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キー局各社の次の一手は?② グランマルシェ "深夜枠"のテコ入れへ

2011年 6月 9日 09:57

系列局連携、au事業の強化も

前々期の大幅な減収から一転、前期は平日午前枠を中心にすべてのレギュラー枠が前年を上回り、再放送を含めた特番の本数なども増え、前年比で二桁の増収と見事に復活を遂げたグランマルシェの通販事業(前期業績は前々号の1面参照)。

 今期もこうした勢いに乗り、攻めの姿勢を崩さない構えだ。前年上期にあった毎週金曜の情報番組内の通販コーナーが今期はないことや震災による消費の冷え込みなどのマイナス要因はあるが、売上目標は前期並みをキープしたい意向だ。そのためのカギとなるのが「深夜枠のテコ入れ」「系列局での通販番組の放送拡大」「auとの共同事業の強化」のようだ。同社の今期の戦略について見ていく。

 前述通り、同社の前期業績は好調で、レギュラー枠は各枠総じて前年を上回って推移したが、実は他枠と比較して若干の伸び悩みを見せていた枠がある。月~土の深夜枠(放送時間は毎日異なり、40分~2時間程度)だ。逆に言えば、同枠はまだまだ売り上げを伸ばせる素地があるようだ。

 このため、今期から深夜枠のテコ入れを開始。番組名を「買い物大図鑑」から「カイモノラボ」に変更しつつ、これまで商品紹介映像のみを流すインフォマーシャル的な番組構成も改め、「スタジオ」の要素を入れ込んだ。出演者にタレントの白石みきさん、道端カレンさんとお笑い芸人の「ナイツ」を起用。商品紹介映像の前後に出演者が実際に使ったり試したりした「生の感想」を挿入したことで4月以降は売れ行きが大きく変わり始めているようだ。

 深夜枠のテコ入れに加えて、今期から力を入れるのが、自社通販枠以外の「売り場」の強化だ。1つはTBS系列の地方局との連携拡大。同社では商品や台本、在庫管理や発送などのバックヤード業務を提供、地方局は自局で枠と司会者を用意して通販番組を行う通販提携事業を進めている。

 テレビとラジオでの通販を合わせて、現状、約13局をグランマルシェが支援する形で通販番組を実施。系列局は全部で27局あり、大都市圏の系列局などまだ連携できていない局も多くある。

 実は昨年5月に200億円規模のビジネスを考慮して約10億円を投資し通販の新システムを導入した。が、その後に様々な不具合が生じ、ようやく今年の5月にそうしたトラブルが解消され、フル稼動が始まった。同システムが稼動すると、受注や在庫管理、出荷指示などが効率化されるほか、「これまでシステムの問題でできなかった『セット販売』や『よりどり3点』など自由な販売やキャンペーンができるようになる」(同社)。様々な販促が打てるこのタイミングで積極的に系列局にアプローチし、提携局を増やしたい考え。

 自社通販枠以外の「売り場」で、もう1つのカギとなるのがauとの共同事業の強化だ。グランマルシェでは昨年5月からKDDIと協業して「au公式」の通販サイトをモバイルとPCで新設。30~40代の女性をターゲットにテレビ通販では扱わない単価の低い雑貨などを含め、約2000点の販売を始めている。この1年間は「ちょっとおしゃれなセレクトショップ」のような品ぞろえとして展開してきたが、1年間の傾向を分析した結果、「やはり反応が良いのは"ダイソン"などテレビ通販でのヒット商品」ということが判明。価格競争力も高いテレビ通販のエース商材などを軸に、送料無料など各種キャンペーンを強化。チラシなども積極的に同梱し、販促を強化していく考えだ。弱点の補強、テレビ以外の売り場拡大を次の一手として今期も攻めに打って出る。(つづく)


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