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シャンピニオンエキスの消臭作用を標ぼうし、健康食品を販売していた7社の「景品表示法」違反事件で、製造元のリコムが処分取り消しの審判請求をしていた問題について、公正取引委員会は7月17日、審判を始めた。審判はリコムの求めた「表示に対する合理的根拠の判断」など排除命令そのものに対してではなく、リコムによる「第三者申し立ての適否」を判断するもので、長期化の様相を呈している。だが今回の審判は「景表法」における〝表示主体者〟の解釈に踏み込む重要なものとなる。
「うちの製品は製造元が行った臨床試験に基づいて表示を行っているため安心」――。健食販売で製造元の資料を根拠に表示を行う事業者は少なくない。だが、表示責任は根本的に誰が責任を負うものなのか。この点に関しての判断はあいまいで、漠然と販売事業者が負うものと思っている。
今回の排除命令でも、処分対象は販売事業者。リコムが提供する資料に基づき表示を行っていたが、同社が直接の処分対象でないことが審判を複雑なものにしている。
他業種にみられる過去の処分事例はどうか。
例えば、メーカーや卸事業者の小売向け表示物が不当表示の原因になったケース。2002年、食肉製造の丸紅畜産に対する排除命令では、同社が包装に記載する原産国表示が不当表示とされた。最近でも家電製造の日立アプライアンスに対する排除命令では、小売事業者に表示物を提供していた同社が処分されている。
こうした処分の背景にあるのは「景表法」の〝表示主体者〟という概念。製造元の説明を鵜呑みにして小売業者が表示を行う場合があるため、製造元の責任が問われる場合がある。だが、この判断はこれまで公取委の裁量に委ねられてきた。
今処分ではなぜリコムが第三者となり、販売事業者が表示主体者となったのか。審決で明らかにされるであろう公取委の表示主体者に関する見解は、今後の表示規制に影響を及ぼすものとなる。
同日の審判では10月7日に次回審判を行うことで合意。公取委は次回までに第三者申し立ての妥当性を示す意見書の作成を求め、リコムでは「販売会社と利害関係があるため資格がある」(本郷亮弁護士)として、次回以降争っていく構えだ。