大丸松坂屋百貨店の「ラクリッチ」 信頼感で会員数伸ばす、“冷食ネイティブ世代”も開拓へ
2024年 6月13日 12:00
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「ラクリッチ」は昨年5月にスタートした冷凍グルメのサブスクサービスだ。デパ地下クオリティの少量サイズの惣菜をセットにし、毎月冷凍で届けることで、「忙しくても食事の時間は大切にしたい」「マンネリ化している献立にもう一品加えたい」といったニーズに応える。
同サービスは利用者の好みや予算に合わせて、6~8品程度が入った「ちょいリッチBOX」(税込・送料込6500円)と、7~10品程度の「しっかリッチBOX」(同9000円)、名店の料理が7~10品程度が入った「すごリッチBOX」(同1万2000円)という3つの定期便コースを用意している。
利用者にはメニュー内容のすべては見せず、一部の商品だけを公開することで、”届いたときの楽しみ”を演出しているも特徴だ。
1年間で取り扱いブランド数は延べ43ブランド、「ラクリッチ」のオリジナル商品は25商品を開発した。定期便だけでなく1回のみの商品も充実させ、着実に会員数を伸ばしてきたという。
足もとでは、1周年を記念して関西圏でテレビCMを放映。ウェブでも配信する。
3コースのうち、始めやすい「ちょいリッチ」を選ぶ利用者が多いものの、百貨店が運営する信頼感もあって、一番高額な「すごリッチ」も予想以上に選ばれているという。
会員の年齢層は50代~60歳前後の単身者もしくは夫婦ふたり暮らしが多く、次いで40代の子育て世代が利用している。
さらに、利用者全体の30%が大丸松坂屋の顧客で、60%が他の百貨店の利用者、残りの10%が忙しかったり、近くに百貨店がなかったりして百貨店をほとんど利用しないユーザーということが分かったため、百貨店空白地帯でサービス認知を高める施策を検討していく。
また、同社によると、高付加価値冷凍食品と一般的な冷凍食品の市場は連続していて、両方使用している人が多いことから、総菜を買う人だけでなく、冷食ユーザーにもアプローチすべきと判断。「とくに冷食が身近にある環境で育って抵抗感が少ない20~30代を”冷食ネイティブ世代”と命名し、接点づくりを強化していく」(岡﨑路易経営戦略本部DX推進部部長)考え。
一環として、3月に俳優の池田航さんを起用した動画広告をティックトックで配信し、特設ページに誘導する取り組みを実施した。
一方、「ラクリッチ」は夕食用の総菜がメインでランチには使いづらいという声があったことを受け、レンジやトースターで簡単にランチの準備ができる「ラクリッチ ラクLunch BOX」(税込・送料込8000円=画像)を開発した。
同商品はアロマフレスカ銀座の原田シェフ監修の「野菜とベーコンのナポレターナ」や、千房の「千房お好み焼豚玉1枚入」、RFFFの「黒毛和牛のビーフドリア」など8点の主食セットで5月16日に販売開始した。
今後は、季節感を感じられるシーズナルメニューや夕食用のリッチ総菜、ランチボックスの充実などを図る。
なお、同社では「ラクリッチ」の1周年を記念して顧客による人気投票の企画「おいしかった大賞2024」を実施し、グランプリには西洋銀座の「黒毛和牛のビーフシチュー」が選ばれたという。