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同社は昨年9月、販売する健康食品で新型コロナ予防をうたい、景品表示法に基づく措置命令を受けた。ただ、今回の逮捕はそれ以上のダメージが避けられないだろう。同業者からは「業界を代表する企業として非常に残念」、「行政処分以上の痛手。景表法の時よりイメージが悪い」といった反応が寄せられている。
報道を受けたネットのコメント欄にもさまざまな反応がある。多くは、33歳の若さで専務取締役に就任していた満生氏の適性を疑問視するものだ。「甘やかされ、ろくでもないことをしでかす2代目の典型」(編集注・満生氏は3代目)、「親が立派でも息子をその若さで役員にすることがズレている」など厳しい意見がある。事件の印象は、保険金不正請求問題から2代目副社長のパワハラ問題に発展したビッグモーター騒動と重ねられ、企業イメージにも深刻なダメージを与える。
高齢者を中心に顧客基盤を築く同社だが、反応の多さから幅広い世代に認知されていたことが窺える。長年に渡り継続してきた社会貢献活動を知る者も多く、「よいイメージだったのに残念」、「従業員が努力して商品品質を高め、信頼を得てきた苦労を潰した」といった意見もある。今後の持続的な事業運営に与える影響も小さくない。
山田養蜂場は、2代目の山田英生社長が地域経済を支える県内有数の企業に育てた。環境保護活動、地域貢献を評価する声も少なくない。
一方、措置命令当時、その背景に強力なトップダウン構造の問題を指摘する声も少なくなかった。強い使命感や顧客視点を重視するあまり法律を軽視し、上層部に疑問をあげにくい構造が表示の暴走を招いたというものだ(本紙連載「山田養蜂場措置命令の背景」既報)。
事件は、あくまで個人の問題だ。ただ、創業者一族を中心とする体制は、顧客や従業員、社会に対する責任を負う経営幹部としての資質を磨く環境としてバランスを欠いていた可能性はある。
逮捕を受け、同社には顧客から問い合わせが寄せられている。顧客への対応には、「現時点で伝えられているのは、ご迷惑とご心配をおかけしているというだけ」とするが、表示の是正以上に、信頼回復は容易ではない。取締役の逮捕という深刻な事態を受けて企業としてどう社会と向き合うか、調査委員会の設置などガバナンスの問題を見つめ直す必要もあるのではないか。今後の対応が企業の将来にも小さくない影響を与えることになる。