機能性表示食品制度の新ルール案が公表された。大きな狙いは、景品表示法違反の予見可能性を高めること。ルールの制定と事業者団体との連携で、違反となるケースは激減しそう。一方で効果の暗示を含め「健康食品」への取締りは厳しくなる見通しで、今後、機能性表示食品への求心力はさらに高まりそうだ。
「事後チェック指針」4月から運用開始
消費者庁は景表法執行の予見性を高める「事後チェック指針」は1月16日に公表した。パブリックコメントを経て、4月から運用を開始する。
指針は「科学的根拠(エビデンス)」と「広告」の留意点の二部構成からなる。
「科学的根拠」は、臨床試験、研究レビューによる各機能性表示について、明らかに問題となる事例を具体的に示す。個別事例で判断が異なる「グレーゾーン事案」は、事業者団体が組織する第三者機関を設立し、これと連携して対処する。
「広告」は、構成要素となる「イラスト・写真」や「試験結果・グラフ」、「医師・専門家の推奨」、「体験談」等で、景表法上問題となる事例をあげている(=表)。16社が景表法違反となった「葛の花事件」、薬機法への抵触で撤回が続いた「歩行能力の改善問題」で問題化した事例を列挙し、「健食留意事項」の考えを再整理した。指針に沿えば、食品表示法や健康増進法など他の重畳的規制でも問題にしないとの考えも明記した。
第三者機関、疑義事案をジャッジ
今後、機能性表示食品をめぐる景表法運用は、日本通信販売協会など、事業者団体と連携する。
指針で示された景表法のリスクは「科学的根拠の妥当性」と「届出表示と広告表現のかい離」の2つだ。
「科学的根拠の妥当性」について、消費者庁に寄せられた疑義の判断では、企業側との見解の相違から、調査が数カ月に及ぶケースもあり、「その都度、リソースを割き、専門家に依頼するのは限界がある」(表示対策課)。このため、科学的根拠の妥当性は、健食関連の事業者5団体(日本通信販売協会、健康食品産業協議会、日本健康・栄養食品協会、日本抗加齢協会、日本チェーンドラックストア協会)で組織する第三者機関が判断する。組織は4月までに設立される見通しだ。「やり取りしているものを景表法で処分はしない」(同)としており、妥当性の問題は解消できるとみる。この仕組みの導入で届出から公表までの迅速化も図れるとする。
「届出表示と広告表現のかい離」が問題となる「広告」は、各団体に相談窓口の設置を求める。指針に基づき、消費者庁と業界5団体が定期的に目線合わせを行い、企業からの事前相談に対応し、違反のおそれがある事例に注意をうながす。こうした手続きを経ないアウトサイダーは、従来通り、景表法で処分する。
業界は、日本通信販売協会と健康食品産業協議会が中心となり、機能性表示食品の「公正競争規約」の検討を始めている。「規約のある業界はそもそも明らかな景表法違反が起きない。軽微な事案は協議会に委ねる」(同)としており、この取り組みも支援する。
健食の取締りに「リソース割ける」
一方、「いわゆる健康食品」は規制強化となりそうだ。1月16日に消費者庁トップの伊藤明子長官が今後の方針として述べた。
伊藤長官は、機能性表示食品の広告について、「効果を誇大に言うと誤解を招く。一方で過度な規制は商品開発の意欲を削ぐ。その点のルールが必ずしも十分でなかった」と語り、「指針の運用で制度の安心感が高まる」と、制度のさらなる育成に言及した。
健食等への対応については、「規制に注力できる」と、厳正対処の方針を示した。消費者庁は今後、指針の内容を既存の「健食留意事項」に反映させる方針だ。指針では効果の「暗示」にも言及している。
表示対策課も、健食の広告について「機能性表示食品の問題がなくなれば、その分、リソースを問題ある健食の取締りに向けられる。どちらが世の中のためか」と話す。
◇
