ニュースの断層・米投資ファンドのベインキャピタル ショップチャンネルの株50%取得、アジア進出など支援へ
米投資ファンドのベインキャピタル・パートナーズがジュピターショップチャンネル(JSC)に出資する。7月末をメドにJSC株式の大半を保有する住友商事から株式50%を取得する。取得額は1000億円弱と見られる。ベインは成長を続ける国内最大手のテレビ通販企業のJSCを優良な投資対象と判断した模様。住商側も日本で培った事業モデルとノウハウを軸にJSCのアジア進出を画策していたと見られ、そのために必要なベインの持つアジア圏の小売りにおける知見やネットワークを魅力に感じた模様で、両者の思惑が合致したと見られる。ただ、これまで住商グループの完全子会社だったJSCに別の資本が入ることで従来通りの戦略が取りにくくなるのでは、との声が業界関係者からあがっているよう。JSCの今後の戦略が注視されそうだ。
ベインは、住商が99%を保有するJSC株式を、日本国内に設置する特別目的会社の「BCJ―10」を通じ、議決権ベースで50%にあたる普通株式を7月末をメドに取得予定。取得額は明らかしていないが、一部報道によると「今回の株式譲渡で住商は約1000億円を調達する」とされており、この件について「確かに(ベインとの取引完了時の)キャッシュインは約1000億円。ただ、諸々の金額が含まれており、株式売却額自体はその額よりも少ない」(住友商事)とする。
ベインは株式取得後、JSCに「副社長以下、役員2人を派遣する」(ベイン)。また、出資後も篠原氏がJSCの社長を続投するようだ。なお、住商グループのSCSKが保有するJCS株式1%については「現在、当社が買い取る方向で話し合いを進めている最中」(住友商事)という。
今回のJSC株のベインへの売却について住商では「JSCの今後の成長のため」(同)とし、調達資金を活用し伸びシロにあるネット販売事業拡大のための投資や、アジア圏を中心とした海外進出を進めたい意向。特に海外進出については積極的に進めていく模様で、候補先は「中国や台湾のほか、(インドネシアやタイなどの)ASEAN地域への進出を想定している」(同)という。
ベインは国際的な投資ファンドとして知られ、アジアでも複数の小売企業に投資しているもようでアジア圏の小売りにおける知見やネットワーク、ノウハウを持っているようだ。「ベインを事業パートナーに迎えることで迅速なアジア進出が可能となる。具体的なスケージュールは決まっていないが、近々にもJSCのアジア進出を進めたい」(同)としている。
ベイン側も「(出資の目的は)特に海外。我々の力を活用して売り上げを伸ばしたい」とする。
今回の資本提携でJSCは資金調達および海外進出に必要な知見をベインから得る一方で、出資比率が同じ大株主が住商とベインの2社になること。また、ベインは経営に直接関与するファンドとして知られ、「投資対効果を非常に重視する」(業界筋)ようだ。このため、「住商側の意見が通りにくくなり、これまでJSCが実施してきたような先行投資などを含む積極的な事業戦略が打ちにくくなるのでは」という声も業界関係者からあがっている。また、ベインが持つ小売りの知見についても確かに国内では大手外食チェーンなど、海外でも玩具や子供服など大手小売企業への投資を行なうなどの実績があるが、「テレビ通販企業への投資実績はこれまでない」(ベイン)とし、「テレビ」で小売りを行なう以上、許認可などが絡み、「各国に進出する際には時には政治力も必要となるテレビ通販事業の海外展開でもテレビ通販では実績のないベインのノウハウを活用できるかどうか疑問」(業界筋)との声も聞かれる。JSCの今後の行方が注視されそうだ。
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ベインは、住商が99%を保有するJSC株式を、日本国内に設置する特別目的会社の「BCJ―10」を通じ、議決権ベースで50%にあたる普通株式を7月末をメドに取得予定。取得額は明らかしていないが、一部報道によると「今回の株式譲渡で住商は約1000億円を調達する」とされており、この件について「確かに(ベインとの取引完了時の)キャッシュインは約1000億円。ただ、諸々の金額が含まれており、株式売却額自体はその額よりも少ない」(住友商事)とする。
ベインは株式取得後、JSCに「副社長以下、役員2人を派遣する」(ベイン)。また、出資後も篠原氏がJSCの社長を続投するようだ。なお、住商グループのSCSKが保有するJCS株式1%については「現在、当社が買い取る方向で話し合いを進めている最中」(住友商事)という。
今回のJSC株のベインへの売却について住商では「JSCの今後の成長のため」(同)とし、調達資金を活用し伸びシロにあるネット販売事業拡大のための投資や、アジア圏を中心とした海外進出を進めたい意向。特に海外進出については積極的に進めていく模様で、候補先は「中国や台湾のほか、(インドネシアやタイなどの)ASEAN地域への進出を想定している」(同)という。
ベインは国際的な投資ファンドとして知られ、アジアでも複数の小売企業に投資しているもようでアジア圏の小売りにおける知見やネットワーク、ノウハウを持っているようだ。「ベインを事業パートナーに迎えることで迅速なアジア進出が可能となる。具体的なスケージュールは決まっていないが、近々にもJSCのアジア進出を進めたい」(同)としている。
ベイン側も「(出資の目的は)特に海外。我々の力を活用して売り上げを伸ばしたい」とする。
今回の資本提携でJSCは資金調達および海外進出に必要な知見をベインから得る一方で、出資比率が同じ大株主が住商とベインの2社になること。また、ベインは経営に直接関与するファンドとして知られ、「投資対効果を非常に重視する」(業界筋)ようだ。このため、「住商側の意見が通りにくくなり、これまでJSCが実施してきたような先行投資などを含む積極的な事業戦略が打ちにくくなるのでは」という声も業界関係者からあがっている。また、ベインが持つ小売りの知見についても確かに国内では大手外食チェーンなど、海外でも玩具や子供服など大手小売企業への投資を行なうなどの実績があるが、「テレビ通販企業への投資実績はこれまでない」(ベイン)とし、「テレビ」で小売りを行なう以上、許認可などが絡み、「各国に進出する際には時には政治力も必要となるテレビ通販事業の海外展開でもテレビ通販では実績のないベインのノウハウを活用できるかどうか疑問」(業界筋)との声も聞かれる。JSCの今後の行方が注視されそうだ。