レディースアパレルのネット販売を手がけるリアルコマース(本社・東京都港区、チェハンウ社長)は、楽天依存からの脱却に向け、MD面などで自社通販サイトの差別化を図る。併せて、今年4月から始めた海外ブランドの取り扱いをさらに強化。8月から日本未上陸の英国ブランドなどと日本における総代理店契約を結び、実店舗も含めてブランド事業を積極展開することになった。
同社が運営する「nowistyle(ナウアイスタイル)」は、海外セレブが着用するテイストの服をファストファッション価格で購入できるのが強み。毎日10アイテムを投入し、常時2000品目という品ぞろえながら、商品回転率は月1・7回転という速さで、今しか買えない商品が多い。また、海外のファッションブロガーを起用したスタイリッシュな見せ方もあって急成長している。
ただ、売り上げの多くを楽天に依存していることからリスク分散に向けた取り組みを強化。昨年から「ショップリスト」や「Gマーケット」などへの多店舗展開を開始し、今年7月には「DeNAショッピング」に出店。モール担当者を増員して臨んでいる。
約2年前に開設した自社通販サイトについても集客力の強化に向けて専任者をつけたほか、広告代理店の協力を得てSEO対策などに本腰を入れている。また、モールとは異なるページ作りにも力を注ぐなど「売れるまで耐えることが大事」(恩蔵優専務)とし、自社サイトを育成する。
一環として、今年9に楽天市場店と自社サイトを全面刷新するが、これを機にMDを修正。現在は楽天と自社サイトでほぼ同じMDだが、刷新後は楽天で販売する商品に加え、自社サイトではワンランク上の価格帯も扱って差別化を図る。
同社では今年2月以降、集客の目玉となるアイテムを除いた全体の3分の2を10~20%値上げし、価格弾力性を持たせた。「安売りが続くと会社は疲弊する。これまでは安すぎた。これを"安い"に戻してきた」(恩蔵専務)とし、定価を引き上げることでセール時のメリハリも出せたという。
現状、楽天市場での商品単価は2500円程度で、客単価は約3700円。自社通販サイトでは9月の刷新以降、商品単価、客単価ともにさらに15%程度高いアイテムを投入する計画だ。
一方、今年4月末から海外ブランド品の取り扱いを始めた。有名ブランドのバッグや財布、靴などを中心に販売しているが、すでにネット売り上げの10%強を占めるまでに拡大している。
海外ブランドを扱うのに当たってフラッシュセールの手法を導入。毎週金曜日の正午に同セール会場をオープンし、1週間でアイテムを入れ替える。
同社は平均2500円の服を展開する中、数万円のブランド品が売れるか心配だったが、海外ブロガーなどを起用したきれいなページ作りを心がけているため、ブランド品が加わることでさらに見栄えが良くなったことや、"1点豪華主義"のニーズにも応えられたことで「楽天最安値」でなくても売れるという。
有名海外ブランド品は検索ワードで流入する新規顧客の開拓につながっているほか、既存会員の客単価アップにも貢献しているようだ。
リアルコマースでは、同ブランド事業をさらに強化する方針で、日本未上陸の海外ブランドとライセンス契約を締結した。詳細は明らかではないものの、20代女性をターゲットにバッグや雑貨を中心に展開する英国ブランドなど、複数ブランドと日本における総代理店契約を結び、8月から「ナウアイスタイル」や大手のファッション通販モールにも出店してネット販売を開始するほか実店舗も展開する計画で、ライセンスブランドの販売は今後1年半で20億円規模を目標とする。
また、ファッション好きの獲得を目的にスマホアプリ「FABLO(ファブロ)」をこのほどリリース。「ナウアイスタイル」の商品だけでなく、人気ファッションブランド「スライ」や「スナイデル」など15ブランドの服を約300人の海外ブロガーが着用するルックブックのようなアプリで、彼女たちの着こなしを雑誌感覚でチェックできるほか、各ブランドの通販サイトへの導線や、SNS連携も計画しているという。
なお、同社の売上高は2012年9月期の10億円強に対し、13年9月期は約17億円を見込んでいる。