本来、機能性表示食品は表示が明確で、科学的根拠が公表されており、景品表示法で規制する「著しい誤認」は発生しづらい。今回の指針で細かい問題もクリアとなり、違反のリスクは激減、「事実上『聖域』となり、特に大手企業は安心して事業に取り組める」(事業者)と歓迎の声があがる。
一方で、表示も根拠もあいまいな、健食は、景表法抵触のリスクが高く、今後違反となるケースが増えそうだ。
消費者庁は健食の暗示的な効果も取り締まっており、「暗示のどこまでが違反か不透明」(大手企業)、「成分広告まで取り締まっており、過剰規制」(同)との懸念も聞かれる。今後のポイントは、健食の取締りの線引きとなりそうだ。
景表法リスク拡大か、消費者庁「エセ健食を排除」
<健康食品の広告規制>
事後チェック指針は、景表法リスクに対する透明性を高めることが目的だ。
「取締りの予見可能性が低い」。2018年11月、日本通信販売協会(=JADMA)と、健康食品産業協議会の2団体は、政府の規制改革推進会議で訴えた。背景には、「葛の花事件」、「歩行能力の改善問題」などで制度に対する企業の不満が蓄積していたことがある。
これを受け、政府は昨年6月に閣議決定した規制改革実施計画に、機能性表示食品の広告規制緩和に向けた施策を盛り込んだ。一つは、「法執行方針の明確化」。もう一つは、「制度運用における連携強化(第三者的な役割を持つ機関・組織の活用による法執行の透明性確保)」だ。前者が今回の事後チェック指針につながった。
2団体は、今回の指針策定に「行政と業界で調整を進めてきたもので納得が得られるものになった」(協議会)、「予見可能性を高める第一歩」(JADMA)と評価する。一方、「言葉だけでは分かりにくく、時間をかけて解説していく必要がある」(同)と、運用面でも行政と連携していく考え。2団体は、公正競争規約の検討も始めており、制度の健全な育成を目指す。
「エセ健康食品を排除する」。業界団体のある催しで、消費者庁表示対策課の幹部は指針の狙いについてこう漏らす。「飲んだ瞬間痩せると広告して10億稼ぐ。処分を受けようが会社を畳んで終わり。今の健食は、消費者から見て良し悪しの見分けがつかない。せいぜいトクホぐらい。公正マークがつき、それがないものはヤバいというぐらいまでにしたい」。業界による公正競争規約の策定にも期待する。一方、機能性表示食品の広告規制緩和と引き換えに健食に対する規制強化の意思を隠さない。「機能性以外は、ビタミン系で栄養補給を表示できる程度にしたい」とも話す。
現状は、制度活用できる対象範囲が絞られ、そこから漏れる健食もある。これには、「段階的に取り入れていけばよい」という。
健食で進みそうな広告規制強化に企業からは「健食は怖くて広告できない。機能性表示食品は、指針策定で意図しないルール逸脱の歯止めになる」、「広告ルールが明確になれば制度を活用しやすい。積極的に機能性表示食品を使いたい」といった声が聞かれる。
日健栄協が独自に検討へ、協賛6団体にすき間風
<「公正競争規約」策定の動向は?>
指針の運用に向け、消費者庁は、事業者団体が結集して第三者機関を設立することを求める。これと連携して機能性表示食品の「科学的根拠」の妥当性を判断。「景品表示法の調査を受けた一企業が行政と対峙するのは難しい。中小の駆け込み寺になれば」と期待する。業界では、日本通信販売協会(=JADMA)と健康食品産業協議会(=協議会)の2団体が「公正競争規約」の策定を目指す。広告の問題を含め、規約を運用する公正取引協議会がその役割を担うことも否定しない。
◇
「特に一つだけ申し上げたい。業界の発展、信頼向上のためにトクホの公正競争規約を新年度早々に実施したい。機能性表示食品も6団体と協力しつつ規約を検討する」。1月17日、都内で行われた日本健康・栄養食品協会の新春賀詞交歓会で、下田智久理事長(
写真)は、こうあいさつした。
