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裁判を巡っては、DHCが提訴を受けて特許庁に特許無効の申し立てを行っていた。これについて今年3月、特許庁は富士フイルムの特許を「有効」とし、審判費用の負担をDHCに命じる審決を下している。富士フイルムは特許庁の審決が「(今回の判決と)真逆の結論を示すもの」として控訴して争っていく。
裁判は、DHCが販売する「DHCアスタキサンチン ジェル」と「DHCアスタキサンチン ローション」が富士フイルムが持つ特許を侵害しているとして2014年9月に起こしていたもの。富士フイルムは、商品の製造、販売の差し止めと、1億円の損害賠償を求めていた。
富士フイルムは、従来の技術では安定的に化粧品に配合することが難しかったアスタキサンチンの安定配合に関する特許(「アスタキサンチンを含む分散組成物およびスキンケア用化粧料に関する特許」)を12年7月に取得。07年からこの技術を使った「アスタリフトシリーズ」を販売している。
争っていたのは、この商品の「pH(ペーハー)」調整に関する部分。脂溶性であるアスタキサンチンは水に溶かしても一定期間を置くと分離してしまう。これを水に溶けた状態で保つには、製品のpH値を「5・0~7・5」の範囲にとどめる必要がある。
富士フイルムが所有していたのは、アスタキサンチン以外のさまざまな化粧品成分を含め、pH値を範囲内に維持し、アスタキサンチンを安定的に化粧品に配合する技術。特許庁はこの技術の特許権を認めたが、地裁はその進歩性(先行技術に基づき簡単に行えないこと)を認めず、特許出願前にウェブ上で公開されていた発明を使って容易に発明できたと判断。特許が無効とされるべきとした。