家具ネット販売のタンスのゲンでは4月1日付で、橋爪福寿代表取締役が取締役会長となり、常務取締役の橋爪裕和氏が代表取締役に就任した。同社は2002年にECへと参入して以降、売り上げが右肩上がりとなっており、22年7月期の売上高は243億9000万円に達した。一代で同社を家具ECのトッププレーヤーに育てた橋爪福寿氏からバトンを受け継ぐ形となる、橋爪裕和氏に今後の成長戦略を聞いた。
――会社の歴史は。
「当社は1964年に婚礼家具メーカーとして福岡県大川市に九州工芸としてスタートした。ただ、嫁入り時に家具を一式用意するという風習がなくなってきたこともあり、11年には大川市と福岡県筑後市に店舗を設け、小売りとオーダー家具中心にシフトした。その後、02年に楽天市場に出店、ECへと進出した」
――ECをはじめたきっかけは。
「現会長の橋爪福寿が、ルートで回ってくる営業マンから『ネットで月500万円売ってる会社がある』という話を聞いて、いろいろ調べたら『面白そうだし俺でもできるんじゃないか』と思って始めたと聞いている」
――参入以降、右肩上がりに売り上げが伸びているが、停滞した時期はないのか。
「東日本大震災後に運賃が高騰し、売上高が減った年がある。大型商品を運ぶ配送事業者から、ファクス1枚で運賃が2倍になる旨を告げられるなど、『このままではネットでの商売が成り立たない』という事態に陥った。そこで、商材を大型家具メインから、小型家具へと切り替えた」
「以前は2段ベッドや3Pソファなど、大型の家具ばかり取り扱っていたが、ふとんや寝具、オフィス関連など、なるべくコンパクトな商品を開発するようにした。海外の協力工場にお願いして、オリジナルの商品企画をどんどん直輸入する体制に変えた。それが当たり、再成長を遂げることができた」
――タンスのゲンが家具やインテリアのECでトッププレーヤーになれた理由をどう分析しているか。
「1つは商品力。顧客のニーズを満たすためにさまざまな商品を販売してきたし、商品開発のスピードが速かったことも大きい。日本のマーケットを注視していることはもちろん、海外の展示会でまだ日本にはない技術や特徴を持った商品があれば、いち早く取り入れてきた。もう1つ、顧客対応に力を入れ続けてきたことも他社との差別化ポイントになっている」
――顧客対応ではどんな取り組みをしてきたのか。
「今年3月に営業時間を朝10時から夜10時とし、電話とメール、チャットで対応している。実は夜12時まで対応していた時期もあったが、コロナ禍を受けて夜8時までの対応としていた。やはり、夜の時間帯が一番アクセスされ、売り上げも多いわけで、夜10時近くでも購買意欲の高い顧客からの問い合わせに返信しているが、購入の後押しになっているようだ」
――顧客対応は内製とのことだが、コールセンター業界は近年、人員集めに悩まされている。人手不足にはなっていないのか。
「人集めには苦労している。人海戦術には限度があるので、システムに投資をして、機械ができることはそちらに任せている。注文管理の部分で、在庫があって決済に問題がない商品なら、クリックするだけで配送伝票が出るような仕組みを導入している。顧客対応やシステムでカバーしきれない部分に人員を割くようにしている」
――代表取締役就任にあたり、まずどんなことに取り組みたいと考えているのか。
「一代でEC事業を大きくした現会長の色が強い会社なので、今後はトップダウンからボトムアップ型の組織に変えていきたいと思っている。スタッフからいろいろな提案が上がってくるような組織にしたい。今いるスタッフの成長を促しながら、新規事業の立ち上げにもつなげていく長期的なビジョンとしては、2040年に売上高1000億円という目標を掲げている。ただ、今のままでは達成は難しいので、新しいアイデアをどんどん取り入れていきたい」
――売上高1000億円に向けた道筋は立っているのか。
「商品の取り扱いを増やしていくほか、海外売り上げの比率を高めていく予定だ。現在は1%程度の海外売り上げの比率を2040年までには30%にしたい」(つづく)
――会社の歴史は。
「当社は1964年に婚礼家具メーカーとして福岡県大川市に九州工芸としてスタートした。ただ、嫁入り時に家具を一式用意するという風習がなくなってきたこともあり、11年には大川市と福岡県筑後市に店舗を設け、小売りとオーダー家具中心にシフトした。その後、02年に楽天市場に出店、ECへと進出した」
――ECをはじめたきっかけは。
「現会長の橋爪福寿が、ルートで回ってくる営業マンから『ネットで月500万円売ってる会社がある』という話を聞いて、いろいろ調べたら『面白そうだし俺でもできるんじゃないか』と思って始めたと聞いている」
――参入以降、右肩上がりに売り上げが伸びているが、停滞した時期はないのか。
「東日本大震災後に運賃が高騰し、売上高が減った年がある。大型商品を運ぶ配送事業者から、ファクス1枚で運賃が2倍になる旨を告げられるなど、『このままではネットでの商売が成り立たない』という事態に陥った。そこで、商材を大型家具メインから、小型家具へと切り替えた」
「以前は2段ベッドや3Pソファなど、大型の家具ばかり取り扱っていたが、ふとんや寝具、オフィス関連など、なるべくコンパクトな商品を開発するようにした。海外の協力工場にお願いして、オリジナルの商品企画をどんどん直輸入する体制に変えた。それが当たり、再成長を遂げることができた」
――タンスのゲンが家具やインテリアのECでトッププレーヤーになれた理由をどう分析しているか。
「1つは商品力。顧客のニーズを満たすためにさまざまな商品を販売してきたし、商品開発のスピードが速かったことも大きい。日本のマーケットを注視していることはもちろん、海外の展示会でまだ日本にはない技術や特徴を持った商品があれば、いち早く取り入れてきた。もう1つ、顧客対応に力を入れ続けてきたことも他社との差別化ポイントになっている」
――顧客対応ではどんな取り組みをしてきたのか。
「今年3月に営業時間を朝10時から夜10時とし、電話とメール、チャットで対応している。実は夜12時まで対応していた時期もあったが、コロナ禍を受けて夜8時までの対応としていた。やはり、夜の時間帯が一番アクセスされ、売り上げも多いわけで、夜10時近くでも購買意欲の高い顧客からの問い合わせに返信しているが、購入の後押しになっているようだ」
――顧客対応は内製とのことだが、コールセンター業界は近年、人員集めに悩まされている。人手不足にはなっていないのか。
「人集めには苦労している。人海戦術には限度があるので、システムに投資をして、機械ができることはそちらに任せている。注文管理の部分で、在庫があって決済に問題がない商品なら、クリックするだけで配送伝票が出るような仕組みを導入している。顧客対応やシステムでカバーしきれない部分に人員を割くようにしている」
――代表取締役就任にあたり、まずどんなことに取り組みたいと考えているのか。
「一代でEC事業を大きくした現会長の色が強い会社なので、今後はトップダウンからボトムアップ型の組織に変えていきたいと思っている。スタッフからいろいろな提案が上がってくるような組織にしたい。今いるスタッフの成長を促しながら、新規事業の立ち上げにもつなげていく長期的なビジョンとしては、2040年に売上高1000億円という目標を掲げている。ただ、今のままでは達成は難しいので、新しいアイデアをどんどん取り入れていきたい」
――売上高1000億円に向けた道筋は立っているのか。
「商品の取り扱いを増やしていくほか、海外売り上げの比率を高めていく予定だ。現在は1%程度の海外売り上げの比率を2040年までには30%にしたい」(つづく)