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「ハルメクの靴」では、”シンデレラモニター”と呼ばれるモニター会員を募ってデザインに対する意見を吸い上げたり、販売前に試し履きをしてもらったり、カタログ誌面に登場してもらったりもしている。
靴のプライベートブランド(PB)では当初、試し履きをしてもらったモニター会員から「かかとの部分が汚れやすい」という意見が出たため原因を調べた結果、靴を作る際の塗装剤の問題だと分かり、量産する前に改良することができた。
「ハルメクの靴」は現在、カタログ通販とEC、実店舗のすべてのチャネルで販売している。実店舗の「ハルメクのおみせ」では来店客の足の体圧バランスを測定。どちらの足に体重がかかっているとか、足の内側に体重がかかっているとか、足の指が地面についていないなども分かり、測定データをもとに、「ハルメクの靴」の構造や機能を説明して試してもらう。
靴は専門的な接客スキルが必要なことから、以前は小型の靴専門店を出店していたが、顧客はアパレルやインナー、コスメ、靴、食品など、さまざまなカテゴリーの商品がそろっている店舗を求めていることが分かったため、全12店舗のうち小田急百貨店町田店の靴専門店を除く11店舗が複数カテゴリーの商品を扱う店として展開中だ。
靴は商品の性質上、店舗で試し履きし、サイズを含めて問題ないかを確認してから購入する顧客が多いが、最近では通販チャネルの購入者も増え、チャネルのバランスが取れてきているようで、「ハルメクの靴」の販売実績はシリーズで累計5万足を突破した。
靴カテゴリーは今後も店舗と通販チャネルの両方で伸ばす。同社は「ハルメクのお店」が好調で、とくに百貨店の顧客層との親和性が高いことから百貨店への出店を強化しており、店舗出店に合わせてリアルの場で足のカウンセリングをしながら販売数量を伸ばす。
シューフィッターが店舗に常駐しているわけではないが、例えば、LINEやメルマガを通じて「足と靴の相談会」の開催を告知し、事前予約制でカウンセリングを実施したりしている。3月6日にオープンしたあべのハルカス近鉄本店の店舗でも、オープン記念イベントとして2日間、上級シューフィッターによる相談会を開いた。
新聞広告も引き続き活用し、新たな商品をテスト&ロールアウト形式で拡充していく。加えて、ECでのサービスを強化し、靴のEC市場拡大に備える。
ハルメクでは靴の返品・交換はいつでも受け付けているほか、LINEを介したオンライン悩み相談を実施し始めているが、今後はオンライン上でのフィッティングサービスなども含めて通販チャネルでも靴が買いやすい環境を整備し、実店舗のないエリアの顧客にも店舗と同様のサービスを提供していきたい考え。
一方、MD面については、これまでは靴単体で商品を開発していたが、今年1月にファッション課のメンバーが靴の部門にも加わり、アパレル商材などと靴でMDを合わせていく体制とした。これにより、靴の機能面を変えることなく、デザイン面を含めてハルメクらしさを出していく方針だ。
この半年でPBの靴が本格的に売れ始めた同社。「緩い靴は楽だけど、将来、あなたの足を悪くするというムーブメントを広げていきたい。業界の中では変わった靴屋と見られてもいい。靴はかかとをまっすぐに固定することが大事ということを発信し続けたい」(勝谷進店舗事業部部長)とする。(おわり)