「マウジー」や「スライ」などレディース衣料を中心に展開するバロックジャパンリミテッドは、ECチャネルで展開するブランド「スタイルミキサー」の顧客開拓で成果が出てきている。
ブランドをスタートしたのは2018年4月で、とくに初期段階ではインスタグラムを中心としたSNSでの認知拡大を推進。ブランドディレクターを務める松本恵奈さんが約56万人のインスタフォロワーを抱えているため発信力があり、現状でも松本さんのファンが顧客に多いようだ。
加えて、新客へのアプローチとしてはユーチューブでのコーディネート提案も有効だという。同社にはユーチューブのチャンネル登録者数27万人以上というスタッフが、自社ブランドに限定することなくファッションの着こなし術やメーク動画などを配信して人気を集めている。
当該スタッフが自発的に「スタイルミキサー」の服を使ったコーデを提案したことで、新規ユーザーが増えたほか、複数の着用アイテムがヒットした。
例えば、「2WAYハイスリットワンピース」(税別6980円)というニットワンピースは前後どちらでも着用することができる2WAYデザインで、フロントスリットはディテールや色、素材をチラ見せして楽しめる。シンプルに着こなすときは、スリットを後ろにすればパンツやカジュアルなスニーカーとの相性もいい。そうしたポイントを動画で伝えてくれるため、商品の良さが分かりやすく、動画がアップされた日に完売。予約販売に切替えて再発注したという。
ユーチューブのハウツーものではメーク動画などは多いが、ファッションをしっかり紹介しているユーチューバーは比較的少ないこともあって当該スタッフに視聴者がついているほか、スタイリング提案した商品への反応もいいようだ。
リピート化施策としては、LINE@を通じた新作の告知が買い上げにつながっている。同社では「スタイルミキサー」専用のアプリを展開していないこともあり、ユーザーに直接情報が届きやすいLINE@を重視。隙間時間に見てもらえるように心がけている。
通販サイトでは、着用画像のバリエーションを増やして着用シーンを喚起しやすくしている。例えば、あるトップスを売りたい場合、過去に取り扱ったボトムと組み合わせることもあるという。実店舗とは異なるECチャネルのメリットを生かし、今は買えない商品であってもコーデの一部として使ったり、ときには他社商品を活用することもある。
子供服や陶器の販売も検証
一方、リアルの場でユーザー向けの受注会も始めており、顧客の生の声を聞いたり、顧客の実像をより深くイメージできるようにしている。
「スタイルミキサー」はECチャネルだけで展開しているため、消費者が商品を手に取れる機会が限られている。ただ、原価率が高くコストパフォーマンスに優れた服を展開していることから、実際に商品を見てもらえる場としてユーザー向けの受注会を19年4月に招待制で初開催。その後、10月には誰でも来場できる環境で実施した(
画像(上))。
受注会では、「スタイルミキサー」のインスタアカウントをフォローしているものの、サイズ感なども含め通販利用に不安を感じて購入経験がない来場者もおり、そうした消費者が実物を見て安心して購入できる機会にもなっているようで、新規客の買い上げ率が高かった。
受注会では各商品のタグにEC詳細ページに遷移するQRコードをつけ、スムーズに購入できるようにした。また、その場で買わなくても、お気に入り登録することで自宅に帰ってからゆっくり検討できることを伝えたこともあり、展示会の開催時間内よりも夜の受注が多かったという。
また、同社では顧客層を分析した上で、展示会ではレディースアパレルだけでなく、トライアルとして子供服や陶器を展開した。セレクト品となる陶器は、陶芸家である竹村良訓氏の作品を提案(
画像(下))。自社ECでも11月中旬に販売し、8割以上が即日完売するなど好評だった。
今後については、MD面ではレディースのアパレルと小物だけでなく、メンズやキッズ商材についても検討しているようだ。また、ブランドの価値を守りながら、いかに事業としてスケールさせるかを模索しており、EC限定から実店舗と連携したブランドの設計も課題という。(
