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「確認」全製品撤回か【機能性インシデント③“恭順”も渦巻く不満】 リスク勘案も「基準いまだ不明」

2023年 8月24日 12:00

 さくらフォレスト事件に端を発した消費者庁の届出根拠「確認」は、88件全製品が撤回となる可能性が高い。ただ、企業には不満がくすぶっている。

 処分の余波を受けた各社の対応は、一気に収束の動きを見せている。8月17日、消費者庁が公表した対応状況は、根拠がある旨の主張が前回公表(7月27日)の73件からわずか8件に減少。80件が、撤回もしくは撤回意向の申し出を行った。

 根拠がある旨の主張は、「DHA・EPA」で三生医薬の2製品(いずれも販売休止中)、「モノグルコシルヘスペリジン」は、明治製薬(販売状況不明)、興和(販売休止中)の2製品、「オリーブ由来ヒドロキシチロソール」は、東洋カプセル(販売中)、ヘルシープラス(同)、新日本ウェルネス(同)、四季乃舎(販売休止中)の4製品だ。

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 ただ残る製品も「問い合わせと前後して撤回届を出した」(興和)、「撤回の意思は伝えた。販売中止の手続きを取り次第撤回する」(ヘルシープラス)、「17日の公表後、撤回の意向を伝えた」(新日本ウェルネス)、「科学的根拠に問題がないという主張を通したい意図はなく、当局に相談した後に撤回届出を提出する予定」(三生医薬)と多くは撤回の意思を固める。四季乃舎は「申し訳ないが方針として取材は受けていない」と対応は不明。明治製薬、東洋カプセルは本紙掲載までに回答は得られなかった。

 三生医薬は現時点で撤回の申し出に至っていなかった理由について、「受託製造として多くの販売会社の機能性表示食品の開発や届出に関わる立場にある。今回の問題を真摯に受け止め、今後、科学的根拠について適切な評価ができるよう3成分のSRの問題点の詳細を正しく理解したいと考えている。消費者庁からの照会に対する当社回答内容についてやりとりをした上できちんと意図を理解し対応したい」と説明する。

 一方、撤回の申し出後も販売を続ける企業はある。健康食品通販を行う和漢はすでに撤回の申し出を行った企業リストに掲載されているが、その後も対象製品である「オリーブ&ギャバの恵み」のウェブ広告の露出が多くみられた。これに同社は「撤回の意向は示したが、成立までの期間は販売が認められている期間との判断から。新たな製造は行っておらず、在庫がなくなり次第終売する」とする。今後の再販は、「原料、エビデンスの内容によって切り替えて販売する可能性はある」としている。

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 撤回が進んだ背景には、食品表示法に基づく撤回の指示、景品表示法処分のリスクがある。消費者庁の判断に沿えば、さくらフォレストと同一根拠で届出を行う88件は、常時、違反状態といえる。このため、根拠の是非に疑問を持つ企業もリスク回避に向けいち早く撤回の意向を示す必要があると判断したとみられる。

 今回のリスト公表を前に、業界団体が撤回を促したことも影響している。ある事業者は、「消費者庁が17日に撤回意向の企業リストを公表予定との連絡を受け、撤回をしたほうがよいと促す内容だった。申し出先の案内もあった」とする。ただ、「撤回したほうがよい理由」は言及がなかったという。

 中には確認を受けて消費者庁に根拠に対する考え方を示したものの、その後一向に同庁(食品表示企画課)から回答が得られていない事業者もいる。このため、「問題視する理由の当たりはつくが、本当に悪いのか、よいのか分からない」、「DHA・EPAは低容量であっても一応の機能がある判断。やり方に問題があるのかジャッジの理由が知りたい」、「問題とする詳細の理由が分からなければ、今後どのように対応すればよいのか基準を持てない」など、消費者庁による一方的な制度運用に企業の不満が蓄積している。(つづく)

 
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