日本歯科医師会は、小林製薬が販売する「糸ようじ」などオーラルケア製品の一部で、「日本歯科医師会推薦」を取り消した。8月29日の理事会で決めた。小林製薬は同日、製品の販売を休止。パッケージやサイトの表示を止める。同社の公表は、9月13日。「前例がなく、社内の各部門で対応方法を検討・分析して公表した。遅くなり大変申し訳ない」とする。

　「推薦」取り消しの理由は、「紅麹関連製品による被害の発生原因の検証、対策が未完了であり、企業としての製造工程の安全管理の観点から要件を満たしていない」(日本歯科医師会)とする。審査基準は13項目。(1)安心・安全に使用できるものであること、(2)原料の調達、製造設備・工程、製造技術等が信頼されるもの――という基準を満たしていないと判断した。詳細の経緯は、「近くコメントを出す予定のため現時点で回答は控える」とした。

　対象製品は、「糸ようじ」8製品、「やわらか歯間ブラシ」9製品、マウスピース洗浄剤「ピースクリン」。ほぼ国内での販売で、売上額は47億円。「糸ようじ」「歯間ブラシ」がそれぞれ約22億円、「ピースクリン」が約3億円に上る。「糸ようじ」と「歯間ブラシ」は昨年6月、「ピースクリン」は今年6月に認定を受けた。

　小林製薬は、表示変更に伴う販売の一時休止で、性能、品質、安全性の問題が確認されたものではないとする。製品の仕様変更はなく、パッケージのみ変える。推薦取り消しには、「関係者に多大なご迷惑をおかけした」と謝罪。景品表示法上も「取り消し以降も表示を継続することは同法に抵触する可能性が高い」と認識する。変更の準備が整い次第、再販する。

　8月29日以降の購入者がいる可能性があるため、これを対象に10月上旬から返品対応する。24年12月期の業績への影響は「精査中」。

　日本歯科医師会推薦は2年間の更新制。審査基準は、都道府県歯科医師会の推薦状等とともに申請する。提出資料をもとに基準との適合性を無料で審査する。