みなと保健所が、事業者に「いわゆる健康食品」の健康被害報告を要請したことが分かった。紅麹事件を受け、健康被害報告は、機能性表示食品とトクホで義務化された。一般食品に分類される健食は、従前から「努力義務」にとどまる。報告の体制整備など事業者の負担増が予想される中、要請は混乱を招きそうだ。
要請は10月11日、港区みなと保健所長名で出された。区内に所在する機能性表示食品の届出者、トクホの許可企業から、約150社を対象にした。
ほかの自治体との調整、厚労省への報告・調整は、「していない」(生活衛生課食品監視係・食品安全推進担当)。健康被害報告義務化の関係者周知を依頼した厚生労働省通知を受け、「その意向に基づいて通知した」という。
食品全般の健康被害報告はあくまで努力義務であるため、報告しない場合も「罰則はない」。「通知は『要請』としているが、努力義務なので、お願いするもの」とする。ただ、事業者から任意の報告を受ければ、精査の上で厚労省に報告するという。
みなと保健所は、紅麹事件を受け対象を「いわゆる健康食品」に絞り、機能性表示食品等と同様に健康被害報告を求める。報告様式も同じものを使う。小林製薬の報告遅延の反省を踏まえ、「速やかに報告」と通知している。
報告期日は、機能性表示食品、「指定成分等含有食品制度」を参考にする。機能性表示食品は、「医師の診断」を前提に重篤・非重篤を問わず15日以内、「指定成分―」は、「医師の診断」によらず、重篤は15日以内、そのほかは30日以内と判断基準が異なるが、事業者が自ら判断する。
このため、報告の要否は、保健所が厚労省に報告する際に使う「厚労省への報告要否確認シート」で判断する。「製品摂取後に、摂取前からの症状が悪化→医師等に因果関係を疑われたもの」のステップで消費者の症状を確認。あてはまるもののうち、①摂取中止・減量で症状が軽快、②増量で症状悪化、③再摂取で再び症状出現、④過去に摂取で同様の症状が出現――の1つ以上あてはまる場合は、「要報告」と判断する。
要請の根拠は、機能性表示食品等の義務化を踏まえた食品衛生法施行規則、国が地方自治体向けに発出した通知の2つ。
施行規則は、事業者に機能性表示食品や健食を含む食品全般の健康被害情報の提供を「努力義務」で定めている。今回の制度改正で、機能性表示食品とトクホのみ、医師の診断を前提に、因果関係を問わず報告を義務づけた。
「いわゆる『健康食品』・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領」(02年通知)は、国から自治体向けに発出された通知。保健所に、「事業者が健康被害情報を入手した際、保健所に情報提供するよう要請すること」を定めている。
みなと保健所は、「02年通知は行政間のもので知らない事業者もいるため、改めて要請した」(同)と周知を目的にする。
厚労省は、制度改正を控えた今年8月に02年通知を変更。「機能性表示食品とトクホの義務化」、「報告様式の変更」を加えたが、従前から求める食品全般の努力義務に変更はない。
「なぜこのタイミング」港区通知、混乱招く
「いわゆる健康食品」も健康被害報告要請――。今年9月から機能性表示食品、トクホは健康被害報告は義務化された。事業者の負担増が予想される中、港区みなと保健所の要請が混乱を招いている。
事業者宛てに、「依頼」と題して通知された。食品全般の被害報告は努力義務のため罰則もない。だが、報告要否の確認ステップなど詳細が示され、任意か義務なのか分かりにくい。
事業者からは、「『要請』が与える印象で混乱する」、「機能性表示食品の報告義務化で、報告体制の整備、オペレーションの整理などただでさえコスト増。健食にも報告を求めるのは、不必要なオーバースペック」との声が聞かれる。
通知に、消費者庁は、「当庁の担当分野は、機能性表示食品とトクホ。いわゆる健康食品は、従前から厚生労働省の所掌で関わりがない」(食品表示課)と、コメントできないとする。厚労省は「判断は自治体の自治事務のためコメントできない」(健康・生活衛生局監視安全課)と、コメントを控える。条例などと同様、保健所の業務は、自治体に一定の裁量がある。
ただ、省庁関係者から「9月を境に変わったのは機能性表示食品とトクホのみ。なぜこのタイミングで通知したのか不可解」(厚労省関係者)、「機能性表示食品の報告義務化の混乱に乗じた意図的な混同による規制強化」(別の厚労省関係者)など、身内からも自重を求める声がある。
そもそも、報告対象とする「いわゆる健康食品」は、食品に分類され、明確な定義がない。みなと保健所は、「医薬品以外で経口的に摂取される、健康の維持・増進に特別に役立つことをうたって販売されたり、そのような効果を期待して摂られている食品」とするが、どこまで報告の範疇にすべきか、事業者の判断に委ねられている。
みなと保健所は、混乱の懸念に、「いわゆる健康食品は幅広いため、すべての報告は難しい。『要請』としており、確かにその面はあるが、努力義務で『依頼』」と、歯切れが悪い。
