「TSS」の現状と今後を聞く ㊥
前回に続き、ヤマトロジスティクスの山内雅喜社長に「トゥデイ・ショッピング・サービス」(TSS)で提供するサービスについて話を聞いた。
「TSS」の特徴は配送時間の短さだが、他にどのようなサービスを提供しているのか。
「幾つかあるが、まず健康食品等の賞味期限管理がある。商品の入庫時に賞味期限を管理し、賞味が残り少ない商品を出荷対象から外すことができ、クレームの未然防止にもつながる。また、センターの中に商品撮影用のスタジオを設けており、頻繁に商品が入れ替わるアパレル等でも、在庫商品を撮影してすぐに画像をサイトにアップすることが可能だ」
「このほかに、サイズ等が異なる商品を何点か届け、顧客に購入するものを選んで貰うというサービスも提供しており、返品商品の検品や良品戻しなども行っている。通常の梱包業者に委託している通販事業者は、この部分でかなりの労力とコストを使っていると思うが、『TSS』であれば、ワンストップでサービスを利用でき、全体の在庫管理も行えるというメリットがある」
「TSS」の導入企業を増やす上で、中小のネット販売事業者の取り込みも重要になると思うが、何か対応していることはあるのか。
「仮想モールに出店しているような中小事業者向けに受注センター機能を提供している。仮想モール出店事業者はモールからの受注データの取り込みを自社で行っているが、受注データの取り込みを自社で行っているが、人員体制の兼ね合いなどで深夜の受注データの処理が難しく、商品の発送が翌朝以降になってしまう。受注センター機能は、こうした課題を解消するもので、複数の事業者でシェアする形であるため安く利用できる」
「また、複数の仮想モールに出店している場合、モールごとにデータのフォーマットが異なり、変更も頻繁に行われるため、出店事業者の対応が大変。この部分も当社で対応する形にしている」
新たに、受注から最短四時間で商品を届けるサービスも始めた。
「現在、有明(東京)のセンターで都内15区を対象にサービスを提供しており、大阪と福岡でも4時間配送に対応した体制はできている。これから顧客企業の開拓を進めるところだ」
利用状況は。
「既に何社かが4時間配送サービスを利用しているのだが、その中で酒屋の需要が意外にあることが分かった。景気低迷の影響で自宅でのパーティー需要が高まったことなどから、昨年12月は4時間配送の酒屋の受注が約1600件にも達した。4時間配送サービスは、まだ動き出したばかりだが、注文した商品をより早く届けて欲しいという潜在ニーズはあると思う。通販事業者にとっても売り上げ拡大のツールになるはずだ」
受注から梱包作業なども含め4時間で商品を届けるというのはタイトだ。展開の拡大を図る上で体制の整備が難しいのではないか。
「確かに。各拠点に分散して商品を在庫し、一定エリアをカバーする形で展開を広げることになる。このため、拠点のネットワーク化が必要だ。分散在庫の課題についても、各拠点の在庫をシステムで一元管理し、受注状況に応じて在庫を融通し合えるような形を考えている」(つづく)
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「TSS」の特徴は配送時間の短さだが、他にどのようなサービスを提供しているのか。
「幾つかあるが、まず健康食品等の賞味期限管理がある。商品の入庫時に賞味期限を管理し、賞味が残り少ない商品を出荷対象から外すことができ、クレームの未然防止にもつながる。また、センターの中に商品撮影用のスタジオを設けており、頻繁に商品が入れ替わるアパレル等でも、在庫商品を撮影してすぐに画像をサイトにアップすることが可能だ」
「このほかに、サイズ等が異なる商品を何点か届け、顧客に購入するものを選んで貰うというサービスも提供しており、返品商品の検品や良品戻しなども行っている。通常の梱包業者に委託している通販事業者は、この部分でかなりの労力とコストを使っていると思うが、『TSS』であれば、ワンストップでサービスを利用でき、全体の在庫管理も行えるというメリットがある」
「TSS」の導入企業を増やす上で、中小のネット販売事業者の取り込みも重要になると思うが、何か対応していることはあるのか。
「仮想モールに出店しているような中小事業者向けに受注センター機能を提供している。仮想モール出店事業者はモールからの受注データの取り込みを自社で行っているが、受注データの取り込みを自社で行っているが、人員体制の兼ね合いなどで深夜の受注データの処理が難しく、商品の発送が翌朝以降になってしまう。受注センター機能は、こうした課題を解消するもので、複数の事業者でシェアする形であるため安く利用できる」
「また、複数の仮想モールに出店している場合、モールごとにデータのフォーマットが異なり、変更も頻繁に行われるため、出店事業者の対応が大変。この部分も当社で対応する形にしている」
新たに、受注から最短四時間で商品を届けるサービスも始めた。
「現在、有明(東京)のセンターで都内15区を対象にサービスを提供しており、大阪と福岡でも4時間配送に対応した体制はできている。これから顧客企業の開拓を進めるところだ」
利用状況は。
「既に何社かが4時間配送サービスを利用しているのだが、その中で酒屋の需要が意外にあることが分かった。景気低迷の影響で自宅でのパーティー需要が高まったことなどから、昨年12月は4時間配送の酒屋の受注が約1600件にも達した。4時間配送サービスは、まだ動き出したばかりだが、注文した商品をより早く届けて欲しいという潜在ニーズはあると思う。通販事業者にとっても売り上げ拡大のツールになるはずだ」
受注から梱包作業なども含め4時間で商品を届けるというのはタイトだ。展開の拡大を図る上で体制の整備が難しいのではないか。
「確かに。各拠点に分散して商品を在庫し、一定エリアをカバーする形で展開を広げることになる。このため、拠点のネットワーク化が必要だ。分散在庫の課題についても、各拠点の在庫をシステムで一元管理し、受注状況に応じて在庫を融通し合えるような形を考えている」(つづく)