6団体は、業種等で成り立ちや立場が異なる全日本自然食品協会、薬業健康食品研究会、健康と食品懇話会、日本栄養評議会、国際栄養食品協会、サプリメント・エグゼクティブ会議。ただ、会場に日健栄協を含め7団体を傘下に収める協議会、橋本正史会長の姿はなかった。
◇
下田理事長は、JADMAなど2団体が進める規約の検討に合流するかに「規約は簡単にはできない。皆が色んな案を作ればいい。最後にいいとこ取りをした規約を作れば」と、2団体とは別に、独自路線を突き進む。
ただ、協力を呼び掛ける6団体と日健栄協の間にもすき間風が吹いている。6団体のある幹部は、2団体とは別に規約策定を進めることに「ダブルスタンダードはよくない」と指摘。「GMPもそうだが本来まとまるべき。協議会がJADMAと協議しているのに『別で』というのはおかしい。日健栄協も協議会の会員なのだから、そこを通じて意見を伝えるのが筋」と話す。
別の6団体幹部は、「個々の団体にも不満がある。日健栄協は6団体に相談なしに動くことも多い。僕らは日健栄協の議論に積極的に参加していない」とする。規約に限らず協議会、日健栄協がそれぞれが独自に検討を進めることも多く「調整が大変。日健栄協はイニシアチブを取りたいのだと思う」との声も聞かれる。
国会のチェアマンでもある日健栄協の山東昭子名誉会長は、「詳細な状況を把握していない」としつつ、「業界が結集し協力していくことが望ましい」と、団体の垣根を越えて足並みを揃えることを期待する。
◇
規約をめぐっては、本紙が昨年末に行ったアンケート調査でも「2団体が受け皿となることが望ましい」とする意見が5割を超え、反対は5%にとどまった。日健栄協の独自路線に「賛成」は1社の2%。「反対」が3割を超えた。「どちらともいえない」という企業も一本化を求める声が大半だ。
企業からは「イニチアチブを取れないから反対と思わせる行為が非常に残念」「新たな収益源が欲しいだけ」「独自に策定する必要性が薄い」との声が寄せられた。
内憂外患を抱え、たそがれの時代を迎えた日健栄協は再び業界の信頼を取り戻すことができるのか。新制度の導入で業界各社の意識の変革が進む中、協会はその流れから取り残されつつある。
「事後チェック指針」4月から運用開始
消費者庁は景表法執行の予見性を高める「事後チェック指針」は1月16日に公表した。パブリックコメントを経て、4月から運用を開始する。
指針は「科学的根拠(エビデンス)」と「広告」の留意点の二部構成からなる。
「科学的根拠」は、臨床試験、研究レビューによる各機能性表示について、明らかに問題となる事例を具体的に示す。個別事例で判断が異なる「グレーゾーン事案」は、事業者団体が組織する第三者機関を設立し、これと連携して対処する。
「広告」は、構成要素となる「イラスト・写真」や「試験結果・グラフ」、「医師・専門家の推奨」、「体験談」等で、景表法上問題となる事例をあげている(=表)。16社が景表法違反となった「葛の花事件」、薬機法への抵触で撤回が続いた「歩行能力の改善問題」で問題化した事例を列挙し、「健食留意事項」の考えを再整理した。指針に沿えば、食品表示法や健康増進法など他の重畳的規制でも問題にしないとの考えも明記した。
第三者機関、疑義事案をジャッジ
今後、機能性表示食品をめぐる景表法運用は、日本通信販売協会など、事業者団体と連携する。
指針で示された景表法のリスクは「科学的根拠の妥当性」と「届出表示と広告表現のかい離」の2つだ。
「科学的根拠の妥当性」について、消費者庁に寄せられた疑義の判断では、企業側との見解の相違から、調査が数カ月に及ぶケースもあり、「その都度、リソースを割き、専門家に依頼するのは限界がある」(表示対策課)。このため、科学的根拠の妥当性は、健食関連の事業者5団体(日本通信販売協会、健康食品産業協議会、日本健康・栄養食品協会、日本抗加齢協会、日本チェーンドラックストア協会)で組織する第三者機関が判断する。組織は4月までに設立される見通しだ。「やり取りしているものを景表法で処分はしない」(同)としており、妥当性の問題は解消できるとみる。この仕組みの導入で届出から公表までの迅速化も図れるとする。
