前号に続き、通販専門放送を行うジュピターショップチャンネルの小川吉宏社長に現状と今後について聞いた。
◇
ーー番組について伺いたい。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、24時間生放送をやめ、昨秋まで深夜は再放送番組を放送してきたが昨年10月から24時間生放送を再開した。狙いは。
「コロナ前には24時間生放送を行ってきたわけだが、その時と比べて”双方向”への価値が高まっていると感じていた。生放送ならではのリアルタイムでのお客様の反応などを踏まえた番組内の演出はもちろん、一部の番組で実施中の番組画面にQRコードを表示してお客様が読み取ることで番組の画面にリアルタイムでメッセージを表示でき、出演者などとコミュニケーションをとったり他の客様と繋がることができる取り組みなども活発に利用され、好評だ。お客様のライフスタイルは多様化しており、深夜帯でもテレビを視聴されている方も多く、再放送ではニーズを満たせないのではないかと考えた。お客様からも実際に『深夜も生放送をやってほしい』という声はずっと頂いており、その声は増えてきていた。そういったことなどを踏まえて社内で様々検討を重ねた。効率面で言えば、深夜帯はそのまま録画番組を放映していた方がよいのかもしれないが、特にこの2年間は売上拡大よりもお客様が楽しいと思うことを最優先に取り組んできた。売り上げを追及するとおかしくなる。それよりもお客様優先の施策を行うことの方が結果として売り上げにもつながってくる。結局、お客様が求めていることを愚直にやっていこうということで24時間生放送を再開することにした。再開後は予想以上に好評で先のQRコードからのメッセージの数も深夜帯が非常に多い。現場は大変だが、社員みなやってよかったと思っていると思う」
ーー24時間生放送再開を機に新たな番組もスタートした。
「これまで再放送番組を放映していた深夜帯について特に双方向性を強めようと他の時間帯のように1時間枠ごとに様々な商品を紹介していく番組だけでなく、今後の1週間で紹介する商品の中から特に推奨品を一足早く紹介、販売する『深夜のライブセレクション』(※昨年10月6日から開始。毎週金曜日の午前3時から放映)、例えばコンサートなどへ持っていく好きなアイドルなどの名前入りの手作りうちわなどを入れることができるバッグなど特定のジャンルに特化したこだわりの商品を専属バイヤーらがそれぞれ紹介する『深夜に発見トレジャーハント!』(※今年1月22日から開始。不定期放映)などの深夜ならではのエンターテインメント性が高く、双方向のニーズを満たせる新番組をスタートさせた。これら新番組は売れ行きも悪くないことに加えて、深夜帯で新しい取り組みを行っていることで明らかにお客様の熱量などがあがって1日トータルでみると売り上げアップに少なからず、つながっていると思う」
ーー双方向性という意味では物販をせず、キャスト(番組進行役)が放送中に顧客から寄せられた質問や意見などにラジオDJのように回答する番組「Oh!Cha15(お茶行こう)」を一昨年から始めている。
「22年12月から毎週月~金の午後3時から10分枠で継続して放送中だ。物販番組ではないため、当然、売り上げは発生しない。始める時には賛否両論あったが、結果としてはお客様にすっかり定着し、楽しみにされている方も多い。限られた放送枠を使うことは売上面で言えば非効率だろうが、全体の盛り上がりやファン作りにも貢献するなどプラスとなっている部分は大きいのではないか」
ーー番組での新たな取り組みと言えば、前期から特定の地域の名産品などを現地からの生中継で紹介する特別編成番組「日本を見つけよう。」を久々に再開した。今後も継続してやっていくのか。
「コロナ禍もあり休止していたが、昨年10月5日に香川県高松市から中継して香川県の県産品を紹介する『日本を見つけよう~香川~』を放送した。『日本を見つけよう。』の放映は実に4年ぶりだ。日本の様々な地域に様々な優れた商品がある。今後もお客様にそうした商品を紹介しながら地域振興にも貢献していきたい。今年も行う予定で休止前のように年1回ペースで今後もやっていく。なお、各地の産品を紹介する番組は『日本を見つけよう。』だけでなく、地域の方々にスタジオに来て頂き、百貨店の物産展のように各地域の商品を紹介頂く番組も放送しており、人気番組となっている。これらも含めて地域の優れた商品をその地域ならではの情報を盛り込みながら紹介していきたい。当社の番組の強みは『安いから買って』ではなく、よいものを時間かけて説明していくスタイルだ。そういった意味でこうした番組は大事にしていきたい」
ーー今期(2025年3月)の方向性や業績の見通しは。
「今期も”お客様視点”を引き続き徹底して、鮮度の高い商品、楽しい番組つくりにまい進する。また、デジタル化をより進化させていきたい。お客様のデバイスシフトが進んでいる。何か商品を探しているときにテレビだけでなく、スマートフォン、場合によっては実店舗などで出会える機会を増やしていき、お客様の横にずっといられるような存在であり続けたい。具体的にはこれまで主にやってきたテレビの視聴者向けに対しての補助的な施策だけでなく、テレビでなく主にインターネット、スマートフォンで当社の通販を楽しんで頂けている方向けの施策、家でテレビを視聴するのではなく隙間時間に楽しめるような短尺動画などでの商品紹介などをすでに開始しているがそうした施策などをさらに強化していきたい。EC限定商品の拡充にも力を入れていく。テレビでは在庫量などの問題で販売できないものやそもそもテレビ向きでない商品もある。優れた鮮度ある商品をしっかりとECでもテレビでもお客様視点でご紹介していきたい。今期の業績も前年を上回りたい。今のところは非常に好調で第1四半期(4~6月)は前年を上回るペースで推移している」(おわり)
