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楽天 「モバイルは経済圏に重要」、三木谷社長が講演、楽天市場流通額は3兆円に

2021年 2月 4日 13:00

 楽天は1月28日、仮想モール「楽天市場」出店者向けのオンラインイベント「楽天新春カンファレンス2021」を開催した。店舗関係者など3万人以上が参加している。

 今年は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、オンラインでの開催となった。登壇した同社の三木谷浩史社長(=画像)は「コロナ禍で100年に一度の社会変革が進んでいる。デジタル化のスピードが10倍ほど加速していくだろう」と述べ、楽天市場の現状やネットショッピングの未来などについて語った。

 楽天市場の流通総額はコロナ禍で拡大基調が加速。昨年7~8月の1人あたり月間購入額は前年同期比10・9%増、7~9月のユーザー定着率は約75%(4~6月に購入したユーザーが7~9月に購入した割合)となっており、12月の流通総額は前年同月比で50%弱の増加と好調に推移している。

 また、3月に導入した「送料無料ライン」も成長を後押ししている。12月現在で導入店舗の比率は85%、導入店舗の流通総額比率は89・4%。4~12月の成長率(前年同期比)を導入店舗と未導入店舗で比較すると、前者が約25ポイント上回っているという。さまざまなモールのクオリティー改善活動により、顧客推奨度を示すネットプロモータースコアは13・9ポイント向上した。

 その結果、2020年の流通総額は3兆円を超えた。2兆円に達した18年から2年で1兆円を上積みしたことになる。「流通総額1兆円を突破した際の目標は3兆円だったが、次の目標は10兆円。30年までには達成したい。日本のネット販売比率は6・76%と諸国に比べると極めて低いので、成長余地は大きく、夢物語でも何でもない。皆さんも業容をどんどん拡大すべく、準備してほしい」(三木谷社長)。

 楽天会員数は約1億、クロスユース率は約72・6%、年間ポイント発行数は約4700億(20年実績)、累計ポイント発行数は2兆突破(昨年9月末)、ポイント消化率は90%以上に及ぶ。「楽天は集合体が強みだが、当社の実態であり、心のふるさとであり、一番重要なのは楽天市場だ」(三木谷社長)。

 グループサービスのユーザーやポイントが楽天市場へと還流する「楽天エコシステム」のさらなる拡大に向け、新規ユーザー獲得のカギとなるのがモバイル事業だ。楽天モバイルでは29日に料金プランの刷新を発表(5面参照)したが、楽天モバイル申込者のうち15%が楽天の新規ユーザーとなっている。サービス開始から6カ月間で、こうした楽天新規ユーザーのうち、35%が他サービスを利用しており、楽天市場の利用比率は25%となっている。

 楽天モバイル加入後の楽天市場ユーザーに関しては、1人あたりの月額流通総額は44%増(19年5月から20年までに楽天市場を利用し、昨年5月に楽天モバイルへ加入したユーザーの数値)。楽天モバイル契約者の55・1%が昨年12月に楽天市場で商品を購入している。「楽天モバイルユーザーが数千万になれば、多くの人たちが楽天市場で商品を買うようになるはずだ。楽天モバイルは楽天経済圏にとって非常に重要な存在になる」(三木谷社長)。

 講演で三木谷社長は「サステナブル(持続可能な発展)」に関する取り組みも紹介。「この10年間で二酸化炭素の削減をしないと世界は取り返しのつかないことになる」とした上で、「企業にとってサステナビリティーや二酸化炭素の削減は他人事ではない。『良いこと』ではなく『やらなくてはいけないこと』であり、やっていない企業は社会的に抹殺される段階に来るだろう」と述べ、同社の取り組みや国際的なイニシアチブ「RE100」に加盟したことなどを紹介。「『楽天がCo2フリーでも店舗が排出している』のでは良くないので、皆さんも社会的責任の一つとして環境問題を考えてもらいたい。社員の方々もこうした問題への意識が高まっていると思うので、従業員のやりがいや『幸せ関数』を上げるためにも重要ではないか」と呼びかけた。

 最後に三木谷社長は「大きな変革とチャンスが待っている中で、チャレンジしなければ衰退するしかない。送料無料ラインは物議もあったが、大きな効果があった。われわれも間違えることはあるだろうが、皆さんの声にしっかりと耳を傾けて頑張っていきたい」と結んだ。
 
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