「届出表示と広告表現のかい離」が問題となる「広告」は、各団体に相談窓口の設置を求める。指針に基づき、消費者庁と業界5団体が定期的に目線合わせを行い、企業からの事前相談に対応し、違反のおそれがある事例に注意をうながす。こうした手続きを経ないアウトサイダーは、従来通り、景表法で処分する。
業界は、日本通信販売協会と健康食品産業協議会が中心となり、機能性表示食品の「公正競争規約」の検討を始めている。「規約のある業界はそもそも明らかな景表法違反が起きない。軽微な事案は協議会に委ねる」(同)としており、この取り組みも支援する。
健食の取締りに「リソース割ける」
一方、「いわゆる健康食品」は規制強化となりそうだ。1月16日に消費者庁トップの伊藤明子長官が今後の方針として述べた。
伊藤長官は、機能性表示食品の広告について、「効果を誇大に言うと誤解を招く。一方で過度な規制は商品開発の意欲を削ぐ。その点のルールが必ずしも十分でなかった」と語り、「指針の運用で制度の安心感が高まる」と、制度のさらなる育成に言及した。
健食等への対応については、「規制に注力できる」と、厳正対処の方針を示した。消費者庁は今後、指針の内容を既存の「健食留意事項」に反映させる方針だ。指針では効果の「暗示」にも言及している。
表示対策課も、健食の広告について「機能性表示食品の問題がなくなれば、その分、リソースを問題ある健食の取締りに向けられる。どちらが世の中のためか」と話す。
◇
本来、機能性表示食品は表示が明確で、科学的根拠が公表されており、景品表示法で規制する「著しい誤認」は発生しづらい。今回の指針で細かい問題もクリアとなり、違反のリスクは激減、「事実上『聖域』となり、特に大手企業は安心して事業に取り組める」(事業者)と歓迎の声があがる。
一方で、表示も根拠もあいまいな、健食は、景表法抵触のリスクが高く、今後違反となるケースが増えそうだ。
消費者庁は健食の暗示的な効果も取り締まっており、「暗示のどこまでが違反か不透明」(大手企業)、「成分広告まで取り締まっており、過剰規制」(同)との懸念も聞かれる。今後のポイントは、健食の取締りの線引きとなりそうだ。
景表法リスク拡大か、消費者庁「エセ健食を排除」
<健康食品の広告規制>
事後チェック指針は、景表法リスクに対する透明性を高めることが目的だ。
「取締りの予見可能性が低い」。2018年11月、日本通信販売協会(=JADMA)と、健康食品産業協議会の2団体は、政府の規制改革推進会議で訴えた。背景には、「葛の花事件」、「歩行能力の改善問題」などで制度に対する企業の不満が蓄積していたことがある。
これを受け、政府は昨年6月に閣議決定した規制改革実施計画に、機能性表示食品の広告規制緩和に向けた施策を盛り込んだ。一つは、「法執行方針の明確化」。もう一つは、「制度運用における連携強化(第三者的な役割を持つ機関・組織の活用による法執行の透明性確保)」だ。前者が今回の事後チェック指針につながった。
2団体は、今回の指針策定に「行政と業界で調整を進めてきたもので納得が得られるものになった」(協議会)、「予見可能性を高める第一歩」(JADMA)と評価する。一方、「言葉だけでは分かりにくく、時間をかけて解説していく必要がある」(同)と、運用面でも行政と連携していく考え。2団体は、公正競争規約の検討も始めており、制度の健全な育成を目指す。
