ベルーナでは、物流代行サービスとして「BBS事業」を運営している。現在のクライアントは60社程度。埼玉県上尾市の領家丸山流通システムセンターから出荷しているが、今後は昨年8月に増床した吉見ロジスティクスセンターも使う計画だ。
受託事業本部BBS事業部の長岐倫志部長は「増床した約20万平方メートルの延べ床面積のうち、5万平方メートル程度は出荷代行で活用したい。物流代行事業のキャパシティーは大きいので、自社の総合通販事業において、在庫の持ち方の精度をもっと高めていくことができれば、物流代行もさらに伸ばしていける」と意気込む。
同社の場合、自分たちが通販を長い間展開してきた点が物流代行事業の強みとなっている。例えば、昨今はダンボール資材の値上がりが激しくなっているが、同社であればスケールメリットを活かせるため、ある程度安くクライアントに提供することができる。通販事業者が3PL事業者を選ぶ際、最も重視するのは、やはりコスト面。同社の場合はバイイングパワーがあるだけではなく、物流代行事業自体が、自社通販向けに使ってきた経営資源の二次活用であるという点も大きい。そのため、自前で新しく倉庫を建てたり、外部倉庫を賃借したりして3PLの拠点としている競合他社と比較すると、利益面ではかなり優位にある。そういった点からも、クライアントに競争力ある価格の提示が可能となるわけだ。
もちろん通販のノウハウも豊富だ。例えば、あるクライアントは他の3PL事業者を利用していた際は80サイズで発送していたが、同社の物流代行であれば、詰め込み方を工夫するなどで、60サイズで発送できる。ベルーナのノウハウを活かして取り組んできたことがクライアントに評価されているという。
また、コールセンターサービスも提供しているので、物流センターとコールセンター間での受注データのやり取りや、返品など顧客から連絡があったときのスピーディーな対応などもできる。これらは、それぞれ別の会社のサービスを使っていると、やり取りがスムーズにできないわけで、フルフィルメント関連サービスをワンストップで提案できる点も大きな強みだ。
昨今、人員確保が課題となっている物流センターは少なくないが、ベルーナの物流センターでも人手不足に直面している。「受託事業の難しいところは、人員が足りないから機械化したいと思っても、当社が導入するシステムや機械にクライアント側で合わせてもらう形になると余分な負荷をかけてしまいかねない。それは当社の本意ではないので、そうならないようアナログとシステム・機械をうまく使い分ける方針を取っている」(長岐部長)。クライアントの事業規模に応じて、人間だけでカバーすることもあれば、一定以上の規模になったときには、自動梱包機を導入する、などといったやり方だ。
もう一つ、人手不足への対応策としては、作業者が一つの仕事だけではなく、複数業務をこなせるよう、社内教育を整えるという手段もある。これは例えば「今日はA社の出荷が多いからA社を担当するが、明日はB社の出荷を手伝ってほしい」といったもの。こうした取り組みにより、最近は作業者1人あたりの対応できる社数が増えているという。
コストと品質強み
物流代行事業のクライアントは化粧品・健康食品の通販事業者が90%を占めている。例えば定期購入の場合、「初回はこのチラシを入れてほしい」「2回目はこのチラシを同梱してほしい」など、細かな要望をするクライアントも少なない。同社では、チラシの自動丁合機を導入しているため、柔軟な同梱物設定が可能となる。
また、クライアントはスタートアップ企業も多く、2割程度がゼロから事業を立ち上げた企業という。こうしたクライアントが品質の高さを評価し、「知り合いが通販事業を立ち上げるから」と新規企業を紹介してもらうことも少なくないという。「大手通販会社が通販のノウハウを提供するというビジネススタイルなので、事業の理念からしても、立ち上げたばかりのクライアントに対しても丁寧に対応しなければいけないと思っている」(長岐部長)。
一方、他の物流事業者からの乗り換えとなる通販事業者からは、コストと出荷品質が評価されることが多いという。事業が大きくなると、どうしても在庫管理が雑になったり、出荷に滞りが出たりということは珍しくない。同社のサービスを使うことで、コストも下がり品質も良くなるなら乗り換えよう、となるわけだ。
ただ、リピート系通販は市場的には逆風にある。そのため、今後は別ジャンルのクライアント拡大が課題だ。長岐部長は「これまで使ってきた領家丸山はワンフロアで大きく場所を使うのが難しい物流センターだったが、吉見では大きく場所を取ることが可能になった。そのため、SKUをたくさん扱っている雑貨系企業や、店舗卸を展開している企業、大きなサイズの商品を扱っている企業を積極的に狙っていく」と意欲的に語る。
物流の2024年問題が話題になったこともあり、これまではあまり縁のなかった業種の企業からの問い合わせも増えているという。同社では「事業部として知見を蓄え、大型案件を獲得していきたい。ただ、冷蔵・冷凍が必要な食品のように、経営資源を保持していないジャンルに関しては、外部パートナー企業を活用していく」(同)としている。
