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睡眠の悩みをプロが解決【通販責任者に聞く nishikawaの戦略と展望㊥】 通販から「相談所」への送客も

2024年 7月18日 12:00

 前号に引き続き、寝具メーカーのnishikawa(=西川)が強化を進めている通販事業での戦略や今後の展望について、責任者の大川裕史部長(写真(右))と須藤健二朗課長に聞いた。

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 ――ECの集客で行っていることは。

 須藤「通販サイトに来てもらうための情報発信はかなり強化している。あとはEC限定商品や企画商品のように当社ならではの特別感を提供することで、しっかりと購入してもらえるファンを作ること」

 大川「寝具は特に消費の二極化が進んでいる分野だと思う。寝具であればどんなものでも良いという顧客がいる一方で、『睡眠』というキーワードで価値を求められている顧客については、私たちのようなメーカーから直接購入したいという想いが強くあるかと思う。やはり、直接、当社のECで注文して購入したいという人は安心を求めているのだろう。そのため、中途半端な価格帯や商品は非常に売れにくくなっていく」

 ――実店舗事業と通販事業の間で見られる連携施策とは。

 大川「特に今本格的に展開しているのが『ねむりの相談所』で、これを全国に広めようとしている。今では100店舗を超えており、今後は1000店舗を目指していく。

 結局、睡眠は『悩み事』。睡眠で悩んでいる人は非常に多いし、どの寝具を買えば良いか分からないという人も少なくない。そうした人たちが気軽に相談に行ける場所を作ったもの。この考えには卸先の専門店などにも賛同してもらい、睡眠に関する当社の社内資格である『スリープアドバイザー』や『スリープマスター』などを取得してもらった人たちを配置して、顧客の身体に合わせた寝具の提案やアドバイスをしている。直営の通販をする上で、こことの連携は不可欠だと思う」

 須藤「実店舗の中に1つのコーナーとして設けるイメージで、当然、商品の在庫などもその場にある。寝つきが悪い人にはリラックスアロマやヨガ・ストレッチなどを教えたり、寝返り回数や眠りが浅い人にはマットレスの紹介、また、眠り方によっては抱き枕を紹介するなど、一人ひとりの睡眠環境や眠りの困りごとをプロの目線からアドバイスしている」

 大川「ECやテレビ通販などで接点を持った顧客に向けても、それぞれの地域にあるねむりの相談所に行ってもらい、悩み事を相談するような送客の仕組みを作っていければと思う。すでに公式通販サイト内にはそうした案内も掲載している」

顧客からの反応を商品開発に

 ――現状、テレビ通販ではどのようなペースや尺で露出しているか。

 須藤「番組によって異なるため、週に3回の時もあれば、月に5回の時もある。あと、寝具は気温にも影響される商品のため、時期によっても異なるだろう。マットレスや枕のように、季節に左右されない商品は売り上げも伸びているので放映回数もかなり増えている。また、放送時間としては、民放だと15分であったり、通販専門チャンネルでは1時間だったり様々だ。

 演者として当社の営業担当や商品開発担当が出ているが、ここは日々練習を重ねているところ。やはりここでのコミュニケーションによって売り上げも大きく変わる。時には外部の実演販売士を招いて勉強することもあり、日々練習することで商品に対する新たな訴求方法の発見もある」

 ――対面できない通販の顧客とのコミュニケーションは重要なテーマとなるのか。

 大川「元々私たちは卸であり、卸先に商品を供給したらそこで完結していたという面がある。今は直販をやる上で、そこから先の生活者に向けてどのような情報を発信していくか、心に響くためにはどのような導線づくりが必要になるのかなどをここ数年で色々と考えるようになった。通販事業の担当者全員で勉強をして、顧客に共感や納得感、安心感を得てもらうように、できるだけ寄り添えるような体制を心がけている。直販の良いところは、顧客からの意見や反応をリアルタイムで見られること。それらの声は商品開発にも生きている」

 ――これまでに何か印象的だった顧客からの反応や、商品開発に生かせた事例などは。

 大川「例えば、小柄な女性からは、パジャマの丈は長いことが多いため、袖に(袖口を絞るための)ゴムが入るような穴が欲しいという声に応えた商品を開発したことがある。また、布団の収納作業が大変だという意見から、布団のプロが考えた最適な収納ができる専用のボックスを作ったこともあった。様々な顧客の声が商品開発に生きている」(つづく)

 
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