三越伊勢丹は今春、三越と伊勢丹、両百貨店ECサイトのシステムを統合して利便性を高めたほか、新たにEC専任バイヤーを配置するなど品ぞろえの拡充に向けた体制整備に本格着手した。今後、キュレーション型ECへの挑戦や特定分野の専門店を他社通販モールに出店することも視野に、ネット売り上げ300億円の早期達成を目指す。
まず、同社の前期(2014年3月)を振り返ると、EC売上高は目標値に若干届かなかったものの、前年比約10億円増収の90億円で着地した。EC売り上げの半分程度を占める中元・歳暮商戦が業績をけん引。とくに、三越と比べて拡大余地の大きい伊勢丹の中元・歳暮が計画を上回った。
一方、昨年の中元シーズンに旧「三越オンラインショッピング」で不正アクセスが発生し、同サイトを一時閉鎖したが、それ以外はほぼ計画通りだったという。
集客面では、店頭顧客へのアプローチを強化した。新聞折り込みのガイド表紙下に通販サイトのURLなどを記載したほか、伊勢丹新宿本店ではレシートに通販の告知を入れたり、館内放送でも1日数回、オンラインストアを紹介した。また、エスカレーター横のデジタルサイネージでもPRするなど、既存媒体を活用して露出を増やした。
MD面では、今年3月に伊勢丹新宿本店1階のイベントスペース(ザ・ステージ)で「グッチ」のレザーグッズを特集した際に、伊勢丹の通販サイトでも期間限定で販売連動するなど、ラグジュアリーブランドの取り扱いにもチャレンジした。
今期は5月に旧百貨店通販サイトの「三越オンラインショッピング」と「アイオンライン」のシステム統合を完了。リニューアルオープンした。
同社では、ほとんどの顧客が"のれん"に紐付いていることから通販サイトのページを三越と伊勢丹で分けたが、ユーザビリティーを考慮してページ最上部に配置したタブの切り換えでそれぞれの館を行き来できるようにした(
画像)。
会員IDや買い物カゴもひとつにしたほか、決済手段としてハウスカードのポイント「エムアイカードポイント」や友の会組織「エムアイ友の会お買い物カード」なども利用できるようにした。
また、三越のページに設置したコンテンツ「三越の文化」では、三越日本橋本店の三越劇場や三越カルチャーサロン、日本橋街大學の各種公演、講座を申し込めるようにした。
同社では、「百貨店の店頭顧客がイメージする商品をウェブ上でもそろえることが最優先」(田沼和俊EC事業部事業戦略担当長)とし、品ぞろえの強化に本腰を入れる考え。
一環として、4月1日には紳士ファッションでEC専任バイヤーを初めて配置した。ファッション商材は店頭とウェブでシーズン性が若干異なるため、従来の店頭中心ではなく、ECに特化したバイヤーを確保する必要があったという。
また、伸びしろのある儀礼ギフトに加え、通年販売アイテムの強化を進める考えで、「例えば、ビジネス用靴下のまとめ買い需要などにも対応したい」(同)とする。
一方、キュレーション型のECにも取り組みたい意向で、伊勢丹新宿本店で発行するカタログ冊子「イセタン・フォー・フーディー」で紹介する食品を通販サイトで購入できるようにするなど、既存媒体のコマース化も視野にあるという。
また、実店舗では伊勢丹がプロデュースするコスメのセレクトショップ「イセタンミラー」など商材・シーン別のセレクト店をファッションビルなどに展開していることから、ウェブでも百貨店の目利きによる専門店を外部の通販プラットフォームに出店することを検討する。
なお、百貨店ECサイト以外のウェブ展開については、昨年10月に米国発のソーシャルコマース「ファンシー」に出店したほか、今年3月には服やファッション雑貨のデザインをウェブ上で自由にカスタマイズできる通販サイト「イセタンカスタマイズ」を開設。また、スタートから1年半が経過したオウンドメディア「ファッションヘッドライン」は今年3月のPV数が300万を超え、ユニークユーザーも80万人を突破。支出の約半分を広告収入で補えるようになったという。以前はファッションの業界人が好みそうな記事が中心だったが、2年目からは軽めの話題も扱って対象ユーザーを広げたことなどが奏功しているようだ。