「エセ健康食品を排除する」。業界団体のある催しで、消費者庁表示対策課の幹部は指針の狙いについてこう漏らす。「飲んだ瞬間痩せると広告して10億稼ぐ。処分を受けようが会社を畳んで終わり。今の健食は、消費者から見て良し悪しの見分けがつかない。せいぜいトクホぐらい。公正マークがつき、それがないものはヤバいというぐらいまでにしたい」。業界による公正競争規約の策定にも期待する。一方、機能性表示食品の広告規制緩和と引き換えに健食に対する規制強化の意思を隠さない。「機能性以外は、ビタミン系で栄養補給を表示できる程度にしたい」とも話す。
現状は、制度活用できる対象範囲が絞られ、そこから漏れる健食もある。これには、「段階的に取り入れていけばよい」という。
健食で進みそうな広告規制強化に企業からは「健食は怖くて広告できない。機能性表示食品は、指針策定で意図しないルール逸脱の歯止めになる」、「広告ルールが明確になれば制度を活用しやすい。積極的に機能性表示食品を使いたい」といった声が聞かれる。
日健栄協が独自に検討へ、協賛6団体にすき間風
<「公正競争規約」策定の動向は?>
指針の運用に向け、消費者庁は、事業者団体が結集して第三者機関を設立することを求める。これと連携して機能性表示食品の「科学的根拠」の妥当性を判断。「景品表示法の調査を受けた一企業が行政と対峙するのは難しい。中小の駆け込み寺になれば」と期待する。業界では、日本通信販売協会(=JADMA)と健康食品産業協議会(=協議会)の2団体が「公正競争規約」の策定を目指す。広告の問題を含め、規約を運用する公正取引協議会がその役割を担うことも否定しない。
◇
「特に一つだけ申し上げたい。業界の発展、信頼向上のためにトクホの公正競争規約を新年度早々に実施したい。機能性表示食品も6団体と協力しつつ規約を検討する」。1月17日、都内で行われた日本健康・栄養食品協会の新春賀詞交歓会で、下田智久理事長(写真)は、こうあいさつした。
6団体は、業種等で成り立ちや立場が異なる全日本自然食品協会、薬業健康食品研究会、健康と食品懇話会、日本栄養評議会、国際栄養食品協会、サプリメント・エグゼクティブ会議。ただ、会場に日健栄協を含め7団体を傘下に収める協議会、橋本正史会長の姿はなかった。
◇
下田理事長は、JADMAなど2団体が進める規約の検討に合流するかに「規約は簡単にはできない。皆が色んな案を作ればいい。最後にいいとこ取りをした規約を作れば」と、2団体とは別に、独自路線を突き進む。
ただ、協力を呼び掛ける6団体と日健栄協の間にもすき間風が吹いている。6団体のある幹部は、2団体とは別に規約策定を進めることに「ダブルスタンダードはよくない」と指摘。「GMPもそうだが本来まとまるべき。協議会がJADMAと協議しているのに『別で』というのはおかしい。日健栄協も協議会の会員なのだから、そこを通じて意見を伝えるのが筋」と話す。
別の6団体幹部は、「個々の団体にも不満がある。日健栄協は6団体に相談なしに動くことも多い。僕らは日健栄協の議論に積極的に参加していない」とする。規約に限らず協議会、日健栄協がそれぞれが独自に検討を進めることも多く「調整が大変。日健栄協はイニシアチブを取りたいのだと思う」との声も聞かれる。
国会のチェアマンでもある日健栄協の山東昭子名誉会長は、「詳細な状況を把握していない」としつつ、「業界が結集し協力していくことが望ましい」と、団体の垣根を越えて足並みを揃えることを期待する。
◇
規約をめぐっては、本紙が昨年末に行ったアンケート調査でも「2団体が受け皿となることが望ましい」とする意見が5割を超え、反対は5%にとどまった。日健栄協の独自路線に「賛成」は1社の2%。「反対」が3割を超えた。「どちらともいえない」という企業も一本化を求める声が大半だ。
企業からは「イニチアチブを取れないから反対と思わせる行為が非常に残念」「新たな収益源が欲しいだけ」「独自に策定する必要性が薄い」との声が寄せられた。
内憂外患を抱え、たそがれの時代を迎えた日健栄協は再び業界の信頼を取り戻すことができるのか。新制度の導入で業界各社の意識の変革が進む中、協会はその流れから取り残されつつある。