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12月1日に家電エコポイント制度が改定され、付与されるポイントがこれまでのほぼ半分となった。そのため、対象となる薄型テレビなどを買い求める客が家電量販店に殺到し、11月のテレビ販売は大きな伸びを見せたようだ。
家電のネット販売企業の駆け込み需要はどう推移したのだろうか。「ECカレント」を運営するストリームでは、「10~11月の液晶テレビ販売は好調に推移したが、商品確保に苦労しているのが現状だ。ボーナス商戦に入る12月が例年を下回ると予想されるため、トータルではトントンではないか」(作佐部光浩専務取締役)とする。通常、液晶テレビなどの高額商品が売れるのはボーナス支給後の12月。ところが、今年は商戦が1カ月早まったこともあり、12月は前年割れを覚悟せざるをえない状況だ。
「PCボンバー」を運営するアベルネットも「量販店ほど活況を呈しているとはいえない」とする。「商品が入れば売れるのは確かだが、メーカーも生産が追いついておらず、量販店に優先的に回しているようだ」(床鍋義博経営企画部部長)。
「A―PRICE」のMOAでも状況は同じ。「売り上げは伸びており、人気商品はやや高い値付けでも売れる状況だが、品薄状態が続いている」(岩崎康志COO)という。
ネット販売企業が在庫確保に苦労しているのはなぜだろうか。一つは家電メーカーの生産が間に合っていないことだ。エコポイントの半減を政府が告知したのは10月に入ってから。メーカーは最大の商戦となる12月に合わせた生産スケジュールを組んでいるため、イレギュラーともいえる今回の駆け込み需要に対応できていないようだ。中には、11月に購入しても、顧客に届くのは1カ月遅れになるケースもあるという。必然的に、量販店に比べれば販売規模の小さいネットショップに回す商品は少なくなる。
もう一つは量販店の販売が絶好調なこと。大手量販店の一部店舗では、「横流し」に近い形でネットショップに在庫を安く売るケースがみられる。店舗が課せられた販売ノルマを達成するための苦肉の策といわれているが、テレビが売れている以上はこうした「横流し」も不要となり、必然的にネット販売市場に流れる商品が少なくなる――というわけだ。
ネット販売企業にとっては、活況だったとは言いづらい今回の商戦。ただ、エコポイント終了もさることながら、薄型テレビを軸に業績を伸ばしてきた各社にとっては、来年の地デジ完全移行後の販売の落ち込みが最大の懸念となる。安売り一本やりから脱却するための施策が求められそうだ。