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スクロール(本社・浜松市中区、堀田守社長)の2010年9月中間決算は、売上高が前年同期比1・8%増の282億9400万円、営業利益が同41・3%増の15億5700万円で増収増益となった。売上高は消費低迷の影響を受け減少したものの、化粧品ネット販売のイノベートを子会社化したことでカバー。一方、利益面では経費削減が奏功。経常利益は同37・4%増の16億7400万円、当期純利益は同20・4%減の8億9900万円で、繰越欠損金解消により減少した。
売上高こそ期初の計画を下回ったものの、利益面では計画を大きく上回る結果となった。採算の取れないカタログの部数を減らしたほか、用紙代を削減。原価率こそ57・6%で前年同期から0・6ポイント悪化したものの、これは4月に買収したイノベートの原価率が約77%と高かったことが原因。同社を除けば逆に1・1ポイント改善している。中国との直接貿易を増やすなどの取り組みの成果が出ているようだ。また、全社的な経費削減プロジェクトを推し進め、3億3500万円削減した。
同社では今期から、セグメント区分を変更し、通信販売事業(生協事業も含む)を「アパレル」「インナー」「非アパレル」の3つに分割した。前期までの「通販事業」「生協事業」という区分で売上高を比較すると、通販は前年同期から約15%の減収、生協は微増となったようだ。
イノベートの中間期売上高は約22億円。09年10月期の売上高は60億9900万円だったことを考慮すれば、売り上げは伸び悩んだ格好だ。8月に同社が過去販売した化粧品に表示違反があったことが発覚し、回収を余儀なくされたことが影響している。なお、スクロールでは違反はイノベート前経営陣の主導で行われていたとみており、前社長の吉本雅則氏らに対し「刑事、民事の両方で法的措置を講じる」(堀田守社長)としている。
11年3月期の売上高は、前期比7・8%増の600億円を見込んでおり、期初の予想から50億円下方修正した。一方、営業利益は同5・6%増の23億円となる見込みで、期初予想を据え置いた。中間の営業利益は、予想を約5億円上回っただけに保守的な見通しだが、その理由について堀田社長は「綿花の高騰と中国での生産の状況が良くないこと」を挙げる。
現在、中国では労働力不足が深刻化しており、アパレル関連に従事する労働者が減少。そのため賃金が急騰し、採算が合わなくなってきているのが実情だ。「品質管理が厳しく、ロットの小さい日本企業のオーダーは効率が悪く後回しにされがち。特に、労働者が休暇を取る旧正月の時期は生産スペースの確保が厳しくなりそうだ」(同)という。