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LINEヤフー 「無在庫転売」撲滅へ、個人事業主の出品数を制限

2024年 2月22日 12:00

 LINEヤフーが、仮想モール「ヤフーショッピング」で「無在庫転売」を行う出店者の追放に乗り出す。4月15日に「ストア運用ガイドライン」を改定。個人事業主の出品数は500点を上限とし、それ以上扱いたい店舗に対しては審査を行う。同モールでは昨年から無在庫転売を行う店舗が目立ちはじめ、モール内検索の上位に表示される商品も一部あるなど、出店者からは「消費者の同モール離れにつながりかねない」との懸念が出ていた。

 











 出店者には1月29日に告知した。無在庫転売とは「自社では在庫を持たず、出店者がアマゾンなどで代理購入した商品を直接消費者に配送する」というもの。無在庫転売をする店舗はヤフーショッピングだけにあるわけではないが、出店費用が他の仮想モールより安いこともあり、同モールをターゲットにする「転売屋」が多いものとみられる。

 こうした行為は仮想モールが禁止しており、同モールにおいても規約違反だが「無在庫転売ツール」を使って出品する出店者が目立つ。ユーチューブやX(旧ツイッター)において、こうしたツールを使ってのヤフーショッピングにおける無在庫転売を呼びかける業者が増えたことも、「転売屋」増加の要因とみられる。

 ヤフーショッピング安全対策部の栗原親史部長は「2023年度に入ってから『無在庫転売ではないか』『一方的に注文をキャンセルされた』などという、顧客からのクレームが増えているほか、他の出店者やブランドホルダーからの苦情も出ていたため」とガイドライン改定の背景を説明。出品数を「500点」とした理由については「500点以上出品している事業者のキャンセル率が高いため、無在庫店舗が多く含まれていると推測している」とした。中には、個人事業主でありながら、10万点以上を扱う出店者もあるという。

 これまでは、無在庫店舗とみられる出店者に対して個別に在庫を証明する書類の提出を求めるという対策を取ってきたものの、無在庫店舗が急増したことから、取り締まる運営側とのいたちごっこになっていた。

 500点以上を扱う場合の審査に関しては、まず同モール上で問題なく運営されているかをチェック。売り上げや注文されている商品数が安定しているか、キャンセル率が基準未満であるかを確認した上で、正常に運営していると判断した店舗については在庫証明書類の提出を求める。なお、メーカーや卸業者などから直送するドロップシッピングを規制することはないという。

 審査を通過していない状態で500点以上の商品を公開している場合は、警告を行った上で商品を削除。重大な違反と判断した場合は、休店や契約解除といった措置を講じる。

 法人に関しては、個人事業主に比べて無在庫店舗が少ないことから、無在庫転売の疑いがある場合は、従来どおり在庫証明を求めていくほか、出店審査の際に在庫証明を要求することで、「法人化して無在庫転売を続ける」といった事業者も排除する。

 今後は出品数制限だけではなく、出店時の審査を強化していくほか、自社商品が転売されていた場合にメーカーが通報できる窓口を設ける予定。さらに、メーカー各社と転売防止のための協定を結んでいくという。

 商品レビューの監視も強める。こうした無在庫店舗のレビュー欄は「やらせ」とみられる投稿が少なくないことから、監視のロジックを改善し、やらせとみられるレビューを削除していく方針だ。
 
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