前号に続き、ベルーナの総合通販事業やEC戦略について、安野清社長(=
写真)に聞いた。
◇
ーー紙に関しては輸入紙を使うという手もあるが。
「1ドル110円くらいなら考えるが、150円では難しい」
ーー紙や印刷代は今後も値上がりする可能性は高いが、そうなると紙を使ったビジネス自体をどうするか、という話も出てくるのでは。
「紙とネットの融合でシナジー効果を生み出せるかどうか。この道を模索するしかない。20年先にどうなるかは分からないが、確立きればしばらくは大丈夫だろう。ただ、ECはプラットフォーマーこそ儲かっているが、出店者はなかなか難しい。3分の1は儲けが出ていても、3分の1はカツカツで、残り3分の1は赤字という印象」
ーー製品の原価もかなり上がっている。
「為替の関係で非常に厳しい。例えばワインはユーロ高が響いている。以前は1ユーロ130円くらいだったが、今は160円。ただ、それでも値上げすると競合に流れてしまうので上げることができない。つまり、皆が儲からない構造になっているわけで、為替予約で取引をするしかない。前期はワインだけで為替差益が7億円ほど出ている」
ーー総合通販では、顧客リストの再構築を図っているとのことだが。
「通販会社はリストの収集・活用・掘り起こしの循環で売り上げと利益を作れるかどうかが大事だが、そこのバランスが崩れているわけだ。今の時代に合わせる形で、商品・カタログのビジュアル・コピーも含めて再構築していかなければいけない。ただ、紙の通販ビジネスはプレイヤーが減り、供給が減っている割には当社のレスポンス率は上がっていない。もう少し、時代に合う形で再構築することで『サンセット』から『サンライズ』へと持っていきたい」
ーー紙を中心としたビジネスの売り上げ規模はどの程度を見込んでいるのか。
「とにかく、無理をしないことが大事。キャッシュフローを意識して無理やり売り上げを作るようになったらおしまいで、当社のように損益を意識しているうちは健全経営ができる。前期のアパレル・雑貨事業売上高は約740億円だが、近い将来のイメージとしては600~700億円程度で、全社売上高の構成比としては3割くらいになるのではないか。ただ、このくらいの規模を保たないと、通販のシステムを支えることができない。リストの収集・活用・掘り起こしを再構築することで、あわよくば売り上げを伸ばしていきたい」
ーーMDやカタログの見せ方などはどう変えていくのか。
「商品力・ビジュアル・コピーを含めて、どう表現するか、どうやってネットを絡ませていくか。テスト販売では一部レスポンス率が上がっている取り組みもあるので、成功事例を増やしていきたい」
ーー総合通販事業のEC売上高に関しては。
「前期比8%減の146億円だった。値上げの影響は非常に大きい。ただ、そこは当初から織り込み済みなので、ブランディングやパーソナライズ強化を図った」
「ブランディングについては、各ブランドの『らしさ』を強調するサイトの作りを意識した。パーソナライズについては、顧客の属性に応じて打ち出すブランドや商品を変えるようにしたり、メールマガジンもシナリオ配信を活用した。今期は、前期取り組んだブランディング強化を土台に、単品訴求を強めている。具体的には、各ブランドにおける戦略商品、つまり『特S商品』を全面に打ち出す形として、ブランドの差別化と商品力の掛け算が功を奏し、足元ではEC売り上げがプラスで推移している」
ーーブランドの「らしさ」とは。
「どういう顧客にどういった価値提供をしていくか、つまりターゲットを明確にして、ビジュアルやコピーとして打ち出していくようにした。また、これまで掲載する商品情報も少なかったが、拡充している」
ーーブランディングやパーソナライズの成果は。
「足元では、単品訴求と相まって売り上げも前年同期比10%増で推移している。特S商品については、ネットだけではなく、カタログと店舗、マス媒体でも全面的に打ち出し、販促を集中させている。在庫もしっかりと積んで、売り切れがないようにしている」
ーー「吉見ロジスティクスセンター」を増築した成果も出ている。
「特定の商品がたくさん売れると、自動的に商品を補充する仕組みが効果を発揮するので、省力化が進んだのは非常に大きい」(つづく)
