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楽天 「ブランドデー」が好調、有名ブランドが参加、“値引き”打ち出さず

2020年 7月30日 07:30

 楽天が運営する仮想モール「楽天市場」では、有名ブランドとの結びつきを強めている。

 楽天市場ではこれまで、人気メーカー・ブランドの情報を発信する「メーカーショールーム」や、国内大手サービス・チェーンや人気海外ブランドなどの楽天市場店を集めた「有名メガストア」といったコーナーを設けてきた。「『有名メーカーだから安心して買える』というユーザーからの需要があるので、こうした切り口のページを作って露出している」(楽天市場マーケティング部市場ブランディング課アシスタントマネージャーの田島朝子氏)。

 2018年10月から始めたのが「楽天ブランドデー」という企画だ。楽天市場の有名ブランドが集まった1日限定のイベントで、有名ブランドの限定商品のほか、特別価格の商品や、ポイントを20%付与する商品を販売するというもの。今年5月で5回目の開催となるが「百貨店で販売しているようなクラス感あるブランドや、背伸びしても買いたいような有名ブランドの商品が特別オファーで手に入る。ユーザーにもブランドにも支持を広げており、回を追うごとに参加ブランドが増え、流通額も拡大している」(同)という。

 エントリーすると、対象ショップ限定でポイント5倍になるほか、クーポンも用意。第5回は美容・コスメ、家電、ファッションなどの72ブランドが参加した。「イメージを保つために値引きをしたくないブランドは多いと思うが、ポイントやクーポンを活用することでイメージを壊さず売り上げも増える。当社としても、プロモーションのクリエイティブはブランドにあわせて高級感を出すようにしている」(同)。

 テレビCMを含めて大規模なプロモーションを展開。「楽天スーパーセール」のようなにぎやかなイメージの宣伝ではなく、「クラス感」をコンセプトにCMを制作。同社チーフクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏が監修している。田島氏は「セールという打ち出し方は避け、『おもてなし』という言葉を使い『参加することによるメリットは大きい』ことを感じてもらえるようにした」と話す。

 3年前から楽天市場に出店している、ある化粧品メーカーの場合、「スーパーセール」や「お買い物マラソン」といったセールイベントは、ユーザーが最初から値引きを期待してページを訪れることから、ブランディング面で悪い影響が出る、という課題があったという。「ブランドデー」に関しては、値引きを全面に打ち出す企画ではないことから参加に踏み切った。定価で販売しながら、ポイントアップでユーザーに還元できることや、参加店舗が限られており、楽天が大規模なプロモーションをすることから一定数の来店が見込めることなどが参加の理由という。

 その結果、新規ユーザーが大きく増えたほか、獲得した新規ユーザーのリピート率も通常と変わらなかった。

 田島氏は「『ブランドデー』により、有名ブランドが楽天市場に出店していることを知ってもらい、さらには商品を購入してもらうことで、楽天市場が『信頼できる売り場』であることを理解してもらうとともに、ネット販売自体への信頼度を上げる効果もある。実際に『ブランドデー』で買い物をしたりページを訪れたりしたユーザーと、接点のなかったユーザーを比較したアンケート調査では、『信頼できる』『品揃えが豊富』『好感が持てる』といった部分のスコアに関して、前者が上がっていることが分かる」と話す。

 第5回の流通額は、コロナ禍で在宅時間が増えたことも影響し、前回より大きく伸長。多くのブランドが過去最高日商を記録した。ブランドデーに出品したブランドの商品だけではなく、楽天市場店で扱っている他のブランドの商品も売れるという効果もあったという。商品的にはコスメや家電などが大きく伸びたほか、ユーザー層では20代男女、特に女性の伸び率が目立った。

 今後は参加ブランド数や商品を拡充していく。特にファッションカテゴリーを強化したい考えだ。また、今後は開催頻度の向上も検討する。さらに3月には、同様のイベントとして、スポーツ用品ブランドに絞った「スポーツデー・バイ・楽天」を開催した。成功事例を他ジャンルにも敷衍していく。

 
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