「また違反行為する」【Cネット東海差止訴訟の影響】 主張に「独善」を懸念する声
2021年10月21日 13:00
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2024年11月21日 12:00
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2024年 3月22日 12:00
「性悪説に立った差止請求を懸念」
Cネット東海の主張は、ファビウスが一審判決後、申込確認画面の仕様を変更したことを根拠にしている。画面の仕様例を示した消費者庁のガイドラインを「熟知しながら、それに沿った表示に変えようとせず、さらに誤認を生じさせやすい表示にした」と指摘。「有利誤認を現に行っているだけでなく、今後も行うおそれがある」とした。高裁で変更後の申込確認画面も追加請求して違法性を争った。
名古屋高裁は、変更前の画面が「有利誤認と認められないから前提を欠き、(追加請求分も有利誤認はないため)今後も違反するおそれがあるとは認めがたく、これを認めるに足りる根拠もない」と退けた。
裁判で明らかになったファビウスに関する相談件数は年間約3000件(16年度)。「解約できない」との誤認は、発送件数に対し0・073%とはいえ、件数や内容は議論の余地があるかもしれない。
ただ、適格団体の主張には、「性悪説に立って差止請求されてはたまらない」(企業関係者)、「”またやる”という決めつけは独善を生む」(景表法の専門家)と、今後の差止権限の運用に懸念の声が聞かれた。
平均より劣る消費者で判断すべき
訴訟では、景品表示法における「一般消費者」の定義や、「ガイドライン違反」に関する見解も示された。
Cネット東海は、「多種多様な平均より劣る消費者がいることを前提」として景表法上の誤認を判断すべきと主張。通販は一定期間無条件で返品できる特約が設けられていることが多く、「これを知る消費者は、中途解約できないと認識できない」とした。
返品特約を理解する消費者が”平均より劣る消費者”かは不明だが、高裁は、「多種多様な平均より劣る消費者」の定義が明らかではないと判断。「健全な常識を備えた消費者の認識」を基準にすることが景表法の趣旨に合致するとした上で、ファビウスは広告内で繰り返し継続条件を示しており、「この部分にすら目を通さない一般消費者がいるとすれば、それはもはや保護に値するものとはいい難い」と判示した。
ガイドラインに法規範性はない
ガイドライン違反について、Cネット東海は、消費者庁が2017年の特定商取引法改正に合わせて策定した「インターネット通販における『意に反して契約の申込みをさせようとする行為』に係るガイドライン」を根拠に主張。良い例として示された確認画面の具体例(=画像)をもとに、ファビウスの広告表示は「初回分の代金のみ枠内に囲われて表示され、それ以外は枠の外に分離されており、継続契約と容易に理解できない」と、違法性を指摘した。ファビウスは、「ガイドラインは消費者庁の見解を示したものにすぎず、法規範性を持たない」、「抵触のおそれがある行為があっても、直ちに有利誤認になるわけではない」と反論した。
高裁は、ファビウスの申込確認画面は、ガイドラインで例示された申込確認画と同様、「枠に囲われた初回分の代金のすぐ下に2回目以降の代金が表示され、殊更分離されていると認めがたい」と判断。仮に同一視できなくても「ガイドラインは一つの指針に過ぎず、それに準拠していない部分があることを持って直ちに違法と評価されるものではない」とした。(つづく)