受託事業本部BBS事業部の長岐倫志部長は「増床した約20万平方メートルの延べ床面積のうち、5万平方メートル程度は出荷代行で活用したい。物流代行事業のキャパシティーは大きいので、自社の総合通販事業において、在庫の持ち方の精度をもっと高めていくことができれば、物流代行もさらに伸ばしていける」と意気込む。
同社の場合、自分たちが通販を長い間展開してきた点が物流代行事業の強みとなっている。例えば、昨今はダンボール資材の値上がりが激しくなっているが、同社であればスケールメリットを活かせるため、ある程度安くクライアントに提供することができる。通販事業者が3PL事業者を選ぶ際、最も重視するのは、やはりコスト面。同社の場合はバイイングパワーがあるだけではなく、物流代行事業自体が、自社通販向けに使ってきた経営資源の二次活用であるという点も大きい。そのため、自前で新しく倉庫を建てたり、外部倉庫を賃借したりして3PLの拠点としている競合他社と比較すると、利益面ではかなり優位にある。そういった点からも、クライアントに競争力ある価格の提示が可能となるわけだ。
もちろん通販のノウハウも豊富だ。例えば、あるクライアントは他の3PL事業者を利用していた際は80サイズで発送していたが、同社の物流代行であれば、詰め込み方を工夫するなどで、60サイズで発送できる。ベルーナのノウハウを活かして取り組んできたことがクライアントに評価されているという。
また、コールセンターサービスも提供しているので、物流センターとコールセンター間での受注データのやり取りや、返品など顧客から連絡があったときのスピーディーな対応などもできる。これらは、それぞれ別の会社のサービスを使っていると、やり取りがスムーズにできないわけで、フルフィルメント関連サービスをワンストップで提案できる点も大きな強みだ。
昨今、人員確保が課題となっている物流センターは少なくないが、ベルーナの物流センターでも人手不足に直面している。「受託事業の難しいところは、人員が足りないから機械化したいと思っても、当社が導入するシステムや機械にクライアント側で合わせてもらう形になると余分な負荷をかけてしまいかねない。それは当社の本意ではないので、そうならないようアナログとシステム・機械をうまく使い分ける方針を取っている」(長岐部長)。クライアントの事業規模に応じて、人間だけでカバーすることもあれば、一定以上の規模になったときには、自動梱包機を導入する、などといったやり方だ。
もう一つ、人手不足への対応策としては、作業者が一つの仕事だけではなく、複数業務をこなせるよう、社内教育を整えるという手段もある。これは例えば「今日はA社の出荷が多いからA社を担当するが、明日はB社の出荷を手伝ってほしい」といったもの。こうした取り組みにより、最近は作業者1人あたりの対応できる社数が増えているという。
コストと品質強み
物流代行事業のクライアントは化粧品・健康食品の通販事業者が90%を占めている。例えば定期購入の場合、「初回はこのチラシを入れてほしい」「2回目はこのチラシを同梱してほしい」など、細かな要望をするクライアントも少なない。同社では、チラシの自動丁合機を導入しているため、柔軟な同梱物設定が可能となる。
また、クライアントはスタートアップ企業も多く、2割程度がゼロから事業を立ち上げた企業という。こうしたクライアントが品質の高さを評価し、「知り合いが通販事業を立ち上げるから」と新規企業を紹介してもらうことも少なくないという。「大手通販会社が通販のノウハウを提供するというビジネススタイルなので、事業の理念からしても、立ち上げたばかりのクライアントに対しても丁寧に対応しなければいけないと思っている」(長岐部長)。
一方、他の物流事業者からの乗り換えとなる通販事業者からは、コストと出荷品質が評価されることが多いという。事業が大きくなると、どうしても在庫管理が雑になったり、出荷に滞りが出たりということは珍しくない。同社のサービスを使うことで、コストも下がり品質も良くなるなら乗り換えよう、となるわけだ。
ただ、リピート系通販は市場的には逆風にある。そのため、今後は別ジャンルのクライアント拡大が課題だ。長岐部長は「これまで使ってきた領家丸山はワンフロアで大きく場所を使うのが難しい物流センターだったが、吉見では大きく場所を取ることが可能になった。そのため、SKUをたくさん扱っている雑貨系企業や、店舗卸を展開している企業、大きなサイズの商品を扱っている企業を積極的に狙っていく」と意欲的に語る。
物流の2024年問題が話題になったこともあり、これまではあまり縁のなかった業種の企業からの問い合わせも増えているという。同社では「事業部として知見を蓄え、大型案件を獲得していきたい。ただ、冷蔵・冷凍が必要な食品のように、経営資源を保持していないジャンルに関しては、外部パートナー企業を活用していく」(同)としている。