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郵便事業会社は2010年7月、「ゆうパック」と日本通運の「ペリカン便」を子会社の宅配便事業会社JPエクスプレス(JPEX)に統合。展開に当たっては、日通側の仕組みをベースにした情報システムを導入するほか、物流拠点などインフラの再編を実施。荷物をJPEX、郵便物をJPが担当する体制を構想していた。
今回の見直しは、いわば昔の「ゆうパック」のスキームに戻すもので、具体的には、今年6月をメドに、送達速度を速める狙いで切り分けていた宅配便の輸送を郵便物のトラックと混載する形に変更し、コストの削減を図る。もともと宅配便の輸送を別立てにしたのは、午前中に荷物を届けることを重視したためだが、郵便物との混載により、午後に届ける荷物が多くなるという。
JPでは、宅配便と郵便物の混載により年間300億円程度の経費節減を見込む。だが、化粧品通販などの場合、主婦の在宅率が高い午前中の早い時間帯の配達体制が手薄になるため、顧客に対する利便性低下につながる恐れもある。
また、JPは今年度の事業計画の中で、大口の法人顧客など必要な顧客との取引条件見直しにも言及。詳細についてJP側は明言を避けているが、単価の引き上げが俎上に上がることも考えられる。採算性のためのサービスレベル低下に加え、単価アップ交渉となると、通販事業者など荷主企業の「ゆうパック」離れは必至だ。
JP側でも、荷主企業の離脱を織り込んでおり、今期の「ゆうパック」取扱個数は前年比8・2%減の3億1600万個を予想するが、有料の新サービスを投入し巻き返しを図る意向で、既に郵便集配ネットワークを活用した当日配達のほか、オークションや薄物・小物に対応したサービスの開発を計画する。
郵便ネットワークを活用した当日配送は、全国各地の統括支店へ顧客企業等が荷物の持ち込むと、当該統括支店の担当エリアの受取人へ当日中に荷物を配達するというもの。これまでにも、地域によっては当日配達ができるケースはあったが、オペレーションを確立し、新たなサービスメニューにする考えだ。
昨年7月の「ゆうパック」「ペリカン便」統合直後に発生した大規模な遅配問題のイメージが残る中、荷主企業の離脱覚悟で「ゆうパック」の採算性改善に乗り出すJP。ニッセンなど有力通販事業者を荷主に持つが、商品配送面のサービス品質が重視されている中での今回の見直しは、通販事業者の離脱を招く可能性もありそうだ。