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Zホールディングス、「EC首位目指す」は撤回 ポイントばら撒きから収益重視へとEC事業戦略を転換

2023年 2月 9日 11:00

 「『2020年代前半に国内物販Eコマース取扱高NO.1』という目標達成に向けグループ一丸となって進めてきたが、この目標を”修正”することにした」――。Zホールディングス(=ZHD)は2月2日に開催したグループ傘下のヤフーおよびLINEと2023年度中に合併することなどを説明する記者会見で同社の川邊健太郎社長Co‐CEO(写真(右))がこれまで標榜してきた国内の最大のEC取扱高を目指すという目標を撤回した。

 川邊社長は5年前の社長就任時から、先行する楽天やアマゾンに水をあけられ万年3位のポジションに甘んじていた仮想モールなどEC関連事業について首位を目指すと標榜。それに向けて「(運営する仮想モールの)ヤフーショッピングや(昨年10月で終了した)PayPayモールの品ぞろえを増やしたり、使い勝手をよくしたり、ポイントをたくさん付与してきた。(19年には)ゾゾの買収なども行ってきた」とし、「これらの策が功奏して(仮想モールなどEC関連事業)取扱高は5年間で倍になった。19年には競合よりも取扱高の伸び率が高くなった」ものの、「コロナで変調をきたした。(コロナ禍では)マインドシェアの高い(ECの)サービスに多くの人が買い物に行ったことで、ここでもう一度、(競合に)GMVの成長が抜かれてしまった」と目標撤回に至った理由を説明。また、「コロナ禍で、はっきりした先行する(競合の仮想モールの)サービスのオリジナリティの強みが我々のEコマースには今なおない」と総括した上で、「これまで強めてきた部分は有効活用しながらもグループ間アセットを活用した競合に負けないオリジナリティの高いEコマースを提供することで収益のバランスも意識しながらシェアを伸ばしていきたい」と2020年代前半(20年から25年)までにEコマース事業を競合以上の規模まで拡大するのは困難であると判断。「これまでのポイント・販促中心からグループアセットを最大限活用することに注力し成長と収益性のバランスを両立させていく」というポイントのばら撒きなど積極的な拡販で利用者を増やす従来の戦略から、収益性を意識した方向性に転換する考えを示した。

 川邊氏は掲げてきた「20年代前半までにEコマースNO.1」と「23年度に調整後EBⅠTDA3900億円達成」という目標が達成できない見込みであることなどから「けじめをつける」とし、意思決定の迅速化などを理由に経営体制をこれまでの川邊氏と出澤剛氏両氏がCEOを務めるCo‐CEO(共同最高経営責任者)体制から単独CEOに移行する4月1日付で代表取締役会長に就任。意思決定を担う代表取締役社長CEOに就任する出澤剛氏(写真(中))と同社のプロダクト開発全般をリードする代表取締役GCPOに就任する慎ジュンホ氏(写真(左))をサポートする立場になるという。

 経営体制刷新に加え、23年度中をメドにZHDとヤフー、LINEの3社の合併・統合を予定。グループの中核企業3社の合併で意思決定を速めつつ、重複機能やサービスの統廃合を進めたり、合併後はカンパニー制を導入したりと仮想モール事業を含むZHDグループが展開する事業の方向性が大きく変化する模様。昨年10月のポイントキャンペーンの変更等で出店者の売り上げに影響が出るなど一部で困惑の声が広がる「ヤフーショッピング」だが、経営体制変更や合併で今後はどのような変更が生じるのか。また、EC事業の位置づけ自体がどう変わり、傘下の通販企業のアスクルやゾゾとの関係性にも変化が出てくるのか。今後の行方を注視したい。
 
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