前号に引き続き、auコマース&ライフ(=auCL)の桑田祐二新社長に、運営する仮想モール「auPAYマーケット」の今後の方針について聞いた。
◇
――他の経済圏にもauユーザーは多いが、どうやって取り込んでいくのか。
「まずは併用してもらいたい。とはいえ、『他とお得さが変わらないなら今のままでいいよね』となってしまうので、特典やポイント増量がそのきっかけになると思う」
――きっかけを作るためにどのようにアプローチするのか。
「経済圏全体で組み立てている優遇施策を顧客にどうやって伝えるかということは現状の課題。テレビCMなどのマスよりも、例えばauPAYアプリのプッシュ通知でポイントが貯まったことを伝えるなど、地道な取り組みが大事だと思う。さらに、auPAYやauPAYカードにおいても、さまざまなポイントキャンペーンを実施しているので、それにあわせて施策を組んだり、お知らせをしたりしている」
――共通ポイントの競争が激しくなっているが、Ponta経済圏を拡大していく上でのauPAYマーケットの役割は。
「経済圏におけるauPAYマーケットのメインとなる役割は出口。貯まったポイントを一番お得に使える出口でありたい。例えばポイント交換所なら、通常1ポイント1円であるところが、1・5倍の価値にできるので、モールを使うきっかけを作れるのではないか」
――KDDIは今年4月にローソンへTOBを実施し、50%の株式を保有することになった。auPAYマーケットにはどう関わってくるのか。
「現段階で具体的に話せることはないが、経済圏をドライブする仕掛けを一緒に作っていく。また、店頭購入以外の消費シーンを作ることがローソンの次なる成長につながるので、どう一緒に作っていくか議論しているところだ」
――前期の振り返りや、今期やっていきたいことは。
「前期は良い1年ではなかった。au・UQユーザーへの取り組みを強化していくプロセスの途中だったこともあり、それに伴うサービスの打ち手が足りなかったという反省がある。こうした中でも、筋肉質な体質づくりというのはめどが立っているため、今期は向き合う顧客をしっかりと定めて、施策やサービス投入におけるギアを入れ替えるタイミングになるだろう。そういった意味では、アグレッシブに変わる1年になると思う」
――流通額の増減は。
「増減について開示はしていないが、苦戦した1年だった。一方で、当社では顧客を新規・育成・定着にクラスター分けしているが、定着顧客が増えたという成果もある。そうした顧客をもう一度増やしにいくのが今期のチャレンジになるだろう」
「また、サービスという観点でも商品という観点でも、顧客の当モールの使い方は変わってくるのではないか。商品の見せ方やレコメンドの方法も変わる」
――具体的には。
「例えば、ギフトを贈りたい人の住所や本名を知らなくても、受け取り専用URLを送るだけで手軽にギフトが送れるサービス『誰でもギフト』を5月に開始した。また、対象商品を家族や友人に紹介し、商品が購入されるとポイントがもらえる『シェアプログラム』も開始している。自分自身以外に対する消費シーンを作るなど、いろいろな施策で1人当たりの消費シーンを増やしていく」
「ECの場合、『安くて早く届いてポイントがたくさん付く』といったことが求められがちだ。もちろん、顧客が満足できるレベルを維持するのは前提だが、当モールにとってはそれを極めることがゴールではないと考える。ギフトのように、気持ちが満たされたり、生活が1ランク上がったりするような買い物を増やしたい。そういった消費シーンを一番見つけやすいサイトという捉え方をしてもらえれば、顧客の選択肢に入るのではないか。auという通信ブランドを使っているサービスなので、『通信への信頼』から派生する価値観からみても、そういった買い物シーン作りは非常に重要だ」
――やや抽象的に思えるが、具体的にはどうなれば「成功」と考えるか。
「例えば、顧客1人あたりのオーダー回数が参考になるのではないか。極端な例だが、全体の注文数が100として、1回注文する人が100人いるのと、4回注文する人が25人いるとしたら、後者の顧客の方がLTVも高く、買い物に対する体験価値に満足感があると考える。『4回買う顧客』をより多くするための施策を展開していきたい」(つづく)
