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政府が郵政行政の方針転換 JPEXの宅配便統合に暗雲、通販業者の不安拡大

2009年11月 4日 19:38

 政府の郵政行政の方針転換を打ち出した影響で、日本通運と郵便事業会社の合弁宅配便事業会社JPエクスプレス(JPEX)が計画していた「ペリカン便」と「ゆうパック」の統合の行方が不透明さを増している。10月28日に日本郵政の経営陣が刷新、日本郵政グループ各社の事業運営体制も見直しの方向にある中、郵便事業会社が総務省に提出していた事業計画の認可の問題が宙に浮いているためだ。「ゆうパック」との統合を予定していた10月以降、JPEXは「ペリカン便」のみで宅配便事業を継続。これまで、特に大きな問題は発生していないが、現在の中途半端な状況が長引けば、通販等の顧客企業の不安を増長させることにもなりかねない。

 政府が打ち出した郵政行政見直しの概要は、郵便局ネットワークなど郵便事業に関するインフラを国民共有財産と位置付け、地域の行政拠点として活用するというもの。あわせて郵貯や簡保等をユニバーサルサービスとして提供するための法的な担保措置を講じ、日本郵政の下に郵便事業会社や郵便局会社など四事業会社がぶら下がる現在の経営体制も見直す内容で、既に「郵政行政改革の基本方針」として閣議決定されている。

 いわば、収益性を重視した従来の郵政民営化の流れと決別するというもので、西川善文日本郵政社長が退任。代わって官僚出身の斉藤次郎氏が日本郵政社長に就き、経営陣も一新されるなど、既に経営体制の見直し作業が始まっている状況だ。

 宅配便事業の統合を巡っては、総務省が準備不足を理由に事業計画を認可しない意向を示したことを受け、郵便事業会社が9月11日に統合延期を発表。同時に、総務省の理解を得るため、その後も同省に説明を行っていたもようだが、「郵政行政改革の基本方針」が出されたことで、同社および総務省とも、その成り行きを見なければ動きようがないのが実情だ。

 一方、関係者の間では年内中にも宅配便統合の事業計画が認可されるのではないかという見方もあったが、仮に認可が下りるにしても、政府が来年の通常国会で提出を予定する郵政行政の見直し関連法案の成立以降になる可能性が浮上。このほかに、日本通運がJPEXの出資比率を引き下げ持分法適用子会社から除外したことを受け、郵便事業会社がJPEXを完全子会社化するのではないかという見方も根強い状況だ。

 「ペリカン便」のみで宅配便事業を継続するJPEX。「ゆうパック」との統合を前提にした体制を急きょ見直した形での事業展開、想定していた統合メリットが得られないまま赤字を出し続けなければならないという現在の中途半端な状況が長引けば、通販事業者など顧客企業の不安を増長させることにもなる。

 現状、亀井静香郵政改革・金融担当相、原口一博総務相とも、宅配便事業統合に関する方針を明確にしていないが、通販事業者等のユーザーへの影響を勘案すれば、統合時期などの方向性を早期に示す必要がありそうだ。
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