収集した報告は、厚労省に報告される。健康被害情報は、機能性表示食品を含め、省内の委員会で食品衛生法上の措置が検討される。指定成分の指定に向けた検討が基本だが、回収命令、営業停止も射程に入る。
要請は10月11日、港区みなと保健所長名で出された。区内に所在する機能性表示食品の届出者、トクホの許可企業から、約150社を対象にした。
ほかの自治体との調整、厚労省への報告・調整は、「していない」(生活衛生課食品監視係・食品安全推進担当)。健康被害報告義務化の関係者周知を依頼した厚生労働省通知を受け、「その意向に基づいて通知した」という。
食品全般の健康被害報告はあくまで努力義務であるため、報告しない場合も「罰則はない」。「通知は『要請』としているが、努力義務なので、お願いするもの」とする。ただ、事業者から任意の報告を受ければ、精査の上で厚労省に報告するという。
みなと保健所は、紅麹事件を受け対象を「いわゆる健康食品」に絞り、機能性表示食品等と同様に健康被害報告を求める。報告様式も同じものを使う。小林製薬の報告遅延の反省を踏まえ、「速やかに報告」と通知している。
報告期日は、機能性表示食品、「指定成分等含有食品制度」を参考にする。機能性表示食品は、「医師の診断」を前提に重篤・非重篤を問わず15日以内、「指定成分―」は、「医師の診断」によらず、重篤は15日以内、そのほかは30日以内と判断基準が異なるが、事業者が自ら判断する。
このため、報告の要否は、保健所が厚労省に報告する際に使う「厚労省への報告要否確認シート」で判断する。「製品摂取後に、摂取前からの症状が悪化→医師等に因果関係を疑われたもの」のステップで消費者の症状を確認。あてはまるもののうち、①摂取中止・減量で症状が軽快、②増量で症状悪化、③再摂取で再び症状出現、④過去に摂取で同様の症状が出現――の1つ以上あてはまる場合は、「要報告」と判断する。
要請の根拠は、機能性表示食品等の義務化を踏まえた食品衛生法施行規則、国が地方自治体向けに発出した通知の2つ。
施行規則は、事業者に機能性表示食品や健食を含む食品全般の健康被害情報の提供を「努力義務」で定めている。今回の制度改正で、機能性表示食品とトクホのみ、医師の診断を前提に、因果関係を問わず報告を義務づけた。
「いわゆる『健康食品』・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領」(02年通知)は、国から自治体向けに発出された通知。保健所に、「事業者が健康被害情報を入手した際、保健所に情報提供するよう要請すること」を定めている。
みなと保健所は、「02年通知は行政間のもので知らない事業者もいるため、改めて要請した」(同)と周知を目的にする。
厚労省は、制度改正を控えた今年8月に02年通知を変更。「機能性表示食品とトクホの義務化」、「報告様式の変更」を加えたが、従前から求める食品全般の努力義務に変更はない。
「なぜこのタイミング」港区通知、混乱招く
「いわゆる健康食品」も健康被害報告要請――。今年9月から機能性表示食品、トクホは健康被害報告は義務化された。事業者の負担増が予想される中、港区みなと保健所の要請が混乱を招いている。
事業者宛てに、「依頼」と題して通知された。食品全般の被害報告は努力義務のため罰則もない。だが、報告要否の確認ステップなど詳細が示され、任意か義務なのか分かりにくい。
事業者からは、「『要請』が与える印象で混乱する」、「機能性表示食品の報告義務化で、報告体制の整備、オペレーションの整理などただでさえコスト増。健食にも報告を求めるのは、不必要なオーバースペック」との声が聞かれる。
通知に、消費者庁は、「当庁の担当分野は、機能性表示食品とトクホ。いわゆる健康食品は、従前から厚生労働省の所掌で関わりがない」(食品表示課)と、コメントできないとする。厚労省は「判断は自治体の自治事務のためコメントできない」(健康・生活衛生局監視安全課)と、コメントを控える。条例などと同様、保健所の業務は、自治体に一定の裁量がある。
ただ、省庁関係者から「9月を境に変わったのは機能性表示食品とトクホのみ。なぜこのタイミングで通知したのか不可解」(厚労省関係者)、「機能性表示食品の報告義務化の混乱に乗じた意図的な混同による規制強化」(別の厚労省関係者)など、身内からも自重を求める声がある。
そもそも、報告対象とする「いわゆる健康食品」は、食品に分類され、明確な定義がない。みなと保健所は、「医薬品以外で経口的に摂取される、健康の維持・増進に特別に役立つことをうたって販売されたり、そのような効果を期待して摂られている食品」とするが、どこまで報告の範疇にすべきか、事業者の判断に委ねられている。
みなと保健所は、混乱の懸念に、「いわゆる健康食品は幅広いため、すべての報告は難しい。『要請』としており、確かにその面はあるが、努力義務で『依頼』」と、歯切れが悪い。
収集した報告は、厚労省に報告される。健康被害情報は、機能性表示食品を含め、省内の委員会で食品衛生法上の措置が検討される。指定成分の指定に向けた検討が基本だが、回収命令、営業停止も射程に入る。