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楽天「AIなくして未来なし」 三木谷社長が講演「モバイル感謝祭」大成功

2025年 2月 6日 12:00

 楽天グループは1月31日、仮想モール「楽天市場」出店者向けのイベント「楽天新春カンファレンス2025」を開催した。冒頭登壇した同社の三木谷浩史社長(=画像)は、人工知能(AI)を活用した店舗オペレーション支援や、「楽天モバイル」の利用者増がもたらす店舗へのメリットについて語った(1面に関連記事)。

 「『No Rakuten, No Life』、皆さんと一緒に楽天市場を盛り上げていきたい」という言葉から講演をスタートした三木谷社長は、「今年の大きなテーマは、皆さんがいかにAIを使いこなせるようになるかだ」とした上で、「AIを使いこなせない企業・人の未来は厳しくなってくる、つまり『No AI, No Future』だ」と述べた。

 同社では「トリプル20」と銘打ち、生成AIを用いてマーケティング効果・オペレーション効率・クライアント効率をそれぞれ20%増加させることを目標として掲げている。楽天市場におけるAI活用事例としては、ユーザーの意図を理解した上で、より関連性の高い結果を表示させる「セマンティック検索」や、よりパーソナライズ化された「セマンティックレコメンデーション」、「ダイナミックな広告表示」により、ユーザー検索体験の向上が進んでいる。

 また、同社ECコンサルタント(ECC)の業務効率も大幅に向上。例えば製品比較スライド作成AIを活用することで、スライド作成の所要時間が30分から1分に短縮。ECCの業務効率は10.7%向上しており、「AI人財化」が進んでいるという。

 同社では昨年3月、AIを活用した店舗運営支援ツール「RMS AIアシスタント β版」を、出店者向け店舗運営システム「RMS」において提供を開始。3万以上の店舗が利用しており、作業効率化や効率的な広告出稿、セール施策の分析などに活用することで、成功事例も多数生まれている。三木谷社長は「AI活用がどれほど重要な話になってくるかということで、事例を紹介した。楽天グループとしては、全力で(店舗のAI活用を)応援していきたい」と強調した。

 利用者数が伸びている楽天モバイルについては「No Mobile, No Successs」とした。近年は若年層を中心に、楽天モバイルへの乗り換えが加速。また、楽天モバイル契約者は、非契約者より2.43サービス多く利用するなど、楽天エコシステムへの好影響が出てきているという。

 楽天モバイル契約者は利用金額も上昇する傾向にあり、特に楽天市場での購入額を非契約者と比較すると、46・9%多くなっている(過去同様の購買傾向がある楽天モバイル契約者と非契約者の直近1年間における各サービスでの流通総額比較)。また、楽天モバイルと楽天カードを両方契約している顧客における、昨年12月に開催された「楽天スーパーセール」購入金額は、71.9%増加。楽天モバイル単体は30.1%、楽天カード単体は18.3%だったのに対し、両サービス利用による顧客育成効果は非常に高くなっている。

 昨年12月には、「Rakuten最強プラン」契約者を対象に、30以上の楽天グループのサービスから総額3億円相当の特典を進呈する「楽天モバイル最強感謝祭」を開催。「初の試みだったが、大成功だった。楽天モバイル契約者は、1万3000円以上余分に買ってくれたということで、非常にシナジーが高い」。今後は3カ月に1回「感謝祭」を開催するという。

 また、楽天モバイルのデータを活用したマーケティング効率も向上。例えば、競合サイト訪問ユーザーへの広告配信結果は、楽天モバイルデータを使った場合、広告経由CVRが93%向上した。今年は、モバイルデータを使った広告商品を提供する。

 三木谷社長は「AIをツールとして使いこなし、よりクリエイティブな部分に時間を使うことで、事業を発展させることができる」とビジョンを示した上で、「企業が小さいとか、年齢を重ねているからとかで『AIが使えない』というのは駄目。決して難しくないので、使いこなそう」と出席者に呼びかけた。

 
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