
在京キー局が手がける今上期(4~9月)のテレビ通販売上高が出そろった。前期からキー局のテレビ通販売上高では首位に立った日テレはこの上期も増収を維持し、単独首位をキープ。番組改編などの影響で前年上期は大きく業績を落としたグランマルシェは巻き返しに成功し、3割を超える増収。テレビ東京ダイレクトは朝の帯通販枠の安定稼動で初の40億円台に乗せた。テレビ朝日は特番の本数減や客単価下落などで微減。ディノスはヒット商品に恵まれず、17%減と苦戦した。
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今上期のキー局のテレビ通販売上高で首位に立った日本テレビ放送網の上期通販売上高は前年同期比5・9%増の55億1000万円で推移。なお、同時に発表した通販事業の利益は同1・3%増の6億1800万円と増収増益だった。主力の平日午前枠を中心にポータブルカーナビ「ニュートライウインポケット」や掃除機「ダイソンDC22タービンヘッド」、「日テレ限定genten牛革オリジナルバッグ」などの売れ筋商品が堅調に売り上げを伸ばした。また、「みのもんたの売れるにはワケがある!」など通販特番が好調に推移したほか、日テレの通販特番を放送する系列の地方局の増加などによる通販枠の拡大なども増収に貢献したようだ。
2番手につけたディノスの上期のテレビ通販売上高は同17・4%減の42億8800万円(総売上高は260億4400万円でそのうち通販売上高は241億6500万円)と減収だった。前年上期はエクササイズ運動器具「シェイプビート」のヒットなどで主力の平日午前の通販枠での売り上げが好調に推移し、3割近い増収となったが、今上期はヒット商品が出ずに苦戦したようだ。
テレビ朝日の上期通販売上高は同5・9%減の41億9900万円。今上期から祝日の場合、毎回ではないが、主力の午前の通販枠を平日の通常放送よりも拡大。そこに掃除機「ダイソンDC22」やマッサージチェア「VECHプレミアム」、エアコン、電子辞書など定番の売れ筋商品を展開し同枠自体は前年上期を上回って推移したものの、前年上期には2本あった通販特番が1本に減ったほか、深夜枠が苦戦。また、客単価も下落傾向のようで前年同期比では若干の減収となった。
前年上期は度重なる番組改編や深夜枠の減少などで苦戦し、キー局5社中、唯一の減収だったグランマルシェはこの上期は見事に復活を遂げた。上期の総売上高は同26・2%増の67億6200万円でそのうち、ラジオ通販(8億2000万円)やカタログ・DMなどの紙媒体による通販(4億7000億円)、テレビ通販に紐付かないドラマやアニメのDVD販売などのネット・モバイル単独でのネット販売(5億1000万円)、系列局との連携通販事業(5億2000万円)や店舗事業などのその他事業(1億7000万円)の売上高を除くテレビ通販売上高(※前年上期はドラマDVDなどの「ネット・モバイル通販売上高」を加算していたが、今回からテレビ通販での紹介商品のネット販売売上高のみ加算)は同36・6%増の41億円だった。
前年上期は通販枠が紐付く情報番組の度重なる刷新で通販コーナーの名称や放送時間の変更で視聴者が定着しにくかったことに加えて当時、放送した世界陸上の影響で深夜枠が大幅に減少するなどで苦戦を強いられたが、今上期は朝の人気情報番組「はなまるマーケット」の後に放送される午前枠を中心に好調に推移。また、今上期から金曜午後に約15分の新たな通販枠を保有できたほか5月と7月に放送した通販特番や5月と9月に放送したレギュラー枠で売れ筋商品を集め紹介するミニ特番なども堅調に推移し前年上期の苦戦から一転、テレビ通販は大幅な増収に転じた。なお、今上期の売れ筋商品は真珠やダイヤなどのアクセサリー、羽毛布団、エクササイズ器具、ポータブルカーナビなどだったとしている。
前年上期から平日の午前8時台で12分半の通販コーナーを展開するテレビ東京ダイレクトは同番組が安定的に売り上げを上げ始めており、この上期は堅調に推移した。40代の主婦層のニーズに合致するジュエリーや補正下着、生活用品などの売れ筋を中心に売り上げを伸ばした。今上期のネット販売売上高を含む自社通販売上高は同4・5%増の16億9300万円。なお、通販枠販売事業(23億4700万円)を含めた通販関連事業は同7・1%増の40億4000万円だった。総売上高は同8・7%増の42億500万円。
