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タンタンコーポレーションの差別化戦略② ワイン通販に参入 本社移転し倉庫併設

2024年10月 3日 12:00

「これまでのように、大手量販店と同じく幅広いラインアップの商品を扱っているという状態では戦えなくなってくるし、市場とともにシュリンクしてしまうだろう。当社ほどの規模感の小売りがあるべき姿を探りたい」。

 かつての「ロングテール」的な考え方から、「セレクトショップ」への転換を図っている、タンタンコーポレーションの丹澤直人氏は、こう決意を語る。

 近年は、エクスプライスやストリームのように、プライベートブランド(PB)の家電製品を販売するEC専業も出てきている。丹澤社長は「そういったことも検討していきたい。ただ、これまでは商品を扱いすぎていたこともあり『どの商品を仕掛けるのか』という観点に乏しかった。例えば『このドライヤーに絞って販促し、付加サービスをリッチにし、めいっぱい訴求していく』という経験があれば、オリジナル商品を作る際にも役に立つのではないか」と語る。自分たちのセレクトしたナショナルブランドの商品をうまく訴求できなければ、例えPBを開発したとしても販売数は伸びない。訴求力や提案力、集客力を磨くことが課題となる。「商品を絞り込んで販促し、『売れる』『売れない』を繰り返していく先にPBがあるのではないか」(丹澤社長)。

 また、家電と収納グッズとのセットなど、オプション販売で付加価値を提案できるようにする。例えば最近は、冷蔵庫にニトリの冷蔵庫収納アイテムを活用する動きが広がっている。「冷蔵庫をすっきり見せるためのレイアウトは、冷蔵庫のメーカーや品番によって違う。ただ、それは冷蔵庫を買ってから工夫するものなので、例えば冷蔵庫購入時に収納をセットとして提案することもできるだろう」(同)。具体的には、テレビ本体とスタンドなど、家電と家具をマッチングし、双方の商材をセットにして販売する試みをスタートさせている。

 ただ、集客の導線だった価格比較サイト「価格.com」からの流入が減少している。そのため、まず重要になってくるのがコンテンツマーケティングだ。「読まれる記事には集客力もあるわけで、長い時間はかかるだろうが、商品の魅力を言葉で表す良い記事を増やしていきたい。どこにリソースを割くかを見極めながら、泥臭くコツコツやっていくことに尽きるのではないか」(同)。

 2024年2月期売上高は前期比2.6%減の29億2300万円で、近年売り上げは漸減傾向にある。ただ丹澤社長は「ぱっと売り上げをつかむようなやり方をするのではなく、本当に魅力ある商品を正確な納期で、分かりやすくウェブサイトで提案していきたい」と先を見据える。

 新規事業にも取り組む。年明けにも新たにサイトを立ち上げ、ワイン通販に参入する。取締役会長の丹澤信一氏が欧州で勤務していた経歴を持つことから、ドイツやイタリア、スペインなど欧州のワイナリーから日本では流通していないワインを買い付けて販売する予定だ。

 同社は年内にも八王子市内に本社を移転する予定だが、温度管理ができる倉庫も併設。1本2000~3000円程度のワインの販売を考えており、「日常飲みするワインよりは若干高めで、夫婦に1週間でボトル空けるといったニーズを満たすような価格帯をメインにしたい」(同)という。

 家電を中心に販売してきた同社だが、ワイン通販はこれまで扱ってきた商材とは毛色がかなり違う。丹澤社長は「家電と違い、新規は取りにくいだろうが、リピート購入が期待できる。まずは楽天市場店からスタートする予定だが、自社サイトを設ける際は、買い物カゴをリピート購入や定期注文に特化する必要があるだろう」と話す。5年後には月間数千万円規模の売り上げを目指す。(おわり)
 
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