再浮上へ!百貨店の挑戦③ 高島屋の場合、店頭MDの紙媒体発刊
メディアミックスで販売機会を最大化
高島屋は、通販サイトで販売する店頭MDのファッションアイテムを小冊子にまとめてカタログ通販顧客に同送し、店頭とカタログ、ネットのどのチャネルでも購入できる仕組みを試している。
同社は、昨年9月にカタログがメーンの「通信販売事業部」と、通販サイトを手掛ける「ネット販売事業部」を「クロスメディア事業部」として一体化。これを機に、複数のチャネルを連動させて相互補完し、販売機会を最大化する体制を目指している。
この一環として、通販サイトの人気コンテンツ「タカシマヤファッションモール」で販売する店頭の旬のアイテムを、新しい紙媒体「タカシマヤファッションモールカタログ」(A4判、16ページ)としてまとめ、カタログ顧客の囲い込みや新規客の獲得につなげる取り組みを始めた。
6月初旬に創刊した夏号では、衣料品を中心にコスメを含めた35点をピックアップして掲載。通常、通販サイト「ファッションモール」のコンテンツではマネキンに商品を着せた画像を使用しているが、メーンの通販カタログと同様に外国人モデルを使って制作。その画像を通販サイトでも使用するようにした。
掲載商品には全国の高島屋で取り扱いのある店舗名やインターネットの検索窓も表記し、実店舗や通販サイトでも購入できることを伝えて送客の仕組みを作った。
配布先は、高島屋のファッションカタログ「アイトゥロア」顧客のうち、新媒体と親和性の高い30~40代女性約18万人で、「アイトゥロア」夏号と同送した。
また、「日経プラスワン」に広告を掲載し、カタログ請求の電話番号と通販サイト「ファッションモール」のURLを記載し、集客を図った。
ただ、新カタログを創刊するのに当たり、2つの大きな問題があった。1つは、店頭の"旬"の商品を販売するため、カタログ制作に長い時間をかけられない。もう1つは、店頭で販売する商品は1アイテム当たりの在庫が限られている点だ。
創刊号は企画から2カ月でスピード発刊したこともあり、アパレルメーカーの全面的な協力を得るのは難しく、在庫を十分確保できずに売り逃した部分があった。追加発注できたアイテムは、電話によるアウトバウンドを試みたが、最終的な売り上げは計画の50%程度にとどまったという。
これを受けて、9月初旬に発刊した秋号では、掲載商品数は変えずに商品の奥行きでメーカーの協力を得た。
露出面では新聞広告に加え、新たに40~50代の読者層を持つファッション誌に広告を掲載。マガジンハウスの「クロワッサンプレミアム」と光文社の「HERS(ハーズ)」を活用した。さらに、新宿店と連携して店頭顧客の一部にもカタログを送付して新媒体の認知度向上を図った。
その結果、売上高は前回の1・3~1・5倍となる見込みだが、11月初旬に発刊する冬号では、さらに奥行きを追加したい考えで、協力してもらえるメーカーとの連携を強化する。
高島屋は、新媒体に取り組む中で、ウェブ校正の導入など、従来よりも短期間でカタログを発刊できる手法を確立し、ゼネラルカタログにも応用したい考え。(つづく)
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高島屋は、通販サイトで販売する店頭MDのファッションアイテムを小冊子にまとめてカタログ通販顧客に同送し、店頭とカタログ、ネットのどのチャネルでも購入できる仕組みを試している。
同社は、昨年9月にカタログがメーンの「通信販売事業部」と、通販サイトを手掛ける「ネット販売事業部」を「クロスメディア事業部」として一体化。これを機に、複数のチャネルを連動させて相互補完し、販売機会を最大化する体制を目指している。
この一環として、通販サイトの人気コンテンツ「タカシマヤファッションモール」で販売する店頭の旬のアイテムを、新しい紙媒体「タカシマヤファッションモールカタログ」(A4判、16ページ)としてまとめ、カタログ顧客の囲い込みや新規客の獲得につなげる取り組みを始めた。
6月初旬に創刊した夏号では、衣料品を中心にコスメを含めた35点をピックアップして掲載。通常、通販サイト「ファッションモール」のコンテンツではマネキンに商品を着せた画像を使用しているが、メーンの通販カタログと同様に外国人モデルを使って制作。その画像を通販サイトでも使用するようにした。
掲載商品には全国の高島屋で取り扱いのある店舗名やインターネットの検索窓も表記し、実店舗や通販サイトでも購入できることを伝えて送客の仕組みを作った。
配布先は、高島屋のファッションカタログ「アイトゥロア」顧客のうち、新媒体と親和性の高い30~40代女性約18万人で、「アイトゥロア」夏号と同送した。
また、「日経プラスワン」に広告を掲載し、カタログ請求の電話番号と通販サイト「ファッションモール」のURLを記載し、集客を図った。
ただ、新カタログを創刊するのに当たり、2つの大きな問題があった。1つは、店頭の"旬"の商品を販売するため、カタログ制作に長い時間をかけられない。もう1つは、店頭で販売する商品は1アイテム当たりの在庫が限られている点だ。
創刊号は企画から2カ月でスピード発刊したこともあり、アパレルメーカーの全面的な協力を得るのは難しく、在庫を十分確保できずに売り逃した部分があった。追加発注できたアイテムは、電話によるアウトバウンドを試みたが、最終的な売り上げは計画の50%程度にとどまったという。
これを受けて、9月初旬に発刊した秋号では、掲載商品数は変えずに商品の奥行きでメーカーの協力を得た。
露出面では新聞広告に加え、新たに40~50代の読者層を持つファッション誌に広告を掲載。マガジンハウスの「クロワッサンプレミアム」と光文社の「HERS(ハーズ)」を活用した。さらに、新宿店と連携して店頭顧客の一部にもカタログを送付して新媒体の認知度向上を図った。
その結果、売上高は前回の1・3~1・5倍となる見込みだが、11月初旬に発刊する冬号では、さらに奥行きを追加したい考えで、協力してもらえるメーカーとの連携を強化する。
高島屋は、新媒体に取り組む中で、ウェブ校正の導入など、従来よりも短期間でカタログを発刊できる手法を確立し、ゼネラルカタログにも応用したい考え。(つづく)