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前期まで続いた各局の急激な通販事業の規模拡大は今期に入り、一旦の落ち着きを見せた格好だ。各社ともこれ以上のテレビ通販枠の拡大が難しい中、DMなど紙媒体へのチャレンジ(テレビ朝日)や他社と組んだネット販売事業の強化(グランマルシェ)、独自ポイント付与(日テレ)など次の成長のための種を各社とも蒔き始めている。それらの新しい芽の成功が今後のキー局通販の成長の1つのカギになりそうだ。(各社の上期の状況や下期からの戦略などの詳細は次号から連載)
今上期のキー局のテレビ通販売上高で首位に立った日本テレビ放送網の上期通販売上高は前年同期比5・9%増の55億1000万円で推移。なお、同時に発表した通販事業の利益は同1・3%増の6億1800万円と増収増益だった。主力の平日午前枠を中心にポータブルカーナビ「ニュートライウインポケット」や掃除機「ダイソンDC22タービンヘッド」、「日テレ限定genten牛革オリジナルバッグ」などの売れ筋商品が堅調に売り上げを伸ばした。また、「みのもんたの売れるにはワケがある!」など通販特番が好調に推移したほか、日テレの通販特番を放送する系列の地方局の増加などによる通販枠の拡大なども増収に貢献したようだ。
2番手につけたディノスの上期のテレビ通販売上高は同17・4%減の42億8800万円(総売上高は260億4400万円でそのうち通販売上高は241億6500万円)と減収だった。前年上期はエクササイズ運動器具「シェイプビート」のヒットなどで主力の平日午前の通販枠での売り上げが好調に推移し、3割近い増収となったが、今上期はヒット商品が出ずに苦戦したようだ。
テレビ朝日の上期通販売上高は同5・9%減の41億9900万円。今上期から祝日の場合、毎回ではないが、主力の午前の通販枠を平日の通常放送よりも拡大。そこに掃除機「ダイソンDC22」やマッサージチェア「VECHプレミアム」、エアコン、電子辞書など定番の売れ筋商品を展開し同枠自体は前年上期を上回って推移したものの、前年上期には2本あった通販特番が1本に減ったほか、深夜枠が苦戦。また、客単価も下落傾向のようで前年同期比では若干の減収となった。
前年上期は度重なる番組改編や深夜枠の減少などで苦戦し、キー局5社中、唯一の減収だったグランマルシェはこの上期は見事に復活を遂げた。上期の総売上高は同26・2%増の67億6200万円でそのうち、ラジオ通販(8億2000万円)やカタログ・DMなどの紙媒体による通販(4億7000億円)、テレビ通販に紐付かないドラマやアニメのDVD販売などのネット・モバイル単独でのネット販売(5億1000万円)、系列局との連携通販事業(5億2000万円)や店舗事業などのその他事業(1億7000万円)の売上高を除くテレビ通販売上高(※前年上期はドラマDVDなどの「ネット・モバイル通販売上高」を加算していたが、今回からテレビ通販での紹介商品のネット販売売上高のみ加算)は同36・6%増の41億円だった。
前年上期は通販枠が紐付く情報番組の度重なる刷新で通販コーナーの名称や放送時間の変更で視聴者が定着しにくかったことに加えて当時、放送した世界陸上の影響で深夜枠が大幅に減少するなどで苦戦を強いられたが、今上期は朝の人気情報番組「はなまるマーケット」の後に放送される午前枠を中心に好調に推移。また、今上期から金曜午後に約15分の新たな通販枠を保有できたほか5月と7月に放送した通販特番や5月と9月に放送したレギュラー枠で売れ筋商品を集め紹介するミニ特番なども堅調に推移し前年上期の苦戦から一転、テレビ通販は大幅な増収に転じた。なお、今上期の売れ筋商品は真珠やダイヤなどのアクセサリー、羽毛布団、エクササイズ器具、ポータブルカーナビなどだったとしている。
前年上期から平日の午前8時台で12分半の通販コーナーを展開するテレビ東京ダイレクトは同番組が安定的に売り上げを上げ始めており、この上期は堅調に推移した。40代の主婦層のニーズに合致するジュエリーや補正下着、生活用品などの売れ筋を中心に売り上げを伸ばした。今上期のネット販売売上高を含む自社通販売上高は同4・5%増の16億9300万円。なお、通販枠販売事業(23億4700万円)を含めた通販関連事業は同7・1%増の40億4000万円だった。総売上高は同8・7%増の42億500万円。
前期まで続いた各局の急激な通販事業の規模拡大は今期に入り、一旦の落ち着きを見せた格好だ。各社ともこれ以上のテレビ通販枠の拡大が難しい中、DMなど紙媒体へのチャレンジ(テレビ朝日)や他社と組んだネット販売事業の強化(グランマルシェ)、独自ポイント付与(日テレ)など次の成長のための種を各社とも蒔き始めている。それらの新しい芽の成功が今後のキー局通販の成長の1つのカギになりそうだ。(各社の上期の状況や下期からの戦略などの詳細は次号から連載)