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ーー番組について伺いたい。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、24時間生放送をやめ、昨秋まで深夜は再放送番組を放送してきたが昨年10月から24時間生放送を再開した。狙いは。
「コロナ前には24時間生放送を行ってきたわけだが、その時と比べて”双方向”への価値が高まっていると感じていた。生放送ならではのリアルタイムでのお客様の反応などを踏まえた番組内の演出はもちろん、一部の番組で実施中の番組画面にQRコードを表示してお客様が読み取ることで番組の画面にリアルタイムでメッセージを表示でき、出演者などとコミュニケーションをとったり他の客様と繋がることができる取り組みなども活発に利用され、好評だ。お客様のライフスタイルは多様化しており、深夜帯でもテレビを視聴されている方も多く、再放送ではニーズを満たせないのではないかと考えた。お客様からも実際に『深夜も生放送をやってほしい』という声はずっと頂いており、その声は増えてきていた。そういったことなどを踏まえて社内で様々検討を重ねた。効率面で言えば、深夜帯はそのまま録画番組を放映していた方がよいのかもしれないが、特にこの2年間は売上拡大よりもお客様が楽しいと思うことを最優先に取り組んできた。売り上げを追及するとおかしくなる。それよりもお客様優先の施策を行うことの方が結果として売り上げにもつながってくる。結局、お客様が求めていることを愚直にやっていこうということで24時間生放送を再開することにした。再開後は予想以上に好評で先のQRコードからのメッセージの数も深夜帯が非常に多い。現場は大変だが、社員みなやってよかったと思っていると思う」
ーー24時間生放送再開を機に新たな番組もスタートした。
「これまで再放送番組を放映していた深夜帯について特に双方向性を強めようと他の時間帯のように1時間枠ごとに様々な商品を紹介していく番組だけでなく、今後の1週間で紹介する商品の中から特に推奨品を一足早く紹介、販売する『深夜のライブセレクション』(※昨年10月6日から開始。毎週金曜日の午前3時から放映)、例えばコンサートなどへ持っていく好きなアイドルなどの名前入りの手作りうちわなどを入れることができるバッグなど特定のジャンルに特化したこだわりの商品を専属バイヤーらがそれぞれ紹介する『深夜に発見トレジャーハント!』(※今年1月22日から開始。不定期放映)などの深夜ならではのエンターテインメント性が高く、双方向のニーズを満たせる新番組をスタートさせた。これら新番組は売れ行きも悪くないことに加えて、深夜帯で新しい取り組みを行っていることで明らかにお客様の熱量などがあがって1日トータルでみると売り上げアップに少なからず、つながっていると思う」
ーー双方向性という意味では物販をせず、キャスト(番組進行役)が放送中に顧客から寄せられた質問や意見などにラジオDJのように回答する番組「Oh!Cha15(お茶行こう)」を一昨年から始めている。
「22年12月から毎週月~金の午後3時から10分枠で継続して放送中だ。物販番組ではないため、当然、売り上げは発生しない。始める時には賛否両論あったが、結果としてはお客様にすっかり定着し、楽しみにされている方も多い。限られた放送枠を使うことは売上面で言えば非効率だろうが、全体の盛り上がりやファン作りにも貢献するなどプラスとなっている部分は大きいのではないか」
ーー番組での新たな取り組みと言えば、前期から特定の地域の名産品などを現地からの生中継で紹介する特別編成番組「日本を見つけよう。」を久々に再開した。今後も継続してやっていくのか。
「コロナ禍もあり休止していたが、昨年10月5日に香川県高松市から中継して香川県の県産品を紹介する『日本を見つけよう~香川~』を放送した。『日本を見つけよう。』の放映は実に4年ぶりだ。日本の様々な地域に様々な優れた商品がある。今後もお客様にそうした商品を紹介しながら地域振興にも貢献していきたい。今年も行う予定で休止前のように年1回ペースで今後もやっていく。なお、各地の産品を紹介する番組は『日本を見つけよう。』だけでなく、地域の方々にスタジオに来て頂き、百貨店の物産展のように各地域の商品を紹介頂く番組も放送しており、人気番組となっている。これらも含めて地域の優れた商品をその地域ならではの情報を盛り込みながら紹介していきたい。当社の番組の強みは『安いから買って』ではなく、よいものを時間かけて説明していくスタイルだ。そういった意味でこうした番組は大事にしていきたい」
ーー今期(2025年3月)の方向性や業績の見通しは。
「今期も”お客様視点”を引き続き徹底して、鮮度の高い商品、楽しい番組つくりにまい進する。また、デジタル化をより進化させていきたい。お客様のデバイスシフトが進んでいる。何か商品を探しているときにテレビだけでなく、スマートフォン、場合によっては実店舗などで出会える機会を増やしていき、お客様の横にずっといられるような存在であり続けたい。具体的にはこれまで主にやってきたテレビの視聴者向けに対しての補助的な施策だけでなく、テレビでなく主にインターネット、スマートフォンで当社の通販を楽しんで頂けている方向けの施策、家でテレビを視聴するのではなく隙間時間に楽しめるような短尺動画などでの商品紹介などをすでに開始しているがそうした施策などをさらに強化していきたい。EC限定商品の拡充にも力を入れていく。テレビでは在庫量などの問題で販売できないものやそもそもテレビ向きでない商品もある。優れた鮮度ある商品をしっかりとECでもテレビでもお客様視点でご紹介していきたい。今期の業績も前年を上回りたい。今のところは非常に好調で第1四半期(4~6月)は前年を上回るペースで推移している」(おわり)