◇
ーー紙に関しては輸入紙を使うという手もあるが。
「1ドル110円くらいなら考えるが、150円では難しい」
ーー紙や印刷代は今後も値上がりする可能性は高いが、そうなると紙を使ったビジネス自体をどうするか、という話も出てくるのでは。
「紙とネットの融合でシナジー効果を生み出せるかどうか。この道を模索するしかない。20年先にどうなるかは分からないが、確立きればしばらくは大丈夫だろう。ただ、ECはプラットフォーマーこそ儲かっているが、出店者はなかなか難しい。3分の1は儲けが出ていても、3分の1はカツカツで、残り3分の1は赤字という印象」
ーー製品の原価もかなり上がっている。
「為替の関係で非常に厳しい。例えばワインはユーロ高が響いている。以前は1ユーロ130円くらいだったが、今は160円。ただ、それでも値上げすると競合に流れてしまうので上げることができない。つまり、皆が儲からない構造になっているわけで、為替予約で取引をするしかない。前期はワインだけで為替差益が7億円ほど出ている」
ーー総合通販では、顧客リストの再構築を図っているとのことだが。
「通販会社はリストの収集・活用・掘り起こしの循環で売り上げと利益を作れるかどうかが大事だが、そこのバランスが崩れているわけだ。今の時代に合わせる形で、商品・カタログのビジュアル・コピーも含めて再構築していかなければいけない。ただ、紙の通販ビジネスはプレイヤーが減り、供給が減っている割には当社のレスポンス率は上がっていない。もう少し、時代に合う形で再構築することで『サンセット』から『サンライズ』へと持っていきたい」
ーー紙を中心としたビジネスの売り上げ規模はどの程度を見込んでいるのか。
「とにかく、無理をしないことが大事。キャッシュフローを意識して無理やり売り上げを作るようになったらおしまいで、当社のように損益を意識しているうちは健全経営ができる。前期のアパレル・雑貨事業売上高は約740億円だが、近い将来のイメージとしては600~700億円程度で、全社売上高の構成比としては3割くらいになるのではないか。ただ、このくらいの規模を保たないと、通販のシステムを支えることができない。リストの収集・活用・掘り起こしを再構築することで、あわよくば売り上げを伸ばしていきたい」
ーーMDやカタログの見せ方などはどう変えていくのか。
「商品力・ビジュアル・コピーを含めて、どう表現するか、どうやってネットを絡ませていくか。テスト販売では一部レスポンス率が上がっている取り組みもあるので、成功事例を増やしていきたい」
ーー総合通販事業のEC売上高に関しては。
「前期比8%減の146億円だった。値上げの影響は非常に大きい。ただ、そこは当初から織り込み済みなので、ブランディングやパーソナライズ強化を図った」
「ブランディングについては、各ブランドの『らしさ』を強調するサイトの作りを意識した。パーソナライズについては、顧客の属性に応じて打ち出すブランドや商品を変えるようにしたり、メールマガジンもシナリオ配信を活用した。今期は、前期取り組んだブランディング強化を土台に、単品訴求を強めている。具体的には、各ブランドにおける戦略商品、つまり『特S商品』を全面に打ち出す形として、ブランドの差別化と商品力の掛け算が功を奏し、足元ではEC売り上げがプラスで推移している」
ーーブランドの「らしさ」とは。
「どういう顧客にどういった価値提供をしていくか、つまりターゲットを明確にして、ビジュアルやコピーとして打ち出していくようにした。また、これまで掲載する商品情報も少なかったが、拡充している」
ーーブランディングやパーソナライズの成果は。
「足元では、単品訴求と相まって売り上げも前年同期比10%増で推移している。特S商品については、ネットだけではなく、カタログと店舗、マス媒体でも全面的に打ち出し、販促を集中させている。在庫もしっかりと積んで、売り切れがないようにしている」
ーー「吉見ロジスティクスセンター」を増築した成果も出ている。
「特定の商品がたくさん売れると、自動的に商品を補充する仕組みが効果を発揮するので、省力化が進んだのは非常に大きい」(つづく)