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「転売」対策で連携強化【「楽天市場」が目指す「安心・安全」②】 レビューの平均点が上昇傾向

2024年 4月18日 12:00

 運営する仮想モール「楽天市場」において、「安心・安全なショッピング環境」を提供するための取り組みを継続して行っている楽天グループ。同社が考える「安心・安全」に関連した重要な要素の4つ目は「ルール」。楽天市場の出店規約をもとに、各種規約やガイドラインを制定している。最近の例では、定額課金を伴う電子機器などが増えてきたことを受けて、取り扱いガイドラインを決めた。

 例えば「5万9800円の会話AIロボットを利用するのに、ソリューション代金として月々1500円必要」という商品。一部でユーザーとの間にトラブルが発生していたことから、こうしたサブスク型商品については「別途楽天市場外での課金契約が必要となる」といった「必須記載事項」を商品ページに明記することを順守するよう求めている。

 また、外部機関や企業との連携も進めている。模倣品対策としては、2012年から権利者との提携で権利侵害取り締まり活動を開始。現在では1750以上のブランドが鑑定可能となっている。「物の善し悪しは当社では判断できない部分もあるので、ブランド権利者からの申し出や確認をベースにしながら、店舗にも事実確認を行い、権利侵害品が流通しないようにしている」(同社コマース&マーケティングカンパニーコマース品質管理部の半井大輔ジェネラルマネージャー=写真)。

 さらに、2014年から実施してきた財務省関税局との連携に関しては、2023年12月に覚書を締結。楽天と関税局は意見交換の場を設けるほか、楽天と税関による情報交換を強化し、模倣品業者の特定と取り締まりを行うというものだ。

 近年、強化を進めているのは、メーカーと連携した転売対策だ。半井ジェネラルマネージャーは「法律で規制されていない領域なので、取り組み自体が難しい」としながらも、「消費者心理としては『買いたいものが買えず、適正価格より高く売られている』ことへの不満は大きい」ことから、3つの観点から対策を進めている。

 1つは自然災害などに乗じた便乗値上げの禁止。これは、コロナ禍におけるマスクや消毒液などの転売が分かりやすい例だ。2つ目は、食品の転売禁止。楽天市場においては、小売店で一般消費者向けに販売された食品の販売行為を禁じている。食品は保管状態に問題がある恐れがあるほか、購入後ユーザーに届くまでの日数によっては品質に影響が及ぶ可能性があるなど、健康被害が生じる危険性があるからだ。さらに3つ目として、メーカーが転売禁止を公表している商品の転売も禁じている。

 21年8月には、食品メーカー12社との取り組みを開始。各社からの反響もあり、提携先は今年2月時点で50社まで拡大している。例えば、鎌倉紅谷の「クルミッ子」という菓子は、人気商品のため店頭でも品薄が続いている。「正規価格の倍以上で売られているケースもあった。そのため、店舗側に仕入れルートを確認し、小売りで買った商品を転売していることが分かった時点で出品を取り下げさせた」(半井ジェネラルマネージャー)。メーカー各社とは定期的に会合を行っており、「転売とみられる事業者から購入した消費者からの問い合わせが減った」という好意的な声が出ている。

 こうした取り組みにより、楽天市場におけるショップレビューの平均点はここ4年ほどで上昇しているほか、低評価のレビューを投稿されるショップの率も減少傾向にあるという。半井ジェネラルマネージャーは「”嫌な購買体験”を起こさせない仕組みを作るために、AIを活用したモニタリングを進めていきたい」と展望を語る。

 昨年には、リコール製品や安全ではない製品から消費者を守るための日本版「製品安全誓約」がスタートした。販売される製品の品質を高めていくことは、プラットフォーマーにとって喫緊の課題といえる。

 半井ジェネラルマネージャーは「楽天だけで対応するのは難しいので、低評価レビューを分析して『商品の何が良くないのか』『どこを解決しなければいけないのか』を割り出し、販売する事業者やメーカーと連携することで、品質改善まで踏み込んでアドバイスできる仕組みを作っていきたい」と意欲を語る。(おわり)

 
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