「打つ手がない」「キャンペーン原資を返してほしい」「周囲から『早く逃げた方がいい』と言われている」など、あまりの売れ行き不振で出店店舗から怨嗟(えんさ)の声が上がっている、ヤフーの仮想モール「ヤフーショッピング」。ただ、同社では6月からキャンペーンを増やすなど、必死の巻き返しを図っている。
同モールを専門にコンサルティングを行っている、アルドの佐藤英介代表取締役は「あくまで感覚だが、毎週日曜日のソフトバンクの携帯電話契約者向けキャンペーンを廃止したことで10%減、イベントを減らしたことで10%減、合計で前年同月比20%減というイメージだ」と説明する。ヤフーでも「昨年大きなイベント(5のつく日曜日など)があった月と比較すると、必ずしも満足いく推移とはいえない」(広報室)と思惑通りの流通額ではないことを認める。
ただ、6月は日曜日の「買う!買う!サンデー」や29日の「肉の日キャンペーン」を復活させるなど、ポイントアップキャンペーンを増加。7月も同様にキャンペーン数を5月よりも増やした。7月下旬に開催される「超PayPay祭」においても、キャンペーン終盤の「グランドフィナーレ」期間の最大ポイント還元率を、3月の同イベントにおける22・5%から24・5%に増加。「3月は、定期的に開催される『5のつく日』より1%お得なだけだったが、さすがにポイント付与率を増やしてきた」(アルドの佐藤氏)。また、3月はフィナーレの期間を6日間に設定し、間延びしてしまった反省を受け、7月のフィナーレは29~31日の3日間に絞る。
ヤフー親会社のZホールディングスでは「流通額減少のトレンドが続く」としていたものの、当初の想定以上に流通額が減っているため、キャンペーンを増やす方向に転じたものとみられる。ただ、成長と収益性のバランスを取る方針に転換したヤフーショッピング。以前のように赤字覚悟の施策は打ち出せないだけに「現状のポイント施策でどこまで流通額を戻せるかは不透明。ヤフーとLINEの統合効果がどのくらい出てくるかにもよるが、今後半年くらいは厳しい状況が続くのではないか」(同)。
8月からは「5のつく日」の付与特典を「PayPayポイント」から「ヤフーショッピング商品券」に切り替える。商品券は、同モールでのみ利用できるため、出店店舗からすれば、リピート購入が期待できるわけだ。同社でも「商品券利用によるヤフーショッピングでの再購入の効果により、流通額増になる」(広報室)と見込んでいる。
ただ「『どこでもポイントが使える』という良さをなぜ手放すのか」(ある店舗)との声に代表されるように、消費者にとっては利便性が落ちる施策であるのは間違いない。アルドの佐藤代表取締役は「2月5日から、5のつく日のポイント付与上限が5000円から1000円に変更になったときは、それほど流通は落ちなかったので、目に見えては減らないのでは」と予想するが、消費者がどういった反応をするかは不透明だ。
いずれにせよ、こういった施策を導入するということは、グループ内でのポイント消費が思うようにいかず、PayPayポイントが想定以上に外部へと流出していることが予想される。「ポイントばらまき」という武器を失ったヤフーショッピングは、厳しい舵取りを迫られている。
今後、EC企業はヤフーショッピングとどう付き合えば良いのか。アルドの佐藤代表取締役は「プロモーションパッケージの『プレミアム統計』は、非常に高度なデータ分析ができるので、特に中小規模の店舗にとっては、ニッチな需要を見出すなどの便利な使い方ができる。ただ、規模の大きな店舗はどうしてもモール全体の増減に影響されてしまうので難しい」と話す。EC企業にとって、売り場が楽天とアマゾンに集約されるのは良いこととはいえない。ヤフーショッピングが、ポイント以外の独自性を打ち出せるかにかかっている。
同モールを専門にコンサルティングを行っている、アルドの佐藤英介代表取締役は「あくまで感覚だが、毎週日曜日のソフトバンクの携帯電話契約者向けキャンペーンを廃止したことで10%減、イベントを減らしたことで10%減、合計で前年同月比20%減というイメージだ」と説明する。ヤフーでも「昨年大きなイベント(5のつく日曜日など)があった月と比較すると、必ずしも満足いく推移とはいえない」(広報室)と思惑通りの流通額ではないことを認める。
ただ、6月は日曜日の「買う!買う!サンデー」や29日の「肉の日キャンペーン」を復活させるなど、ポイントアップキャンペーンを増加。7月も同様にキャンペーン数を5月よりも増やした。7月下旬に開催される「超PayPay祭」においても、キャンペーン終盤の「グランドフィナーレ」期間の最大ポイント還元率を、3月の同イベントにおける22・5%から24・5%に増加。「3月は、定期的に開催される『5のつく日』より1%お得なだけだったが、さすがにポイント付与率を増やしてきた」(アルドの佐藤氏)。また、3月はフィナーレの期間を6日間に設定し、間延びしてしまった反省を受け、7月のフィナーレは29~31日の3日間に絞る。
ヤフー親会社のZホールディングスでは「流通額減少のトレンドが続く」としていたものの、当初の想定以上に流通額が減っているため、キャンペーンを増やす方向に転じたものとみられる。ただ、成長と収益性のバランスを取る方針に転換したヤフーショッピング。以前のように赤字覚悟の施策は打ち出せないだけに「現状のポイント施策でどこまで流通額を戻せるかは不透明。ヤフーとLINEの統合効果がどのくらい出てくるかにもよるが、今後半年くらいは厳しい状況が続くのではないか」(同)。
8月からは「5のつく日」の付与特典を「PayPayポイント」から「ヤフーショッピング商品券」に切り替える。商品券は、同モールでのみ利用できるため、出店店舗からすれば、リピート購入が期待できるわけだ。同社でも「商品券利用によるヤフーショッピングでの再購入の効果により、流通額増になる」(広報室)と見込んでいる。
ただ「『どこでもポイントが使える』という良さをなぜ手放すのか」(ある店舗)との声に代表されるように、消費者にとっては利便性が落ちる施策であるのは間違いない。アルドの佐藤代表取締役は「2月5日から、5のつく日のポイント付与上限が5000円から1000円に変更になったときは、それほど流通は落ちなかったので、目に見えては減らないのでは」と予想するが、消費者がどういった反応をするかは不透明だ。
いずれにせよ、こういった施策を導入するということは、グループ内でのポイント消費が思うようにいかず、PayPayポイントが想定以上に外部へと流出していることが予想される。「ポイントばらまき」という武器を失ったヤフーショッピングは、厳しい舵取りを迫られている。
今後、EC企業はヤフーショッピングとどう付き合えば良いのか。アルドの佐藤代表取締役は「プロモーションパッケージの『プレミアム統計』は、非常に高度なデータ分析ができるので、特に中小規模の店舗にとっては、ニッチな需要を見出すなどの便利な使い方ができる。ただ、規模の大きな店舗はどうしてもモール全体の増減に影響されてしまうので難しい」と話す。EC企業にとって、売り場が楽天とアマゾンに集約されるのは良いこととはいえない。ヤフーショッピングが、ポイント以外の独自性を打ち出せるかにかかっている。