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【ファンケルの若山和正取締役に聞く 健康食品事業の成長戦略】 ライトユーザー獲得強化、コア層には「パーソナルサプリ」提案へ

2018年 7月 5日 09:42

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 機能性表示食品制度の導入以降、ファンケルの快進撃が続く。前期(2018年3月期)の健康食品事業の売上高は前年比12%増の359億円と好調に推移している。今後の成長戦略について、6月23日付で取締役に就任した若山和正執行役員マーケティング本部副本部長兼健康食品事業部長に聞いた。

 ――健康食品市場の今後の展望は。

 「サプリメントの利用者は、全人口の3割ほど。まだ伸びしろはある。ただ、20数年事業展開してきてまだその程度にとどまるということは、いくら『健康寿命の延伸』と言われても(お客様を)増やす工夫をしなければ規模拡大が難しいということ」

 ――どう利用者のすそ野拡大を図る。

 「昨年行ったネスレ日本との共同プロジェクトも、今後、サプリメントユーザーを獲得していく上でよりライトな層を増やしていく必要があるため。食生活から栄養摂取を習慣づけてもらう必要がある。ダイドードリンコとのコラボレーションも同じ。今後、『BtoB領域』を強化していくことがポイントになる」

 -――他社とのコラボレーションで活かせる自社の強みは。

 「原料のエキスや成分には特有のにおいや味がある。(ファンケルは)これらをマスキングする技術でこれまで蓄積してきた知見がある。食品メーカーが内部のリソースを使ってやると、時間や労力、設備投資も必要になり、スピード感を持って展開できない。互いに強みとするチャネル、得意分野を活かすことで新たな製品・サービスが生み出せる。(ネスレ日本の)成功も業界内で認知されており引き合いも増えている」


 ――制度の導入を受けて参入も増え、市場の競争環境も激化している。

 「差別化戦略が重要になる。今年度中に『パーソナルサプリメント』の展開を本格化する。サプリユーザーの2割強は月5000円以上購入し、4~5アイテムを使う。各社の製品を選択しているが、本当に自分に合った製品を知らないのが実情だ。健康意識が高いだけに、自分に適した製品に対する関心も高い。そうしたユーザー層に提案していく」

 ――これまでパーソナルサプリの構想はいくつかの企業が掲げたが成功例はない。

 「健康に対する意識はあったが、具体的なアクションにつながっていなかったことが一つ。また、単品訴求の中で"これさえ飲めば"という認識も広がっていた。ただ、機能性表示食品制度が導入され、具体的な機能が表示できるようになったことで必要な製品を自分で選択できるようになり、ユーザーの意識も変わりつつある」

 ――勝算はあるか。

 「数品の単品商品を主力にする企業は個々の(顧客に)応じたカスタマイズは難しい。(ファンケルは)150以上のアイテムをラインアップする強みを活かせる。生活の悩みに応じて生活習慣、食生活を分析し、どの栄養素が足りないか提案することで、使っている各社の製品を一つに集約できる。製品でブランドスイッチするより価値を感じてもらいながら提供の機会が作れる」

 ――評価技術も確立しているが。

 「(運営する)健康院クリニックでは、医師と連携して食習慣から不足する栄養素、疾病のリスクに関するロジックを蓄積している。最近では、食事の画像から一定レベルで不足する栄養素を把握できる技術もある。管理栄養士など有資格者で組織する『健康カウンセラー』も配置しており、(顧客の)悩みに分かりやすい形で不足する栄養素を提案し、連動したサプリを提案できる」

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