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悠香・自主回収の行方(1)――集団訴訟に発展か

2011年 8月25日 11:36

 悠香の製品自主回収が集団訴訟に発展する様相をみせている。東京、大阪、神奈川、愛知の4都府県の弁護士会は、8月1日から2日にかけて電話相談会を実施。4都府県で500件前後の相談が寄せられており、各弁護士会は弁護団を結成した。弁護団では年内をめどに悠香に対し損害賠償訴訟を検討しているが、弁護団と悠香は消費者対応に対する言い分で大きな食い違いをみせており、法廷闘争に発展する可能性が高そうだ。

 108件の相談を受けた大阪弁護士会には、「自己申告の段階だが、3分の1がアナフィラキシーや呼吸困難など全身症状を発症したという声だった」(大阪弁護団・日高清司弁護士)という。

 顧客対応の面でも「ちゃんと電話に出てくれない」「金額面で交渉しているが納得できない」といった声も寄せられているよう。日高弁護士は、個人的な見解としつつ、「製品変更や自主回収発表までの経緯をみると、医師や厚生労働省の指摘があった後も販売を続けている。発症の危険性を十分認識して顧客に告知していたのか」と、悠香の対応のまずさを指摘する。

 悠香では電話相談会を前に、各弁護士会に回収の経緯や今回の騒動に対する考え方を示すファックスを送っているが、267件の相談が寄せられた東京弁護士会も、「旧製品を使うなという告知が不十分。消費者の中には報道で知った人もおり、まだ知らない人もいる。ファックスで言い訳をする前に被害の拡大防止のため、勇気を持ってもっと告知しなさいと言いたい」(東京弁護団・中村忠史弁護士)と、回収を巡る対応への不満を口にする。

 また、東京弁護団では、相談者の中に悠香から治療費の実費など5万~30万円の「お見舞い金」を受け取っている相談者がいることに対し、「少額の『お見舞い金』で解決しようとしているが、アレルギーが発症した消費者は長年悩まされる。金額の幅も去年や今年、むこう3年の治療費などまちまち。中には要求をはねつけられたケースもある。また、一回きりのものなのか今後も続くものなのかも不明。根拠や基準が極めて不十分であり、交渉の進め方がアンフェア」(同)として、立ち上げたサイト上で示談や和解交渉には慎重になるよう注意を呼びかけている。このほか、愛知で80件強、神奈川県で約20件の相談が寄せられた。

 弁護団では、製造物責任法(PL法)、もしくは民法709条に定められている一般不法行為に対する損害賠償責任の有無で争っていく考え。

 PL法では「過失」の有無は構成要件とはならないものの、製品の「欠陥」と損害の因果関係を原告サイドが立証する必要があるが、「悠香がどう判断するかは分からないが、皮膚科の専門医が因果関係を研究しており、その点は大きな争点にはならないと思う。個別商品に問題があったことは疑いようがない」(日高弁護士)としている。免責事由は、製品を販売した時点で科学・技術的知見によって欠陥が認識できない場合などだ。各都府県の弁護団は9月以降、6日(名古屋)、7日(大阪)、10日(東京)に説明会を予定する。

 一方、悠香は弁護団が指摘する「見舞金」の拠出や消費者対応に対し、異なる見解を示している。(次回につづく)
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