まず、同社の前期(2014年3月)を振り返ると、EC売上高は目標値に若干届かなかったものの、前年比約10億円増収の90億円で着地した。EC売り上げの半分程度を占める中元・歳暮商戦が業績をけん引。とくに、三越と比べて拡大余地の大きい伊勢丹の中元・歳暮が計画を上回った。
一方、昨年の中元シーズンに旧「三越オンラインショッピング」で不正アクセスが発生し、同サイトを一時閉鎖したが、それ以外はほぼ計画通りだったという。
集客面では、店頭顧客へのアプローチを強化した。新聞折り込みのガイド表紙下に通販サイトのURLなどを記載したほか、伊勢丹新宿本店ではレシートに通販の告知を入れたり、館内放送でも1日数回、オンラインストアを紹介した。また、エスカレーター横のデジタルサイネージでもPRするなど、既存媒体を活用して露出を増やした。
MD面では、今年3月に伊勢丹新宿本店1階のイベントスペース(ザ・ステージ)で「グッチ」のレザーグッズを特集した際に、伊勢丹の通販サイトでも期間限定で販売連動するなど、ラグジュアリーブランドの取り扱いにもチャレンジした。
今期は5月に旧百貨店通販サイトの「三越オンラインショッピング」と「アイオンライン」のシステム統合を完了。リニューアルオープンした。
同社では、ほとんどの顧客が"のれん"に紐付いていることから通販サイトのページを三越と伊勢丹で分けたが、ユーザビリティーを考慮してページ最上部に配置したタブの切り換えでそれぞれの館を行き来できるようにした(画像)。
会員IDや買い物カゴもひとつにしたほか、決済手段としてハウスカードのポイント「エムアイカードポイント」や友の会組織「エムアイ友の会お買い物カード」なども利用できるようにした。
また、三越のページに設置したコンテンツ「三越の文化」では、三越日本橋本店の三越劇場や三越カルチャーサロン、日本橋街大學の各種公演、講座を申し込めるようにした。
同社では、「百貨店の店頭顧客がイメージする商品をウェブ上でもそろえることが最優先」(田沼和俊EC事業部事業戦略担当長)とし、品ぞろえの強化に本腰を入れる考え。
一環として、4月1日には紳士ファッションでEC専任バイヤーを初めて配置した。ファッション商材は店頭とウェブでシーズン性が若干異なるため、従来の店頭中心ではなく、ECに特化したバイヤーを確保する必要があったという。
また、伸びしろのある儀礼ギフトに加え、通年販売アイテムの強化を進める考えで、「例えば、ビジネス用靴下のまとめ買い需要などにも対応したい」(同)とする。
一方、キュレーション型のECにも取り組みたい意向で、伊勢丹新宿本店で発行するカタログ冊子「イセタン・フォー・フーディー」で紹介する食品を通販サイトで購入できるようにするなど、既存媒体のコマース化も視野にあるという。
また、実店舗では伊勢丹がプロデュースするコスメのセレクトショップ「イセタンミラー」など商材・シーン別のセレクト店をファッションビルなどに展開していることから、ウェブでも百貨店の目利きによる専門店を外部の通販プラットフォームに出店することを検討する。
なお、百貨店ECサイト以外のウェブ展開については、昨年10月に米国発のソーシャルコマース「ファンシー」に出店したほか、今年3月には服やファッション雑貨のデザインをウェブ上で自由にカスタマイズできる通販サイト「イセタンカスタマイズ」を開設。また、スタートから1年半が経過したオウンドメディア「ファッションヘッドライン」は今年3月のPV数が300万を超え、ユニークユーザーも80万人を突破。支出の約半分を広告収入で補えるようになったという。以前はファッションの業界人が好みそうな記事が中心だったが、2年目からは軽めの話題も扱って対象ユーザーを広げたことなどが奏功しているようだ。