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"長寿"企業の軌跡と挑戦、タキイ種苗 下

2010年 4月12日 10:50

創業175周年の「節目の年」を迎え、105年の歴史を誇る通販事業において大きな「変革」に乗り出したタキイ種苗(本社・京都市下京区、瀧井傅一社長)。従来のリピート客中心の戦略を継続しながらも、高齢化の進行などの社会背景を重視。近年需要が拡大している「ベランダ園芸」ジャンルを強化するなど、これまで関わりの薄かった初心者など「ライト層」の開拓に踏み出している。


サイトを大幅に
刷新、9月メドにコミュニティ性導入へ                       

 こうした新規開拓の取り組みで、同社が今後、最も重要とみているのが「ネット販売」の強化だ。通販サイト「タキイネット通販」の開設は2003年。通販売り上げに占めるネット販売の比率は現在は約20%で、「最近は年率20―30%で伸びている」(タキイ種苗・特販事業部佐藤直樹部長)と好調だ。
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 ネット販売の傾向として、客単価はカタログ客に比べ若干低いが、ネットはカタログより受注処理がしやすく、コスト削減にもつながるため、「できるだけネットで注文して欲しい」(同)という思惑がある。そのため、カタログでは3000円未満の購買の際は200円の送料がかかるが、通販サイト経由の購買では3000円未満でも無料とし、「入りやすさ」を重視した仕様にしている。

 同社ではこうした土壌の上に、新規層開拓のいわば「急先鋒」としてネット販売の活用を進めていく。例えば、「ベランダ園芸」ジャンルの強化については、カタログでは「失敗しないやり方」などの特集を組んで裾野を広げていることは前回触れたが、通販サイトでも同種の専門コーナーを設置するなどし、カタログ客と同様のサービスを展開している。

 また、詳細はまだ不明だが、今年の9月をメドに大幅なサイトの刷新に着手する。通販サイトの中心的な顧客になる層を具体的に仮定し、そうした層の関心を集めると思われるサイト仕様に変更。どのような層を具体的に想定しているのかは「非公表」(同)だが、これまでのリピート客である「マニア」な層ではなく、「ライト層」に向けた作りになることは間違いないようだ。

 全貌は不明ながら、対象が変わるため、情報発信の仕方もそれに伴って変えるもよう。一例を挙げると、サイトの滞留時間を長くするため、これまでは皆無だった質問掲示板など「コミュニティ性のあるもの」の設置が可能性としては高く、「ひとつの要素として考えてはいる」(同)という。

 例えば人気の野菜・果物ジャンルでいえば、「こうやって食べたら美味しいですよ」という情報を栽培方法と同時に提供することが「アマチュアユーザー」にとっては重要であると見ており、そうした栽培後のシーンにまで踏み込んだ情報発信を行っていくようだ。

 また、ネット以外の新規開拓策としては、会員制度「タキイ友の会」で行っているのとは別に、一般客を対象に新聞などで告知して勉強会を開催。最近では、ニーズの多い「野菜の育て方」をテーマに催し、約500人が集まった。こうした、いわば一般的な水準より園芸に関心の高いユーザーが集まった場で積極的に会員化のアプローチを行うことで、効率的に新規会員が獲得できると捉えている。今後も、ガーデンショーなどの社外イベントへの出展を通し、新規開拓を進めていく考えだ。
 


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