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食品通販各社 放射性の自主検査を実施、取扱食品の安全性の担保で

2011年 3月30日 18:18

 政府が3月21日に公表した東京電力福島第1原発事故に伴う農畜産物の出荷制限を受けて、自社で放射性物質の検査する食品通販実施企業が増えているようだ。各社によると出荷制限を受けて、安全性に対する不安の声が顧客から電話で多く寄せられ、中には野菜の定期購入を休止する顧客も出てくるなど、やや過剰な反応も見られたという。このため、取り扱っている商品の安心・安全の確保と風評被害の拡大防止を目的に放射性検査に踏み切る事業者が増えているようだ。

 大地を守る会(本社・千葉市美浜区、藤田和芳社長)では市民団体「放射能汚染食品測定室」を通じて測定を始めた。対象品目は福島県や栃木県、茨城県などで収穫した野菜でサンプル調査を行うもの。「今後の状況を見ながらエリアや品目など増やしていくことも検討する」(同社)としている。

 パルシステム生活協同組合連合会(事務局・東京都文京区、若森資朗理事長)でも外部の検査機関に委託して放射性物質の検査を始めた。対象エリアは福島県産のほか、茨城県産や栃木県産など北関東エリアに広げているようだ。すでに牛乳やトマト、エリンギで測定しており、「放射線物質は検出されなかった」(同社)という。

 オイシックス(本社・東京都品川区、高島宏平社長)は海老名の配送センターで放射性物質を測定。青果物やたまご、牛乳のほか、ヨーグルトなどの乳製品について、全ての商品で調査を実施。食品衛生法に定める基準を下回ったもののみを販売し、基準以上が検出した場合は販売を取り止める方針だという。

 各社が自力での放射性物質の検査を行う背景には、これまで"売り"にしてきた「安心・安全」を早期に担保したい考えがある。有機栽培や無農薬栽培の野菜・畜産品など「安全性」を確保することに加え、一般流通ではあまり公開されていない生産者や産地、生産過程を確認できる「安心感」を武器に、妊娠や出産をきっかけに家族の食生活に対する意識が高い層などを中心にこれまで利用者を拡大させてきた。

 この原発事故によって農畜産物の出荷制限が拡大・長期化し、それを放置すれば「安全なものが何かわからなくなる。安全性の確保が急務」として、食品通販各社は独自検査に着手し、取り扱う食品の安全性を自ら担保したい考えだ。

 今後も各社は自主検査を継続する。基本的には放射線が検出されないことを前提としているが、検査結果や検出数値の公表、基準値未満の放射線物質を検出した場合の野菜の取り扱いについては、その都度検討していくようだ。

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