おわり)
ブランドをスタートしたのは2018年4月で、とくに初期段階ではインスタグラムを中心としたSNSでの認知拡大を推進。ブランドディレクターを務める松本恵奈さんが約56万人のインスタフォロワーを抱えているため発信力があり、現状でも松本さんのファンが顧客に多いようだ。
加えて、新客へのアプローチとしてはユーチューブでのコーディネート提案も有効だという。同社にはユーチューブのチャンネル登録者数27万人以上というスタッフが、自社ブランドに限定することなくファッションの着こなし術やメーク動画などを配信して人気を集めている。
当該スタッフが自発的に「スタイルミキサー」の服を使ったコーデを提案したことで、新規ユーザーが増えたほか、複数の着用アイテムがヒットした。
例えば、「2WAYハイスリットワンピース」(税別6980円)というニットワンピースは前後どちらでも着用することができる2WAYデザインで、フロントスリットはディテールや色、素材をチラ見せして楽しめる。シンプルに着こなすときは、スリットを後ろにすればパンツやカジュアルなスニーカーとの相性もいい。そうしたポイントを動画で伝えてくれるため、商品の良さが分かりやすく、動画がアップされた日に完売。予約販売に切替えて再発注したという。
ユーチューブのハウツーものではメーク動画などは多いが、ファッションをしっかり紹介しているユーチューバーは比較的少ないこともあって当該スタッフに視聴者がついているほか、スタイリング提案した商品への反応もいいようだ。
リピート化施策としては、LINE@を通じた新作の告知が買い上げにつながっている。同社では「スタイルミキサー」専用のアプリを展開していないこともあり、ユーザーに直接情報が届きやすいLINE@を重視。隙間時間に見てもらえるように心がけている。
通販サイトでは、着用画像のバリエーションを増やして着用シーンを喚起しやすくしている。例えば、あるトップスを売りたい場合、過去に取り扱ったボトムと組み合わせることもあるという。実店舗とは異なるECチャネルのメリットを生かし、今は買えない商品であってもコーデの一部として使ったり、ときには他社商品を活用することもある。
子供服や陶器の販売も検証
一方、リアルの場でユーザー向けの受注会も始めており、顧客の生の声を聞いたり、顧客の実像をより深くイメージできるようにしている。
「スタイルミキサー」はECチャネルだけで展開しているため、消費者が商品を手に取れる機会が限られている。ただ、原価率が高くコストパフォーマンスに優れた服を展開していることから、実際に商品を見てもらえる場としてユーザー向けの受注会を19年4月に招待制で初開催。その後、10月には誰でも来場できる環境で実施した(画像(上))。
受注会では、「スタイルミキサー」のインスタアカウントをフォローしているものの、サイズ感なども含め通販利用に不安を感じて購入経験がない来場者もおり、そうした消費者が実物を見て安心して購入できる機会にもなっているようで、新規客の買い上げ率が高かった。
受注会では各商品のタグにEC詳細ページに遷移するQRコードをつけ、スムーズに購入できるようにした。また、その場で買わなくても、お気に入り登録することで自宅に帰ってからゆっくり検討できることを伝えたこともあり、展示会の開催時間内よりも夜の受注が多かったという。
また、同社では顧客層を分析した上で、展示会ではレディースアパレルだけでなく、トライアルとして子供服や陶器を展開した。セレクト品となる陶器は、陶芸家である竹村良訓氏の作品を提案(画像(下))。自社ECでも11月中旬に販売し、8割以上が即日完売するなど好評だった。
今後については、MD面ではレディースのアパレルと小物だけでなく、メンズやキッズ商材についても検討しているようだ。また、ブランドの価値を守りながら、いかに事業としてスケールさせるかを模索しており、EC限定から実店舗と連携したブランドの設計も課題という。(おわり)