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今年8月に行った会見で、協会の磯部総一郎理事長が方針を表明した。
スイッチOTC化を目指す領域は、現時点で明確に定めていないものの、医療費に占めるウエイトが大きく、患者自身の負担も大きい慢性疾患領域に焦点を置く。自覚症状がない血圧や中性脂肪、尿酸値、血糖、骨密度などを想定しているとみられる。
同一医療機関の外来処方で前回と同一の処方がされる「Do処方」のうち、処方日数が180日に渡る「長期Do処方」は、血圧降下剤で45・8%、高脂血症用剤で48・5%と約半数を占める。独自のアンケート調査では、高血圧症に罹患する「長期Do処方」の患者440人のうち、約17%がスイッチOTCの購入希望があった。
JMSIでは、自覚症状に代わる自己管理指標の設定と検査キット(検査薬のOTC化)による「セルフチェック」、OTC医薬品による「セルフメディケーション」、必要に応じた薬剤師による服薬指導・受診勧奨など、適切な提供に向けた環境整備とともに進めることを目指す。厚生労働省に環境整備に向けた議論を働きかけていく。日本医師会、日本薬剤師会など関係団体との対話を進める。
取り組みの強化は、新型コロナの拡大を受けた検査薬のOTC化を契機にしている。65歳意向の高齢者人口がピークを迎える「2040年問題」を前に、環境整備を進めたい考え。
生活習慣病領域のスイッチOTC化は、厚労省で過去にも検討を働きかけた経緯がある。ただ、安全性や受診抑制などの問題から医師会の反対を受けて進まなかった。一方、通院に伴う患者の負担から自己判断で通院を止めるケースもある。JMSIは、「スイッチOTC化を進めることで医療費削減につながる」と意義を話す。
医療の担い手不足の問題もある。地域医療を担う診察所の医師数は増加しているものの、中心的役割を果たす内科医の割合は低下。60代以上の医師が5割を占める。「医師会も若い世代の医師は収益性の高い自由診療にいき、医師の高齢化などの課題がある。(スイッチOTC化の推進で)服薬指導など薬剤師の役割も明確になる。積極的に働きかけていくことで、反対する団体などとも対話をしていきたい」(JMSI)としている。
JMSIの会見は初めての試み。今後、定期的に開催し、意見表明していくことも検討している。