前号に引き続き、千趣会が創刊した大人カジュアルを提案するファッションカタログ「カジュアルクリップ」について見ていく。
同媒体では、千趣会がこれまでに展開してきた衣料品カタログで人気のテイストや、世の中のテイストを分析した結果、今回が本格デビューとなるプライベートブランド(PB)の「ラトリエラフィネ」と「ナウクローゼット」「グランコントロ」の3ブランドを中心に打ち出すことにした。
これらは、千趣会が進めるPBの強化方針に沿ったもので、昨年秋に基幹ブランドの「ベルメゾンデイズ」がデビューしており、基幹ブランド以外で個性を持ったPBもしっかりと打ち出すことで、ネットで検索されるようにしていく。
「カジュアルクリップ」の中では3つのPBをメーンに、婦人靴のPB「べネビス」やナショナルブランドも掲載している。今後は、ファッショングッズや大人の女性向けのデザインや体型に合わせて開発したインナーも各ブランドで展開していくほか、大きいサイズの媒体「ラ・フィット」でも専用サイズを本格展開する。
3つのPBのうち、「ラトリエラフィネ」は大人かわいいがキーワードで、フレンチフェミニンをベースにした服を展開する。「ナウクローゼット」はヘルシーで女性的なカジュアルスタイルのデニムやパンツを中心に提案する。「グランコントロ」は百貨店で買い物をする消費者を意識して、エレガンスをベースにカジュアルをかけ合わせ、クールで洗練されたエレガンスカジュアルを発信。3ブランドとも着やすいカジュアルをベースにしながら各ブランドの個性を出していく。
3つのブランドが確立されればカタログだけではなく、「毎月新商品を投入してネットで大きく成長させたい」(村井恵子・商品開発本部アウター開発部アウター開発1チーム)としている。
価格帯は3ブランドとも共通で、ニットやブラウス、カットソーが税別3900~4900円、ワンピースは3900~5900円、パンツは3900~4900円、ジャケットは5900~7900円、コートは9900~1万5000円で展開する。
創刊号の代表的なアイテムは、「ラトリエラフィネ」は花柄やレース使いが強く、とくにレースのプルオーバータイプが新鮮な「前身レース使いプルオーバーシャツ」や、パンツの裾にワンディテールを加えたものが目玉で、リボンのようなモチーフをアクセントにした「裾デザインクロップドパンツ」などが人気だ。
「ナウクローゼット」はパンツなどが強いが、カジュアルなのに女性らしいという部分を大切にしている。デニムやカットソーパンツといったカジュアルアイテムを軸に、シャツやテーラードジャケットといったきれいめアイテムをアクセント的にそろえる。また、デニムの新しい形として仕掛けているのがデニムのワイドパンツで、モニターカタログで人気だった。
「グランコントロ」はVネックのカットソーからストライプやチェック柄がのぞく重ね着風のトップス「フェイクレイヤードカットソープルオーバー」の人気が高い。一枚で着られるほか、少し長めの後ろ裾がおしりまわりをカバーしてくれる点が受けているようだ。
「グランコントロ」は他の2ブランドよりも少し年齢を高めに設定しているため、「おしりなど下半身のシルエットが気になる女性に向けてパンツでファンを作っていきたい」(村井氏)とする。パンツの特徴として、後ろ股ぐりにカーブをつけ、長めに距離をとり、ヒップラインをすっぽり包むことで安心して履けて、きれいなシルエットが作れる点をパンツの基本設計にしている。実際、狙い通りにパンツでファンを獲得しているという。
千趣会はトレンドをとり入れながら無理なく着こなせる等身大の大人カジュアルをウェブサイトと年5回発刊のカタログで提案し、80億円の売上高を目指す。(おわり)