アプリ利用の拡大図る【有力企業のEC戦略 チュチュアンナ㊦】 実店舗で登録呼びかけ
前号に続き、女性用靴下・下着を販売するチュチュアンナのアプリ施策について見ていく。
同社は「チュチュアンナ」公式アプリの利用者を増やすため、店舗での取り組みを強化している。従来は「今入会すると○%オフ」というような獲得キャンペーンで訴求していたが、新規獲得数は多いものの、一時的な関係性で終わってしまうことが多かった。そこで、キャンペーンに依存しない平常時の新規開拓を強化した。
具体的には、少数の店舗で、アプリ登録を促す声掛けを確実に行う「100%声掛けテスト」を実施。対象店舗では獲得数が増加し、声掛けが有効なアプローチであることが明らかになった。
獲得の実績を踏まえ、新規客のF2転換率とその後のLTVを調査。新規アプリユーザーが店舗にどの程度貢献するかを可視化し、データを全店で共有した。
また、店舗スタッフのモチベーションを高めるため、好調店舗にはインセンティブを付与。社内評価との紐づけも行った。
その結果、新規売上が前年比10%増となった。新規獲得を強化するタイミングを平準化したことで、キャンペーン時の新規売上は28%減となったものの、平常時の新規売上が37%増に跳ね上がった。
経費面でも大きな成果が見られ、新規獲得コストは前年比63%減と圧縮。経費率は5・2%から3・5%まで抑制することに成功した。
アプリの総ダウンロード数は330万を超え、2020年時点で27%だったアプリ経由のEC売上は足もとでは50%に上昇。LTV伸長率は35%伸長した。
アプリ施策においてはスピードを優先し、短期間でPDCAを回すことを心がけている。営業日平均で1日2~3回、社内でアプリを改修し、UI等を変更。「小さい変化を積み上げることで、大きな変化に耐えられる体制が作れる」(西岡和也デジタルマーケティング部シニアマネジャー)という。
今後のアプリ施策に関しては、1to1のコミュニケーションを強化していく。BIツールを使って統合分析を行い、MAに落とし込んで個別最適なコミュニケーションを図っていく。
取り扱いアイテムが多い中で、「アイテムごとの購入履歴や購入頻度などを分析し、パーソナライズ提案できる環境を作っていきたい」(同)とする。
LTVに関する施策では、メディアごとのLTV貢献度を可視化。初回購入メディアから、その後どのメディアのF2転換率、1年後のLTVが高いかを測っている。いずれも、同社のユーザー層は、アプリ、メール、LINEの数値が比較的高い傾向にあったという。
これをもとに、初回購入メディアに対する獲得への費用配分を決定。また、どのアイテムがどのランクの人に支持されているかを把握することで、初回に案内するアイテムやアプリ通知・メルマガ配信の選定に活かしているという。
また、同社では、試着できないECのデメリットを解消するため、下着のEC購入における返品送料を無料にしている。こうした顧客サービス利用者のLTVは高いが、サービスの認知自体が低いため、サービスを求めている顧客への周知を図っていく。(おわり)
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同社は「チュチュアンナ」公式アプリの利用者を増やすため、店舗での取り組みを強化している。従来は「今入会すると○%オフ」というような獲得キャンペーンで訴求していたが、新規獲得数は多いものの、一時的な関係性で終わってしまうことが多かった。そこで、キャンペーンに依存しない平常時の新規開拓を強化した。
具体的には、少数の店舗で、アプリ登録を促す声掛けを確実に行う「100%声掛けテスト」を実施。対象店舗では獲得数が増加し、声掛けが有効なアプローチであることが明らかになった。
獲得の実績を踏まえ、新規客のF2転換率とその後のLTVを調査。新規アプリユーザーが店舗にどの程度貢献するかを可視化し、データを全店で共有した。
また、店舗スタッフのモチベーションを高めるため、好調店舗にはインセンティブを付与。社内評価との紐づけも行った。
その結果、新規売上が前年比10%増となった。新規獲得を強化するタイミングを平準化したことで、キャンペーン時の新規売上は28%減となったものの、平常時の新規売上が37%増に跳ね上がった。
経費面でも大きな成果が見られ、新規獲得コストは前年比63%減と圧縮。経費率は5・2%から3・5%まで抑制することに成功した。
アプリの総ダウンロード数は330万を超え、2020年時点で27%だったアプリ経由のEC売上は足もとでは50%に上昇。LTV伸長率は35%伸長した。
アプリ施策においてはスピードを優先し、短期間でPDCAを回すことを心がけている。営業日平均で1日2~3回、社内でアプリを改修し、UI等を変更。「小さい変化を積み上げることで、大きな変化に耐えられる体制が作れる」(西岡和也デジタルマーケティング部シニアマネジャー)という。
今後のアプリ施策に関しては、1to1のコミュニケーションを強化していく。BIツールを使って統合分析を行い、MAに落とし込んで個別最適なコミュニケーションを図っていく。
取り扱いアイテムが多い中で、「アイテムごとの購入履歴や購入頻度などを分析し、パーソナライズ提案できる環境を作っていきたい」(同)とする。
LTVに関する施策では、メディアごとのLTV貢献度を可視化。初回購入メディアから、その後どのメディアのF2転換率、1年後のLTVが高いかを測っている。いずれも、同社のユーザー層は、アプリ、メール、LINEの数値が比較的高い傾向にあったという。
これをもとに、初回購入メディアに対する獲得への費用配分を決定。また、どのアイテムがどのランクの人に支持されているかを把握することで、初回に案内するアイテムやアプリ通知・メルマガ配信の選定に活かしているという。
また、同社では、試着できないECのデメリットを解消するため、下着のEC購入における返品送料を無料にしている。こうした顧客サービス利用者のLTVは高いが、サービスの認知自体が低いため、サービスを求めている顧客への周知を図っていく。(おわり)