若年層向けファッションブランドを「リュリュ」から「ジーラ」へと刷新したベルーナ。2000年1月にカタログを創刊したリュリュは、近年もテレビCMを積極的に展開するなど、20代女性への知名度は高かった。なぜ同社は「一からのスタート」を選んだのか。
リュリュは長らく「ギャル系」とコンサバファッションなどの「赤文字系」の2本柱で展開していた。00年代には勢いがあったギャルファッションの需要を取り込み、売り上げを順調に伸ばしてきた。ところが、10年代以降はギャル系文化が下火に。それにあわせる形で、リュリュにおいてもギャルファッションを扱うページも減少していった。
加えて近年は赤文字系ファッションも縮小傾向にある。同社企画本部第7企画室の鎌田祐介室長代理(
写真中央)は「リュリュには一定のファンがついていたこともあり、数字は残っていた。前年のカタログを継承する形で商品力を磨いてきたわけだが、市場が変化する中で、どちらかといえば企画がニッチな方へと向かっていたのではないか」と反省点を口にする。
世の中のトレンドにあわせて商品そのものを少しずつ変えてきたものの、ドラスティックな変革にはつながっていなかったというわけだ。同本部同企画室の工(たくみ)映子チームMD(
写真右)は「ネットショップや、ギャル向けから脱して好調なブランドなども参考にはしていたが、既存客が買ってくれる商品を検証してのMDを並行していたこともあり、トレンドの半歩後ろを歩いてきた感はある」と振り返る。
実際に、リュリュの売り上げは近年右肩下がりだった。18年3月期の売上高は前期比約11%減の65億9400万円。15年3月期の売上高が92億9500万円だったことを考えると、この3年で約30%売り上げを減らしたことになる。鎌田室長代理は「ネットにおけるターゲットの把握、ネットユーザーのし好やニーズの把握・深掘りが足りていなかった」と不振の理由を分析する。
リュリュは20代女性がターゲットだけに、カタログを中心とした紙媒体への親和性は高くない。そのため、近年はネット販売比率が高まっている。「紙媒体で売れる商品とネットで売れる商品は違う。ただ、ずっと紙媒体の顧客を大事にしてきたこともあり、紙で強い商品のMDを重視していた。ところが、ブランド全体のネット構成比が上がってくるにつれて、バランスがおかしくなってきた」(鎌田室長代理)。今回の改変は「今まで以上にネットを意識した企画を増やしていく」のが最大の目的となる。
ネットを主軸にする上で、改めてリュリュの役割を部門全体で議論。「20~30代大人女子のためのファストファッションを目指す」という創刊時の理念を再確認したという。いまだに「ギャル向け」という印象を抱く消費者も多いリュリュのイメージを脱却し、新たな顧客を取り込むためのリブランディングとなる。「10年前はギャル系や赤文字系が『マス』だったが、今はそうではなくなっている。もう一度『マス』を意識して幅広い顧客を獲得するには、MDの方向性やカタログの見せ方、ロゴのイメージを変えた方が、創刊時の理念にかなうのではないか」(鎌田室長代理)。
ジーラというブランド名については「消費者の印象に残りそうな”響き”を重視して濁音を入れた。ロゴについても、最近定番のシンプルなデザインを採用した」(同本部同企画室の亀野綾香主任=
写真左)。赤文字系を意識したリュリュのロゴはピンクで丸みを帯びたフォントを使っていたが、ジーラでは黒でシャープな印象のフォントに変えた。(
つづく)
リュリュは長らく「ギャル系」とコンサバファッションなどの「赤文字系」の2本柱で展開していた。00年代には勢いがあったギャルファッションの需要を取り込み、売り上げを順調に伸ばしてきた。ところが、10年代以降はギャル系文化が下火に。それにあわせる形で、リュリュにおいてもギャルファッションを扱うページも減少していった。
加えて近年は赤文字系ファッションも縮小傾向にある。同社企画本部第7企画室の鎌田祐介室長代理(写真中央)は「リュリュには一定のファンがついていたこともあり、数字は残っていた。前年のカタログを継承する形で商品力を磨いてきたわけだが、市場が変化する中で、どちらかといえば企画がニッチな方へと向かっていたのではないか」と反省点を口にする。
世の中のトレンドにあわせて商品そのものを少しずつ変えてきたものの、ドラスティックな変革にはつながっていなかったというわけだ。同本部同企画室の工(たくみ)映子チームMD(写真右)は「ネットショップや、ギャル向けから脱して好調なブランドなども参考にはしていたが、既存客が買ってくれる商品を検証してのMDを並行していたこともあり、トレンドの半歩後ろを歩いてきた感はある」と振り返る。
実際に、リュリュの売り上げは近年右肩下がりだった。18年3月期の売上高は前期比約11%減の65億9400万円。15年3月期の売上高が92億9500万円だったことを考えると、この3年で約30%売り上げを減らしたことになる。鎌田室長代理は「ネットにおけるターゲットの把握、ネットユーザーのし好やニーズの把握・深掘りが足りていなかった」と不振の理由を分析する。
リュリュは20代女性がターゲットだけに、カタログを中心とした紙媒体への親和性は高くない。そのため、近年はネット販売比率が高まっている。「紙媒体で売れる商品とネットで売れる商品は違う。ただ、ずっと紙媒体の顧客を大事にしてきたこともあり、紙で強い商品のMDを重視していた。ところが、ブランド全体のネット構成比が上がってくるにつれて、バランスがおかしくなってきた」(鎌田室長代理)。今回の改変は「今まで以上にネットを意識した企画を増やしていく」のが最大の目的となる。
ネットを主軸にする上で、改めてリュリュの役割を部門全体で議論。「20~30代大人女子のためのファストファッションを目指す」という創刊時の理念を再確認したという。いまだに「ギャル向け」という印象を抱く消費者も多いリュリュのイメージを脱却し、新たな顧客を取り込むためのリブランディングとなる。「10年前はギャル系や赤文字系が『マス』だったが、今はそうではなくなっている。もう一度『マス』を意識して幅広い顧客を獲得するには、MDの方向性やカタログの見せ方、ロゴのイメージを変えた方が、創刊時の理念にかなうのではないか」(鎌田室長代理)。
ジーラというブランド名については「消費者の印象に残りそうな”響き”を重視して濁音を入れた。ロゴについても、最近定番のシンプルなデザインを採用した」(同本部同企画室の亀野綾香主任=写真左)。赤文字系を意識したリュリュのロゴはピンクで丸みを帯びたフォントを使っていたが、ジーラでは黒でシャープな印象のフォントに変えた。(つづく)