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アリババの「TAO」、「安心・安全」アピール 越境ECアプリを日本特化

2024年12月23日 12:00

 アリババグループでは、10月から日本向け越境ECアプリ「TAO」の提供を開始した。アリババの仮想モール「タオバオ」における40億以上のアイテムの中から、アパレルや雑貨・家具など、日本市場に適した約300万アイテムを選定。商品の品質を事前に確認する体制を整えているほか、ヤマト運輸や佐川急便と提携して配送したり、日本語でのサポート体制を整えたりするなど、商品や品質の高さを全面に出すことで、日本市場で先行する「SHEIN」や「Temu」と差別化する。

 12月12日に開催されたメディア向け説明会で、タオバオTモール海外市場運営責任者の劉慧娟氏(=写真)は「日本の消費者は商品やサービスの質を重視する。日本市場で自社ブランドが傷つくようなことをしたら、2回目のチャンスは与えられないのではないか。サービスやユーザーエクスペリエンス(UX)を良いものにしていけば、ビジネスの規模を大きくするのはさほど難しいことではない」と述べた。

 TAOは「App Store」の無料アプリダウンロードランキングで4位に入るなど、利用者は拡大している。ただ、当面は大々的な広告展開や割引率の高いクーポン配布などは行わず、物流体制やUXが整備された段階で、インフルエンサーへのくちコミ依頼などを行う方針という。

 TAOで扱う商品は、国際輸送センターにおいて、出荷前に検品と再梱包を実施。荷物はヤマト運輸や佐川急便が配送する。アフターサービスとしては、最低40日間の返品引き取りサービスを提供。また、日本法人を設立し、日本語が話せるカスタマーサポートスタッフを配置している。日本の税関とも緊密なコミュニケーションを取っており、「こうした取り組みは他の海外プラットフォーマーは行わないはずだ」(劉氏)。消費者がプラットフォームに求めるニーズが異なることから、「SHEIN」や「Temu」は競合とはみていないという。

 そのため、国内ではアマゾンなどが競合となるが、同社では「アマゾンは機能ベースで実務的であることを重視しており、『買い物を楽しむ』という観点が欠けている。TAOは『偶然の発見』を提供することができるのではないか」(同)とする。

 AI技術を活用することで、商品画像における中国ユーザー向けの表示を自動的に削除。商品タイトルおよび商品詳細説明に関しても自動で日本語に翻訳される。さらには、ユーザーごとの趣味・行動・し好に基づいたパーソナライズされたアルゴリズムを活用することで、個々のユーザーに最適な商品ページを表示する。

 決済はクレジットカード・デビットカード、PayPay、コンビニ決済、ペイジーなどに対応。初回注文時に送料が無料、2回目以降は購入金額が合計5000円以上で送料無料となる。

 今後はユーザーインターフェースや日本語翻訳の精度を向上させていくほか、日本の物流会社との提携を拡大。また、台湾ではオフライン展開も行っていることから、日本においてもTAOの実店舗やショールームを開設する考えもあるという。
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