を企画立案に生かすことに賛成だが、一体化することによる後退の懸念がある」と指摘した。これまで国センが主張してきた各機能の相互補完性や一体性に配慮し消費者庁は見直し案を示したものだが、「実現性の担保など、慎重な検討が必要」とし、次回意見を述べる方針だ。
林課長との一問一答・統合の狙いは?
国民生活センターを解散する方針を示した今回のタスクフォース。林俊行消費者庁地方協力課長との一問一答は以下の通り。
――消費者庁と国センの統合の狙いは。
「消費者庁の内部部局化することで、他の課題と結びつけた政策提言ができるようになる。国会や行政機関の大きな政策や世の中の動きの中で共通性があるものを提言できれば、制度化までの時間を短縮して効果を発揮することが可能だ。独立行政法人の性格上、他の行政機関との連携は難しかったが、内部部局化することでスムーズに制度化に結び付けることができるだろう」
――国センの機能が強化されるのか。
「国センに相当する内部部局にどういった権限を持たせるか、ということだ。トラブルが多発しているケースを情報として消費者へ提供するのはこれまでと変わらない」
――これまで消費者庁は商品テストの限界やパイオネットの活用の非効率性について課題を指摘してきた。消費者庁が国センの機能を統合することのメリットは。
「同じ行政組織の中で、トラブルの多い事業者や事故情報を共有できるようになる。権限を持つ組織にダイレクトに情報が入ればそれを1つの着眼点とすることができる。処分の調査が迅速化したり、今まで出来なかったものに手を付けられる可能性がある。ただ、消費者相談は一面的なので、相談情報をもとに事業者を調査しなければならない。処分の有無は調査した上で別の判断が必要になる」
――国センがこれまで実施してきた商品テストでは景品表示法や薬事法の監視指導に対する要望が多かった。今後、商品テストをもとにした指導が強化されるのか。
「個別案件については、厳しくなるとかやらないとか、どちらでもない」
――国センとの調整は進んでいるか。
「消費者庁としてはこれまでの議論を踏まえて真摯に考えて試案を出した。これまで厳しい意見も述べたが、実績や蓄積を正当に評価した内容になっている。次回、国センの意見を聞くことになる」
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消費者庁は今回のタスクフォースで国センの情報部門と商品テストを消費者庁の内部部局化する方針を示した。支援相談や研修、相談処理テストは「施設等機関」などと位置付け、内部部局化した商品テストとの連携を図っていくとした。
これにより消費者庁は国センの職員をプロパー職員として採用。各省庁からの出向や期限付き職員で構成していた消費者庁の人員を強化する。事業者から資料の提出を求めることができる権限を活用し、消費者への注意喚起につなげていく方針を示した。
これまでのタスクフォースで消費者庁は国センへの不満を露呈させていた。パイオネットの管理・運営について、「国センは守秘義務があるものの、公務員に課せられている守秘義務がなく、他の機関の調査や捜査に活用しにくい」と指摘。また商品テストについても、国からの事前関与を排した独立行政法人の特性上、「国が調査していた類似業務と連携した商品テストが困難で限界がある」としていた。
これに対し国センは「国センの機能を企画立案に生かすことに賛成だが、一体化することによる後退の懸念がある」と指摘した。これまで国センが主張してきた各機能の相互補完性や一体性に配慮し消費者庁は見直し案を示したものだが、「実現性の担保など、慎重な検討が必要」とし、次回意見を述べる方針だ。
林課長との一問一答・統合の狙いは?
国民生活センターを解散する方針を示した今回のタスクフォース。林俊行消費者庁地方協力課長との一問一答は以下の通り。
――消費者庁と国センの統合の狙いは。
「消費者庁の内部部局化することで、他の課題と結びつけた政策提言ができるようになる。国会や行政機関の大きな政策や世の中の動きの中で共通性があるものを提言できれば、制度化までの時間を短縮して効果を発揮することが可能だ。独立行政法人の性格上、他の行政機関との連携は難しかったが、内部部局化することでスムーズに制度化に結び付けることができるだろう」
――国センの機能が強化されるのか。
「国センに相当する内部部局にどういった権限を持たせるか、ということだ。トラブルが多発しているケースを情報として消費者へ提供するのはこれまでと変わらない」
――これまで消費者庁は商品テストの限界やパイオネットの活用の非効率性について課題を指摘してきた。消費者庁が国センの機能を統合することのメリットは。
「同じ行政組織の中で、トラブルの多い事業者や事故情報を共有できるようになる。権限を持つ組織にダイレクトに情報が入ればそれを1つの着眼点とすることができる。処分の調査が迅速化したり、今まで出来なかったものに手を付けられる可能性がある。ただ、消費者相談は一面的なので、相談情報をもとに事業者を調査しなければならない。処分の有無は調査した上で別の判断が必要になる」
――国センがこれまで実施してきた商品テストでは景品表示法や薬事法の監視指導に対する要望が多かった。今後、商品テストをもとにした指導が強化されるのか。
「個別案件については、厳しくなるとかやらないとか、どちらでもない」
――国センとの調整は進んでいるか。
「消費者庁としてはこれまでの議論を踏まえて真摯に考えて試案を出した。これまで厳しい意見も述べたが、実績や蓄積を正当に評価した内容になっている。次回、国センの意見を聞くことになる」