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――他の経済圏にもauユーザーは多いが、どうやって取り込んでいくのか。
「まずは併用してもらいたい。とはいえ、『他とお得さが変わらないなら今のままでいいよね』となってしまうので、特典やポイント増量がそのきっかけになると思う」
――きっかけを作るためにどのようにアプローチするのか。
「経済圏全体で組み立てている優遇施策を顧客にどうやって伝えるかということは現状の課題。テレビCMなどのマスよりも、例えばauPAYアプリのプッシュ通知でポイントが貯まったことを伝えるなど、地道な取り組みが大事だと思う。さらに、auPAYやauPAYカードにおいても、さまざまなポイントキャンペーンを実施しているので、それにあわせて施策を組んだり、お知らせをしたりしている」
――共通ポイントの競争が激しくなっているが、Ponta経済圏を拡大していく上でのauPAYマーケットの役割は。
「経済圏におけるauPAYマーケットのメインとなる役割は出口。貯まったポイントを一番お得に使える出口でありたい。例えばポイント交換所なら、通常1ポイント1円であるところが、1・5倍の価値にできるので、モールを使うきっかけを作れるのではないか」
――KDDIは今年4月にローソンへTOBを実施し、50%の株式を保有することになった。auPAYマーケットにはどう関わってくるのか。
「現段階で具体的に話せることはないが、経済圏をドライブする仕掛けを一緒に作っていく。また、店頭購入以外の消費シーンを作ることがローソンの次なる成長につながるので、どう一緒に作っていくか議論しているところだ」
――前期の振り返りや、今期やっていきたいことは。
「前期は良い1年ではなかった。au・UQユーザーへの取り組みを強化していくプロセスの途中だったこともあり、それに伴うサービスの打ち手が足りなかったという反省がある。こうした中でも、筋肉質な体質づくりというのはめどが立っているため、今期は向き合う顧客をしっかりと定めて、施策やサービス投入におけるギアを入れ替えるタイミングになるだろう。そういった意味では、アグレッシブに変わる1年になると思う」
――流通額の増減は。
「増減について開示はしていないが、苦戦した1年だった。一方で、当社では顧客を新規・育成・定着にクラスター分けしているが、定着顧客が増えたという成果もある。そうした顧客をもう一度増やしにいくのが今期のチャレンジになるだろう」
「また、サービスという観点でも商品という観点でも、顧客の当モールの使い方は変わってくるのではないか。商品の見せ方やレコメンドの方法も変わる」
――具体的には。
「例えば、ギフトを贈りたい人の住所や本名を知らなくても、受け取り専用URLを送るだけで手軽にギフトが送れるサービス『誰でもギフト』を5月に開始した。また、対象商品を家族や友人に紹介し、商品が購入されるとポイントがもらえる『シェアプログラム』も開始している。自分自身以外に対する消費シーンを作るなど、いろいろな施策で1人当たりの消費シーンを増やしていく」
「ECの場合、『安くて早く届いてポイントがたくさん付く』といったことが求められがちだ。もちろん、顧客が満足できるレベルを維持するのは前提だが、当モールにとってはそれを極めることがゴールではないと考える。ギフトのように、気持ちが満たされたり、生活が1ランク上がったりするような買い物を増やしたい。そういった消費シーンを一番見つけやすいサイトという捉え方をしてもらえれば、顧客の選択肢に入るのではないか。auという通信ブランドを使っているサービスなので、『通信への信頼』から派生する価値観からみても、そういった買い物シーン作りは非常に重要だ」
――やや抽象的に思えるが、具体的にはどうなれば「成功」と考えるか。
「例えば、顧客1人あたりのオーダー回数が参考になるのではないか。極端な例だが、全体の注文数が100として、1回注文する人が100人いるのと、4回注文する人が25人いるとしたら、後者の顧客の方がLTVも高く、買い物に対する体験価値に満足感があると考える。『4回買う顧客』をより多くするための施策を展開していきたい」(つづく)